命拾い
なんとか今日もオレは生き残ることができた。
初老の男性に小脇に抱えられ、オレは家に中に入る。
ちなみに、落ちた後、自力で登ってきた。
この鬼畜男は登ってくる途中で無数の石を落としてきたが。
「イツキ、おかえり」
イリスはあやとりの途中だ。
遊んでいるように見えるがこれも修行の一種らしい。
イリスの相手を妙齢の女性がしていた。
「今日もボロボロですね、すぐに食事の用意をしますから、待っていてください。」
天使だ……だけど、この天使も修行が絡むと鬼に変わってしまう。
男性の方はオールさん、女性の方はプラータさんという、二人は義兄妹らしい。
鬼畜と鬼の義兄妹だ、こんなことを考えていることがばれると明日の修行が地獄になってしまう。
なぜこんなことになったのかというと、それは三週前に遡る。
◇
眩しさを感じ、オレは目が覚めた。
「ここは?」
オレはベッドの上で眠っていた。
イリスも腕の中でぐっすりだ。
おかしい……オレは白と戦った後、あのまま外で眠ったはずだ。
寝ながら移動なんて器用な真似はオレにはできない。
誰がオレ達を移動させたんだ?
周囲の状況を確認したいが、腕の中のイリスはオレを解放してくれない。
オレの服をつかんで離さない。
ここはどこだろう?
この村の中にこんな部屋あったっけ。
首だけを動かして、部屋を見回した。
そうだ、この部屋は大きな家の物置だ。
窓から入る光は赤い、夕方みたいだ。
物はほとんど出されていたが、レイアウトは一緒だ。
そういえば、体の痛みがない。
腕を動かしてみるが、異常がなかった。
折れたはずの右腕もまったく痛まなかった。
多少、体のだるさは感じるものも完治している。
誰が治療してくれたのだろうか?
ガチャリと音がした。
部屋に誰かが入ってきたようだ。
首を動かし、ドアの方を向いた。
そこにいたのは女性だった。
年の頃は30代前半ぐらいかな。
キャリアウーマン系の黒髪美人だ。
何かを喋りかけてきているが、何を言っているかはわからない。
言語はやはり日本語じゃないみたいだ。
だが、それより重要なことがある。
とても重要だ。
ケモミミだ。
本物のケモミミ。
作りものじゃない正真正銘本物のケモミミだ、時々ピクピク動いてるから間違いない。
猫じゃなくて犬だな。
犬の中でもシベリアンハスキーとかに近い、立ち耳だ。
そんなことを考えていると、女性は部屋から出ていった。
もう少し眺めていたかったんだけどな。




