魔王対策(?)会議
今回から5章の始まりです。
神界にて
アルトス、ラシテ、アキサキ、ナケラシ、サミネの5神が揃っていた。
今回の会議はシステムの有り得ない起動によって魔王のスキルが地球に行った事による対策を話し合う場だった。
「ナケラシ、システムがバグを起こす事があるのか?」
そう聞いたのはアルトスだ。
「普通は有り得ない。そもそもシステムエラーを起こすのはシステムに含まれてない事態が起きないとない。オリジナルスキルは例外だがな」
「そもそもなんで魔王が行ったのよ。それが気になる」
そう聞いたのはウリエルの製作者であるアキサキだ。
「それは、多分違う世界担当の神による仕業だろうね。そもそも魔王や勇者等の童話系スキルは違う世界のモノをシステムでスキル化にしたものだ。その時に細工をされた可能性が高い」
「なぜ、そんなことを?」
「⋯⋯この世界を手に入れるためか、この世界を壊す事が目的だろう。だいたい目星は着いているが、神は他の神に直接的な戦闘行為は禁止されているし、せめて、それ相応の理由がないと戦闘行為は認められない」
「なるほどね。そもそもなんで魔王等の童話系スキルを入れてなかったの?」
「そうか、まずはそこからだね。まず、魔王にはちょっとした副作用があったんだよ。バグとも言っていい。かなり複雑でね、取り出すのに苦労したが、最終的に取り出せないで行ってしまったが」
「その副作用は?」
「フー」
1つ、ため息を吐いて、言う。
「殺戮、破壊、絶望、これらを好むだけになってしまう。逆に言えば、それしか求めない」
場の一同が騒然としたが、眠たげなサミネが爆弾発言を投下する。
「魔王所有者の人生を調べたけど、最初の方はいい人だね。老人を最優先、赤ちゃんや子供を抱えている人にも席などを譲り、階段等で見掛けたら荷物を持ってあげている。近所からも好かれているね⋯⋯ただ、高校に入って2週間後から変わっている。それも、180度ね」
場が静まり返り、そこでナケラシはある事に気がついた。
「僕達がシステムを入れると決めて、着々と準備をしていた時か!」
「そうみたいだね」
「つまり、元々魔王のスキルは⋯⋯どゆうことだ?」
思考の渦に包まれるナケラシをほっておいてラシテが今後の魔王に対しての対策を話し合おうと切り出して、今から魔王に対する対策を話し合う。
「ただ、私達は干渉出来ない。神託のユニークスキル持ちは生まれてないし」
「ほんと、教皇ってなんの意味があるのやら?」
どこの教会の教皇もダンジョンに入ってないのでシステムの恩恵を受けれず、職業教皇のみが獲得出来る神託スキルを手に入れている人が誰もいないのだ。
自分の身が大事だとか、これは、神を排除しようとなんたこんたら、と言っている。
「ここはナケラシの特別観察対象に任せるしかないだろう」
「⋯⋯」
「どうした?」
「いやーね、翔君は確かに強いけど、それはあくまで1対1であり、相手がそこまで広範囲攻撃をしない敵に限るんだよ」
「え?」
「魔王は大量の魔物を使うだろう。それに、翔君が何処まで、⋯⋯親しい人を傷つける、倒せる、勇気があるのか」
アキサキの額に大量の汗がたれ始める。
「それって、まさか!爆裂魔法との繋がりが弱くなったのと、関係ある?」
「⋯⋯」
「ねえ!」
「いや、それは関係ない。それも、⋯⋯全く関係ない。後でその事にも話し合おうか。凄い成長を果たしている人が居るとゆうことだ。実際、取得時ランクアップも似たような状況だけど。と、話が逸れた。その爆裂魔法所有者の人が、魔王の一生に1回使える能力、強制支配で支配された。ちなみに魔王の強制支配は魂に絡みつく」
「魂にだと!」
アルトスが机を叩き、身体を乗り出して叫ぶ。
魂、それは神あっても、それは神話に出てくる神であっても制御が難しい代物。
つまり、強制支配は神であっても支配が可能であり、それを治す術は⋯⋯神であっても持ち合わせていない。
魂は複雑で完璧ではないものだ。
