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「おらぁぁぁ!!」
いきなり後ろからの怒号。
それに伴う〔長剣〕の〈剣舞〉を全ての軌道上に弾丸を置く事で対処する。
「なんだよいきなり」
「【虐殺の鬼】の鋼鷹だ」
「なるほどね。名乗るだけで理由が分かるのは利点だな」
クツクツと笑う。
「別段恨みなどないが、死んでもらう」
ヒュッ。
風切り音に合わせて後ろに銃弾を撃つ。
「不意討ちなんて、甘ぇよ」
「ふん、だからどうした。たかが双銃士に負ける程弱くはない」
「職業はまだアップデートされてねぇよ」
「早く実装してもらいたいものだ。黒騎士を名乗らせてもらっているのだからな」
「そうかい」
会話しながらも剣戟は途切れない。
「『轟雷』『招雷』『落雷』」
「『魔法破棄』」
後ろに飛びすさりながら撃ち出した魔弾をいとも容易く無効化される。
「〔神祇術〕か」
「『奉れ(ホウジレ):一房』」
答えは、〔神祇術〕特有の詠唱。
「『かしこみ化仕込み顕れん。神祇:刀』」
彼の手に禍禍しい、それでいてどこか神秘的な一振りの刀が出現する。
「それじゃあ、第二ラウンドといこうか?」
「お断りだ」
魔法が無効化されるなら無効化されない魔法を使えばいい。
「『任意発動』『詠唱短縮』『裁きをここに(トールハンマー)』『復重詠唱』『復重詠唱』」
「……は?」
「『起動』」




