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不羈奔放なパーティですが、  作者: 西園寺未來
ヴァンパイアの洞窟
5/6

依頼開始です

灰色の髪がふわりと揺れる。


にっこりと笑う姿は誰かの心臓を射抜くぐらいの破壊力があった。



「皆さんは旅人の町で暮らしてるんですよね?」



「うん、そうだよ」



血の匂いが微かに漂う。



「陽の光とかって大丈夫なんですか?」



「日傘を差していれば問題ないですよ」



フレアがキラキラと輝く王子様スマイルを浮かべる。


それにゾッと悪寒が走って1歩分距離を開けた。


スヴェンは「なるほどぉ……」と呟いて凸凹でこぼこの道を歩き出す。


数分後、ハッとした様子で僕らを見て言った。



「そういえば何か見たいものとかありますか?案内しますよ!」



「それじゃあ石が知りたいです。パワーストーンとかいう……」

「ああ!こっちです」



瞳のプラスマークがクワッと大きくなる。


興奮気味に駆け出した彼女は僕らを全く見ない。


それどころか気を抜いたらはぐれないそうだから、どんどん足を進めていくしかない。



「パワーストーンをお求めってことは、何か運気を上げたいことでもあるんですか?」



軽快なステップというか羽を使ってくるりと半回転して立ち止まる。



「金運を上げたいなぁと思って」



「俺は恋愛運を上げたいです」



率直な意見が飛び出すのと、ほぼ同時だろうか。


殺気がグンと伝わってくる。



「伏せて」



言うと同時にスヴェンの背中を強く押す。



「きゃっ」

ーシュンッパシッ



「取れた……あっごめんなさい、強く押しちゃって……」



申し訳なさそうな表情と声色を作りながら、取れた紙をポケットに押し込む。


彼女にバレないように飛んできた矢をグッと前に突き出す。



「あの……それって」



酷く怯えた視線にあっと気づく。


押されたと思ったら見慣れないものがあるんだもんな、そりゃ怖いか。


安心させるように肩をポンっと叩いて、



「大丈夫だよ。きっと迷惑な観光客か旅人がコウモリを狙ったんだと思うから」



と言った。


まだ不安は拭えないようだがスヴェンは力強く頷いた。


フレアをちらっと見る。



「俺、お腹すいちゃって……どこかいい場所はありますか?」



「ご飯……でしたらこっちです!」



すっかり元気を取り戻した様子でニパッと笑った。


空元気とはまた違うので心配しなくてもいいだろう。


全く体格の違う2人の背中を捉えながらアイツの方は今どんな話をしているのか小石につまづくまで考えているのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あぁ、実は依頼が終わったら行こうと思ってたんですよ」



「いいですね……さて、本題に入りましょうかマグレーネさん」



BGMが止まったみたいになんの音も聞こえなくなる。


不気味な瞳孔がコチラを捉えて離さない。


彼らも私に見つめられたらこんな気分なんだろうか。


いや、違うか。


少なくとも私は今ワクワクしている。



「依頼内容は〝誘拐された子供の保護と犯人の拘束〟でしたよね。場合によっては拘束出来ないかもしれませんが大丈夫ですか?」



「はい。そうじゃなかったら貴方たちに依頼なんかしませんよ」



口角は上がっているが目が笑っていない。


まぁ笑ってたら怖いけどね。



「ですよね〜で、計画は私が囮になって誘拐される。その後にあの2人が敵のアジトに侵入ってな感じで合ってますか?」



「…………すまない」



「謝らなくていいんですよ。あの二人じゃあ大きくて到底子供には見えませんからね」



この場に合わぬトーンで話し続けた。


いくら種族が違うとはいえ流石に170cmと180cmの子供は大分無理がある。


対する私は146cmだ……まぁ本当は160cmだけど、魔術で子供にしていて良かったと思った。


苦虫を噛み潰したような表情を赤黒い手袋で隠す。



「それじゃあ私は行ってきますので、普段通りにしていてくださいね」



クルリと身を翻して小声で呟く。



「依頼人を護ってルイ」



「はーい」と気の抜けた声がした。


彼は私と契約した亡霊だ。


亡霊だからもちろん身体は無いし、声だって私にしか聞こえない。


けれど海水で作り出した体に乗り移れば戦える。


暗い洞窟から抜け出した私は誰も近寄らなそうな場所に足を踏み入れた。



「まって〜きゃっ」



つまづいて転んでしまう。


血がじわっと滲み出て重力に従い落ちていく。



「うっ……うっ」



ポロポロと涙が溢れ出す。


そんな私を大きな影が落ちた。



「僕ぅ大丈夫かい?」



「ひっ」



誰だこの人……怖い!!なーんて思うのだろうか。



「おにいさんだれ?」



「俺?俺はそこのレストランでバイトしてるんだ。あれっ怪我してるね。手当してあげるからおいでよ」



子供にかける力とは思えないぐらい強く引っ張られる。



「いたいっ!」



大声を上げると口は布で抑えられた。


鼻まで抑えてしまってるので下手くそだなぁと場違いなことが浮かぶ。


そんなことしたら死ぬだろうに。


意識を失った振りをして体の力を抜く。


彼は物でも掴むようにして私の体を知らない場所へ運んで行った。


やっぱ下手くそだなぁ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お口に合いましたか?」



不安げに聞いてくるスヴェンは大きな瞳をパチパチさせている。



「あぁうん!とっても美味しかったよ!」



元気よく言ってみたがメニューを見て衝撃を受けた。


大半が血液を使っており、僕の好きなオムライスもトマトが血液に変更されていたので仕方なくオムレツを食べた。


美味しかったけど。


瞬間、辺りが涼しくなった。


合図だ。



「すいません、トロッコに忘れ物をしてきたので取りに行ってきます。メツナ、スヴェンさん送ってあげてくれるかな」



「分かった。気をつけてね、さっきのこともあるし」



「あぁ」



本当に荷物を取りに行く姿でフレアはセインの後を追った。


僕は一旦待機だな。


初仕事は僕の出る間もなく終わりそうだ。



「行きましょうか、ほんと何やってんだかっ」



言い終わると同時に脚でボウガンの矢を蹴り飛ばす。


これで2度目。


明らかにスヴェンを狙っている。



「…………怖いよね。大丈夫だよ、護るから」



「はっはい……」



心底怯えきった様子で僕の腕をぎゅっと掴んでくる。


さてと、どうするかな。


まぁ建物に身を隠すのがいいだろうな。



「失礼っ」



スヴェンを米俵の要領で担ぎ、走った。


その間もどんどん降ってくる。


矢の雨とはこういうことを言うんだなぁ。


ここまでの量となってくると流石に他の人々を異変に気づいて逃げ始める。


僕は何も考えずに近くの建物に滑り込むように避難した。

オムライスはデミグラスソースが1番好きです。茄子を入れたやつもあると知って驚いている。


良ければ評価やコメント、ブクマをお願いしますm(_ _)m


[作中で登場しないであろう小ネタ]

セイン=ポドリファはポセイドン/ポセイドーンを入れ替えてます。これを思いついた時は天才じゃないかと信じてました。

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