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『君と出逢ってから始まる物語』  作者: ガネット
第二章:新たな旅と旅の続き
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第五節:リトライ

足音の聞こえた方向——つまり遺跡の方を振り向くと、そこには深い緑色をした巨大な躯(むくろ)が聳(そび)え立っていた。

そして片方の手には、樹木をそのまま削り出したような巨大な木製棍棒。

——ハイオークだ。


「えっ……は、ハイオーク……!?」


ドスン……ドスン……ッ!


重い足音を響かせながら、巨体がミリアとペルセウスの方へと近づいてくる。


「なるほどな……。以前お前を襲ったハイオークは、この遺跡——ダンジョンから湧いてきていたわけか」


「……ペル。ボクにやらせて」


ミリアはいつもの明るい雰囲気を消し、真剣な眼差しでペルセウスに告げた。

ペルセウスは何も言わず数歩後ろに下がり、ミリアの背中をどこか懐かしそうに眺める。


——チャキンッ!


剣を抜き放ち、膝を軽く曲げて身構えるミリア。

ハイオークの動きを冷静に観察し、深く息を吐いて心を静めた。


(大丈夫……大丈夫。ボクはもう、絶対に負けないっ!)


「グアァァァッ!!」


ハイオークが咆哮を上げたその刹那。

ミリアは果敢に地を蹴って走り出し、一閃を振り下ろす!


——ザシュッ!


「アガァァァーッ!?」


左足へ深々と刃を叩き込まれ、激痛に悲鳴をあげるハイオーク。

血眼でミリアを睨みつけ、怒りのままに我を忘れて暴れ出した。


(怒ってる……。でも、だからこそ今がチャンスだ!)


恐怖を捨て、普段とは打って変わって冷静に現状を分析する。

怒り狂うハイオークが、巨大な棍棒をミリア目掛けて力任せに振り下ろしてきた。


——ドゴォォンッ!!


「ふっ……!」


頭に血が上った大雑把な攻撃など、今のミリアには見切るのも容易かった。

すんなりと攻撃を躱すと、棍棒は空を切り、勢い余って地面へ深く突き刺さる。

その隙を逃さず、ミリアはすささっと間合いを詰め、右足へ速攻の刃を叩き込んだ。


「はぁぁぁっ!」


——ズバァッ!


「グア゛ァ゛ァァッ!?」


両足に深い傷を負い、ガタガタと体を揺らして動きの鈍るハイオーク。激痛から再度咆哮を上げる。

ミリアは攻撃の手を緩めない。さらにスピードを上げて距離を詰める。

痺れを切らしたハイオークが丸太のような拳を振り下ろしてきたが、すべてを見切っているかのような無駄のない動きでギリギリ回避。

そのまま振り下ろされた腕の上を駆け上がり、首元へと躍り出た。


「これで……終わりっ!」


——ブシャァァッ!!


切断には至らないものの、首筋を深く切り裂かれたハイオークから大量の鮮血が噴き出す。

言うまでもなく、致命傷の一撃だった。

ドスンと大きな音を立てて、ハイオークの巨体が倒れ伏す。


「やったよっ! 見てた、ペル!?」


「よくやったな。ハイオークを倒せたということは、Cランク相当の魔物なら十分相手にできるということだ」


「Cランク……! Cランクの魔物をボクが!?」


褒められて、飛び跳ねながら大喜びするミリア。


「たった一度の修行で、ここまで魔力を使いこなしてみせるとはな。まあ剣術の方はまだまだだが……戦闘中に冷静に対応できたのは流石だな」


「えへへ、そんなに褒めるととけちゃうよぉ〜?」


デレデレと照れるミリアを見て、ペルセウスはふっと息を漏らした。


「一度休憩を挟むか。肉もあることだしな」


ペルセウスは周囲に落ちていた適当な木の枝を集めて山を作ると、静かに手をかざした。


「——インフェルノ」


彼が短く呟いた瞬間、紅蓮の炎が爆発的に燃え上がり、集めた薪も枝もまとめて吹き飛ばした。


——ドカァァンッ!!


「ふぇっ!? な、なんで吹き飛ばしたのぉーーー!!!?」


「……いや、すまん。威力をギリギリまで抑えたつもりだったんだが、ダメだったらしい」


不器用そうに手をもみながら、ペルセウスは気を取り直してもう一度手をかざす。


「……ファイアボール」


今度はポンッと小さな火が灯り、無事に焚き火が出来上がった。

ペルセウスは淡々とした手つきで、先ほど仕留めた肉を焼き始めていく。


「ねぇペル、これが魔法……?」


「そうだな。火属性の初歩的な魔法だ」


焼き上がる肉を見つめながら、ミリアはふと気になったことを尋ねた。


「じゃあ、さっきの吹き飛ばしたやつは……?」


「……あー、あれは悪魔の……いや、火の上位魔法だ」


ほんの一瞬、ペルセウスは慌てたように言葉を濁し、露骨に視線を逸らした。

ミリアはそれ以上追求しなかった。ペルセウスの言葉を、そして彼自身を心から信じているから。


香ばしく焼き上がった肉をたっぷり食べてお腹いっぱいになると、軽く休憩を挟んで装備を整え直す。


「よーっし! 初ダンジョン攻略、行っくぞー!!」


「飯を喰ったらすぐに元気になりやがる。……いや、いつもうるさいか」


「ひっどいぃー!」


いつもの賑やかなやり取りを交わしながら、ミリアとペルセウスの二人は、静まり返るダンジョンの闇へと足を踏み入れていった。


あとがきだよー!


やっほー! ミリアだよ!

今回はボク、大活躍だったでしょー!


……まあ、あれくらい倒してもらわないと困るがな。


もうっ! ちゃんとストレートに褒めてくれたっていいじゃん! ふーんだ!

それよりさ、あの薪を吹き飛ばしたのなんなの!? ボク、本当にびっくりしたんだからね!?


ああ……。お前と違って、俺は魔力の操作が得意なわけじゃないからな。つい出力が出すぎた。


……へぇ〜? ん? 今、ボクのこと実質褒めてくれた感じ……!?


うるさい。先に行ってるぞ。


あっ! 待ってよ〜! 照れてるんでしょー!!

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