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武神の寵愛  作者: 揺木 ゆら
第一章 武神の寵愛
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第十三話 エピローグ:終わりの宴と、その裏で


 閉じられていた俺の瞼の中を、赤い光が透き通って広がっていく。


「ふわぁ……んあ?」


 開いた瞳の中に、ベッド横の窓の外で沈んでいく夕日が、遅い目覚めの挨拶を語り掛けてくる。

 周囲を軽く見渡すと、そこに見慣れたギルド内の俺の部屋だった。壁に掛けられた制服と、ベッドの隣に立てかけられた刀。それに加えて何やら重そうな袋がずっしりと置かれていた。


「……って、サイクロプスは?」


 いや、そうではない。

 それよりも、見慣れたものが残っている部屋の中にいるという事は、俺はあの後死なずに済んだのか。

 どうやら俺はベッドの上に寝かされていたようで、上半身を起こすと掛けられていたシーツがはらりと落ちた。

 意識が落ち着いてくると、下の方からはいつも通りのどんちゃん騒ぎが聞こえてくる。

 おそらくはそこにリンもいるだろう。

 彼女から話を聞こうと、俺は部屋を出て一階の酒場兼クエスト受付に向かった。

 そこでは一日の仕事を終わらせた探索者たちが今日も騒がしく酒を飲んでいるが……リンの姿は見当たらない。慌てて周囲に目を走らせて彼女を探すも、受付嬢の中にもウェイトレスの中にも彼女らしき姿は見受けられなかった。

 そんな、端から見れば挙動不審な俺に一人の女性が話しかけてくる。

 褐色肌で白髪美人の……少々俺には目の毒となる容姿を持つ女性だ。しかもやけに露出が多く、本人を直視するのは逆に恥ずかしい。


「おや、リューヤ君。目が覚めたのかい?」

「は、はあ。それより、えーと……どちら様で?」


 そう尋ねる俺の声に、彼女は僅かに眉を寄せた。


「君の救出作戦に名を上げた者さ。藍色ランク、『戦鎚』のアリアって言ったらある程度知られているハズなんだけどねぇ」


 言葉と共に首を傾げる彼女に、俺は慌てて頭を下げる。

 『戦鎚』と言うのは恐らく彼女の持つ二つ名だ。探索者ギルドの中では、特に実力の高いものに対してその戦い方にあやかった呼び名を送られると前にリンから聞いたことがある。目の前の彼女も、そんな実力者の一人なのだろう。

 しかもどうやらサイクロプスと戦っていた俺を救出するために、わざわざミナト村まで来てもらっていたらしい。そんな彼女に対して、名前も知りませんと言うのは流石に失礼だった。


「す、すみません。……ですが、その俺の救出作戦と言うのは?」

「ああ、まずはそっちの顛末の方が気になるかい。んじゃ、とりあえずこっちへ来な」


 彼女は俺を引っ張っていくと、既に酒盛りをしていたらしきテーブルの一つに座り込んだ。その傍には彼女の名に相応しそうな、派手な装飾のされた金属製の鎚が立てかけられている。

 そしてその正面にはもう一人、見知った女性が座っていた。


「おや、リューヤじゃないの。突然アリアが席を立ったと思ったら……体は大丈夫なのかい?」

「グレナさんじゃないですか。えー、はい。特に動きに支障はないみたいですが……どうも、お久しぶりです」

「そうだねぇ。最近はリンにお熱でこっちには全くと言っていいほど話しかけてこなかったじゃないかい。まったく、お姉さんは悲しいねぇ……よよよ」


 鳴きまねをするが、これは要するに謝罪として何か奢れという事か。

 どうせ暫く話していなかったし、丁度良い機会だ。話を聞くついでにこれまでの礼も含めて、俺はため息をつきながら再度口を開いた。


「はいはい、分かってますよ。んじゃ、今日は俺が払いますよ。何とか生き残れた記念としてね」

「おお、分かってるねぇ! それじゃあ吐くまで飲もうじゃないか、あ、ビールもう一つね!」


 ころっと態度を変えて笑いだすところを見る限り、やはりそれが狙いだったらしい。


「まったく、いい加減年下にたかるような真似は止めないか。だが、お祝いという点ではまさにこの場は間違ってはいない。アイツも十分、君のことを心配していたからな。お礼にはちょうど良いだろうさ」


 苦笑いしながらアリアさんは、こちらに既にテーブルに並んでいたオーク肉の香草焼きを勧めてくる。

 それを頬張りながら、俺は彼女に今回の事件の顛末を聞くのだった。


「さて、まずはどこから話したものか。――あの日、そう、三日前になるかな。いきなりギルドにリンが駆け込んできて、赤ランクの昇格試験にサイクロプスが出現したって言ったんだったかな。流石に誰もが一瞬その言葉を疑ったが、このギルドで彼女を可愛がっていない者はいないから、すぐに皆彼女のいう事を信じたさ。と、君はそのことを――」


