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往路妨害

 町の外に出るとそこには馬車があった。

ただその大きさはひたすらにでかい。

『大きいね』

「いや大きすぎるだろ」

 横幅は決して狭くはない門から続く街道の2分の1を塞いでいる。

さらにその荷台の大きさたるや、10トントラック以上にあり、それを支える車輪は通常の物ではなく戦車や重機に使われている無限軌道だ。

もはや馬車ではない気がする。



 馬車の正面に回り込むとアレックスが立っていた。

プライベートなので衛兵の鎧ではなく、革製の胸当てを付けており、背には模擬戦の時に使っていた両手剣の金属版があった。木製じゃないのでアレックスの力で殴られたら大抵の生き物は即死だろうな。



「おいアレックスこれはなんだ」

「おう来たか。これに獲物を乗せるんだ」

「大きすぎるだろ」

 狩りに必要な荷車などの用意はアレックスがしてくれる手筈だったけど、女将さんに頼めばよかったかもしれない。

オレの中でイリスが呆れているし、オレも若干だが呆れてしまった。

「いや実はな。もっと小さなやつを借りる予定だったんだけど、それが使われちったからな。残ってるのはこれだけなんだ」

 アレックスは笑いながら言うが、現在周りにとても迷惑をかけているので笑っている場合ではない。

現に町に入ろうとしている人たちの中にはこちらを睨んでいる者もいた。

 ラビさんが怒ってたのはこれが原因か。

こんな大きな物が道を狭めていたら邪魔で仕方ない。



 視線が痛いので早くここから移動した方がいいのだがおかしいことがある。

馬車を動かす輓獣が見当たらず、あるのは馬車本体だけだ。

「引く奴がいないんだがどうするんだよ」

「俺が引く」

そう言い、アレックスは本来なら馬などが括りつけられる部分に向かった。

「いや無理だろ」

 いくら力があったとしてもこれは一人の人間が動かす代物じゃない。

昔マッチョの人がトラックを引いているのをテレビで観たがそれとは状況が違う。

あれは限定的な距離だし、舗装された場所でやっていた。

 今回は狩りに行くので街道ではなく舗装されていない場所を通り、距離も未定だ。

それに輓獣を使ったとしてもこの大きさだったらも一匹どころでは済まない。



『どうしようか?』

「本当にどうしようか」

馬を借りる伝手なんてないしな。

 そんなことを考えていると馬車は普通に動き出した。

「イツキー。早く行くぞー」

 そう言うと彼女は小走りで街道を駆けていった。



『すごいねー』

 確かにすごい。

あれを軽々引けるとはな。

正直彼女の怪力を甘く見ていた。


キャタピラって商標って初めて知りました

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