「もしも、原初の魔王が生きていたら⋯⋯話が変わって来たかもしれない。それと、777代目勇者」
ナケラシは誰にも聞こえない声で呟いた。
本当はみんなに言ったつもりだったが、強制支配の影響が大きく誰もナケラシに耳を貸さなかったのだ。
「どうする?」
「せめて、神託スキル持ちがいたらさっさと神託して魔王所有者を殺って貰えそうなのに」
「それは難しい」
「なんでよ」
ナケラシにしては珍しい顔をして呟く。
「この惑星には我々は認知されていない」
「そう⋯⋯だったわね。確かにゼウス様とか神統括の神達だったわね」
神を纏める役目を持っている神、それが地球で認知され、崇められている神の招待だった。
「しかも、魔王が本格的に暴れると、惑星が崩壊する」
今度はナケラシの爆弾発言だった。
「なぜ?」
「あくまで魔力を使って崩壊寸前だったのを外側から補強したに過ぎない。いずれ治すつもりだったが、魔王が暴れたら外側のコーティングが崩れて、結果的に惑星が崩壊する」
それは、人だけでは無い。
環境、動物、地球そのものも壊れる事を意味する。
「そして、生命が誕生しない世界になったらこの世界は終わりを迎える」
「つまり、ナケラシ以外の私達は世界をきちんと導けなかった事による罪で虚無牢か、死刑だね」
世界を管理出来なかった神は重たい罪になる。
ちなみに神が処刑されても数万年後には記憶を引き継いだまま転生を果たす。
虚無牢は何もない、何も感じな、何も分からない、狂った空間の牢屋だ。
「そうだな。僕は元々違う世界担当だったから罪はないだろうが、君達は違う。それと、また話しが逸れた」
「どうするの?」
「スー、勇者のスキルを送るしかないだろう」
「な!途中からスキルを渡すのは危険よ。そもそも適正持ちが居るかも分からないのに」
「ああ、確かに神が直接システムを稼動させている人に新たにシステム外のスキルを渡したらその人の魂が危ないかもしれない」
魂が壊れると、転生が出来なくなる。
つまりは本当の『死』だ。
「魔王を倒すには勇者が必要」
「でも、適正がいなかったら出来ない」
ナケラシは逡巡する。
「勇者の能力の1部をユニークスキルのどれかに混ぜる事は出来る」
それは、遠回しに勇者の適正持ちはいないと言っているものだ。
「特別観察対象か?」
「ああ、だが、最初はそうしようと思っていた」
「「「「?」」」」
「実はその人がもつ、ラプラスとウリエルがシステムに干渉しててね、そのー勇者の能力を預けようとしたら拒否られて送り返された」
「「「「既に試してたんかい!それに拒否られてんのかい!」」」」
綺麗にハモった。
「じゃあ、空間魔法所有者にする?あの子なら⋯⋯」
「⋯⋯あ、それも無理。拒否られて送り返された時についでにとばかりにその能力にロックをかけられてね。それが、また複雑で⋯⋯」
「ナケラシが複雑って言うなら凄い複雑なのだろうが、それは可能なのか?」
「ん〜普通は不可能。ただ、大昔にそんな事をできそうな子と知り合いでね。まあ、神ではないけどその子」
「そんな事が出来るの?」
「その子は魂の研究に没頭してからね。今では転生⋯⋯してるかも怪しい。長く生きたからね。魂がボロボロになるまで研究と因果に抗っていたから」
「⋯⋯まさか、その世界ってお前を愛してくれた『人』の世界か?」
「⋯⋯僕も、今でも愛してるよ」
「あっそ」
「軽いな。まあ、その通りだよ。それだけでは無い、真理を知った勇者もその子に手を貸したのさ、ただ、同じく転生出来ているかは分からないけど」
「もしも、その魔王が生きていたら?」
「それ、さっき言ったのに。⋯⋯多分、手を貸してくれるだろう」
ただ、と続ける。
「もしも、その子が生きていたら、その子が今まで生きていたら、きっと神になっているだろう。ただ、その子は神になる事を拒むだろうけどね」
結局、魔王の対策は神々の特別観察対象達に任せる事に決まった。
「頼むよ。惑星を、世界を、救ってくれ」
そう呟いたのは一体誰なか、それは、誰も、本人にも分からない。