 問いかけるように一旦言葉を区切ったアリアさんに、俺は頷いて続きを促した。


「――ああ、知っているのか。どうせそこのグレナが君に喋ったのだろう。ともかく、続けるぞ。それで、すぐに君の救出依頼が出されて、その場にいた我々が急遽パーティーを組んで出発したわけだ。うむ、あそこまで真面目になったリンは久々だったな。彼女も虎の子の魔剣を引っ張り出して、私もそこの鎚と共に、全員バイコーンを駆って急ぎミナト村へ向かったのだよ。……だが、我々がその場にたどり着いたとき、全ては終わっていたのさ」


 どういうことか、と首を傾げるこちらに彼女の方も首を傾げた。


「君の方も、アレについては何も知らないのか……?」

「アレ、とは?」


 彼女は少しの間言いにくそうに口籠もっていたが、やがて同じく話を聞いていたグレナに視線をやった。


「なんかしらねぇ、その目は。別に、わざわざ話の内容を言いふらす気はないよ」

「そうか、なら良かった。今回の件は余り広めないように言われているからな。――さて。我々は村にバイコーンを預け、早速森の破壊跡をたどって君のところまでたどり着いたわけだが……そこに居たのは、一人の女性だった」

「……はい?」


 突然謎の女性が登場してきたことに、俺はぽかんと口を開けてしまう。


「うむ、君にとっても意味が分からないようだが、その状況に遭遇した私たちも訳が分からなかったよ。なにしろ、サイクロプスを追いに来てみれば見たこともない美人に遭遇したわけだからね。それも、とびっきりの美女と来たものだ。私も幾ら女とはいえ、あそこまで突き抜けていると、もはや嫉妬の気すら起きなくなるくらいの美しさだった。しかも、その女性が我々の探していたサイクロプスの上に腰掛けていたとなれば、なおさらだ」


 ……とりあえず最後まで話を聞いてみよう、と俺はこれ以上のツッコミを我慢した。


「その女性はこちらを見つけた後、我々の戦闘に立っていたリンに向けて歩いてきたんだ。それから一言二言彼女に伝えた後、彼女は魔力の霞となってその場から姿を消した。と思ったら、その中から気絶した君が現れてね。とりあえず君の安否確認はそれで済んだので、私たちはその後、君を連れてここまで戻ってきたと言う訳さ。大まかに言うと、そんな感じかな。何か質問はあるかい?」

「とりあえず、サイクロプスについてなんですが。結局、あれは死んだという事になるんですよね?」

「ああ。私たちが着いた時点では下半身が吹き飛んでいたからね。あれで生きているとは、到底言い難いかな。……あ、そうそう。あれの素材についてなんだが」

「素材ですか?」

「うん。あれを倒したのは一応君の手柄になっているからね。その素材だって、君のものさ。そりゃまあ、実際は訳の分からない女性が倒したみたいだけど。我々もその現場を直接は見ていないし。それに、これだけの魔物だ。倒したからには功労者の名前が必要だからね。手柄と共に、君に所有権があると考えられる。――のだけれど」

「どうかしたんですか?」

「例のサイクロプスは普段のものと違っていたと聞くが、その通りだったのかい?」

「普段がどうかは知らないですけど……。なんか全身が黒く染まったり、目から紫色の炎を吹いてきたりしました。ついでに空気で出来た刃なんかも」

「火の上級魔法に、風魔法まで……」


 彼女は少しの間考えた後、再度口を開いた。


「確かに魔法を使う魔物もいるけれど、そういった魔物はよほど高ランクでないと見受けられない。それにサイクロプスが魔法を使うなんて聞いたことがないし、まず普段のとは違うだろうね。ま、現場に残っていた痕跡からもある程度は推測できていたんだが。そういったところを報告したところ、国の人間が来ちゃったのさ」

「……それで、研究用に素材を買い取りたいと?」

「ちょっと違うね。素材を買い取るとの命令さ。こちらとしても自主的に調査したいギルドとの折衝はあったみたいだが、その素材は全て向こうの連中に買い取られたんだ。その代わりに大金が払われて、君の部屋に置かれていたと思うけど……」


 そういえばと、部屋の隅に置かれていた巨大な袋の存在を思い出す。やけに重そうだなとおもったら、あの中は金貨や銀貨が大量に詰まっていたのだろうか。


「本来ならばリューヤの素材なんだけどね。あれだけの個体の素材なんだから、武器や防具の材料にすればかなりの逸品に仕上げられたハズさ。でも、私達じゃ抵抗できなくてね。強制的にお買い上げ、さ。悪かったね」

「いえ、流石に国とかが相手ではどうしようもないと思いますし。それにお金が入ってきたのなら、それで良しとしますよ」


 それが対価もなしに一方的に回収されたと言われたなら、権力への納得はしても近い内にこの国を出ていくことになっただろう。


「そうか? ……まあ、本人が納得しているならこれ以上私が口を挟む必要もないか」

「げっぷ。んじゃ、それで話は終わりなんだろ? だったらとりあえず、ほれ」


 ここで突然、グレナが俺とアリアさんの中に割り込んでくる。その吐息は非常に酒臭い。


「うっ、お、お前、私たちが話している間にどれだけ飲んだんだ」

「そりゃもう、いつも通りに一杯さ。それよりも、ほれほれ」


 彼女は俺たちに絡みつくようにしながら、その手に握った小さな樽状のコップを俺たちに押し付けてくる。その中身はもちろん、なみなみと注がれた酒だ。


「いつまでもつまらない話をするのは止めて、今日はリューヤの快気祝いだ。ならば飲まなければ。そう、飲まないと」

「いや、俺は地元の法的に酒は……」

「うるさい! ここはガリスティアナだぞ、郷に入っては郷に従わないとねぇ!」


 これだから酔っ払いは、と避け続けているとなんとこれまで良識人だったアリアさんまでもが俺にその器を受け取ることを勧めてくる。


「そうだな。ここは、素直に受け取っておいた方が良いぞ。何もまるっと全部飲めと言っていないだろう? 最初にちょっとだけ飲んで、その後は私かグレナに渡せばいい。こういったのは酒よりも雰囲気を味わうものなのだからな。と言う訳でさあ、君も持って」


 流石に二人以上の勧めがある以上、受け取らない訳にもいかない。

 俺は仕方なくその取っ手を握多後、他の二人に倣って器を高く掲げた。


「それでは――不幸なリューヤの見事な回復を祝って」


 その言葉を受けながら、俺は改めて今回の惨事を振り返った。

 この世界に来てから、日本では考えられないような出来事ばかりだった。ギルドに所属することから始まり、薬草を拾うついでに突然ゴブリンと遭遇したこともあった。そして極めつけは今回のサイクロプスとの闘いだ。

 生と死の綱渡りの逃走を繰り広げたり、その後は思い返せばなぜか奴と刃を交えるような事態にも発生した。

 ……そういえば、あの時俺はなぜあれと戦うことを決めたのだろう。

 俺は、どう考えても勝ち目のない戦いに挑むような人間だっただろうか――否。

 俺の心の底から響いてきた、俺ではない何者かの声。それに導かれるようにして、俺は奴に剣を向ける選択肢を選んだのだ。


『――そうだ、戦え。戦わねば先はない』


 そんな声に誘われるように、俺は戦う道を決めた。

 あの声は――あの、鈴の音のように凛とした女性の声はなんだったのだろう。

 心当たりのない疑問に首を傾げながら、俺は意識を現実に戻す。


「「「乾杯!」」」


 それぞれの器をテーブルの中心でぶつけ、一気に中身をあおる。

 アルコールの強い臭いが漂う中の液体が唇に触れた瞬間。

 ――お前の、この先に続く戦場での成長に。乾杯だ。

 そんな、例の女性の声が聞こえて。

 俺はこの、平和な世界とは違う新たな世界へ来たのだという実感を、喉を焼くアルコールの刺激と共に受け入れたのだった。



 ■■■



 ――最悪ね。

 緊張によるお腹の痛みと、この後何をどう話したものかという悩みを同時に抱えながら私は目の前の玉座に座る男性へと跪いていた。


「さて、リン・フェルトよ。まずは此度の出来事に関してだが、大儀であった」


 そんな重厚な声が、男性の口から放たれる。

 男性の正体は、このガリスティアナを治める国王。アルカディア・ガリスティアナ。通称、『剣王』アルカード。個人の武勇を語るなら、まず世界の頂点の一つに数えられる偉大なる剣士だ。

 なにしろ王子時代から始まる、数々の武勇伝はその中身の一つ一つが狂っている。部下と共に王国東部の森の一部を支配する竜を撃退し、その一帯を王国の支配地として切り取った。戦争では少数部隊で敵の中枢まで正面突破し、大将からその部下までそのすべてを討ち取った。しかもそれらの逸話においては常に先陣を切り、また常に部隊の先頭に立っていたと言う。

 控え目に言って頭がおかしい。


「はい」


 そのような人間を前にして、平然としていられる訳がない。


「其方は普段からその実力を以て探索者ギルドの間で名を知らしめていると聞くが……我が国においてそのような実力者が若者の間からも育っていることは、実に素晴らしきことだ」

「光栄にございます」


 というか、なぜ私が呼ばれることになったのだろうか。

 確かに私は今回の事件に関して言えば、リューヤと同じく中心人物に相当するのだが。それでも王城での謁見をするくらいなら、素直に高ランクのアリアさんがやればよかったのに。


「だが、今回の本題は其方ではない。もう一人、今回の話の核を担う人物……リューヤ・タケガミという男に関してである」


 ……なるほど。私が呼ばれた理由はこれか。


「このリューