7、取引
同じ頃、歌舞伎町の一角に建つピンク色にライトアップされた建物
<HOTEL・Vloom>
このホテルの薄汚れた部屋で、咲優はソファに腰を下ろし、向いの男を見ていた。
40代半ばくらいの見た目で、若干腹の出たサラリーマンの男。
息遣いが荒く、既に欲情で目が血走っている。
「今月もよろしくね、おぢさん」
咲優は優しい顔つきで微笑みながら、わざと色気のある声で言った。
「”サキ”ちゃん、18歳かぁ…」
男はそう言うと、喉がゴクリと鳴るのが見えた。
男は自分の手を咲優の太ももに伸ばした。
網タイツの上から荒々しく撫で回し、すぐにスカートを捲り上げる。
指が直接肌に触れた瞬間、咲優は無意識に体を強張らせた。
男の指は汗ばんでいて熱くベタっとしている。
下着の上から敏感な部分を擦られ、咲優は小さく息を漏らす。
「ん…ッ」
私は演技なのか、それとも本当の反応なのか、自分でも分からなくなっていた。
男は興奮して息を吐きながら咲優の胸元に顔を埋めてきた。すると今度は男の湿った舌で鎖骨を舐め回し、歯を立ててくる。
普通に痛い。でも、私は笑顔を崩さない。
「気持ちいいよ?」という甘い声をカンペキに演じた。
私の巧みな戦術にノッたのか、男はズボンのファスナーを下ろし、私の手を取り自分の”モノ”を握らせてくる。
熱く、ピクンピクンと脈打つそれを私は嫌悪を飲み込んでシゴき始めた。
男の低い唸り声が部屋に響き渡る。
やがて私はベッドに押し倒され、脚を大きく開かされた。
男の太い指が中に入り、掻き回すとぐちゅぐちゅという水っぽい音が不快に響いた。
私は天井を見つめながら、ただただ耐えていた。自分の心をどこか遠くへ飛ばし、体だけを”おぢ”との取引材料にしている。
今度は男が腰をパンパンと打ち付ける度、私の細い体が揺れる。
10分程で男は果て、私の体の上に重くのしかかった。
私はニコっと微笑み、男の背中をポンと叩き、「気持ちよかったよ♡」と囁いた。
男が満足げに金を置いて部屋から出て行った後、私はゆっくり体を起こした。
下半身がベタついて気持ち悪い…
ティッシュで乱暴に拭きながら小さく息を吐いた。
「…ッ。最悪。きっしょ。」
ヌルヌルした感触が指に伝わってくる。男の精液と自分の愛液とが混ざり合い、粘つく糸を引いている。
ティッシュで何度か拭いてもなかなか綺麗にならない。
奥の方からまだトロリと溢れてくるのに私は眉間にシワを寄せた。
「…。アイツ、どんだけ出したんだよ…」
ベッドの端に座り直し、脚を大きく開いて再度念入りに拭く。
陰唇が腫れぼったくなり敏感になっていて、そこがティッシュが触れるだけでビクッと小さく体が震えた。
部屋の中は、汗と精液の匂いが濃く残っている。セックス後の特有の匂いだ。
私はゴミ箱に丸めたティッシュの塊を放り投げて浴室に向かった。
熱めのシャワーを全身にかけた後、シャワーを股間に当てながら呟いた。
「今日も生き延びた〜」
お湯が体の汚れを流してくれる。でも、心にこびりついた汚れというものまでは当然流せない。
私はシャワーの音に紛れて小さく自嘲の笑みを浮かべた。




