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金曜日は雨を知らない

 ギギギッと扉の蝶番が軋む音がした。


 風が入り、羊皮紙がわずかに揺れる。


 入り口に目を向けた先生に続いて振り返る。


 五人組の冒険者。


 鎧についた泥が乾いて白くなっている。

 長い旅の色だ。


 圧倒的な威圧感からギルド内の視線を浴びていた先頭の男はキョロキョロと辺りを見渡した。

 すると先頭の男が頭を止めて――笑う

 その先には、


「よぉ、2ヶ月ぶりだな。ケースタイン」

 僕の隣に立つ人への言葉だった。


「ガルシア、今回はずいぶん長かったんだね」


 先生はガルシアという男が振り撒くプレッシャーを意にも変えさずタメ口で答える。

 まぁ、先生が敬語を使ったところなど一度も見たことないけれど。


 ガルシアとその一団はこちらに向かって歩みを進める。

「あぁ、前人未到の80階層にチャレンジするってんだ、そりゃ時間もかかる」


「先ほど掲示板で見たよ、おめでとう」


「お前に素直に祝われるとは変な気分だ。最後に会ったのはダンジョンへの出立の日だったか」


 会話の対象がケースタイン先生に向かい、ギルド内のガルシアへの関心は霧散していった。


「ああ、ひどい雨の日だったな。あれからこっちは快晴続きだよ」


 先生の前までやってきたガルシアを近くで見ると最初に感じた威圧感に見合った筋骨隆々な体をしていた。

 先生も男性の中では背の高い方で、一般的にモデル体型と言われるスタイルの持ち主だった。ガルシアは先生より頭一つ身長が高く、身幅は2倍以上ありそうだ。デカくて厚い、体積が大きいタイプだ。


 2人と会話するときは見上げないといけない僕の身長は語るまでもない。


 そこからは、ガルシアパーティーと先生の歓談が始まった。

 主な話題は、タイムリーなノートルコークダンジョンについてだった。


 一学生の身としてはなかなか会話に入り込む余地はなかった。


 すると教授の視線が動いた。


 それに釣られて僕もそちらに目を移す。そこには先生に声をかけるために受付からこちらに来ようとしているギルド職員の姿があった。


 相変わらず先生はこういうところが目ざとい。


 先生はガルシアへ短く別れの挨拶を済ますと受付の方へ歩き出した。





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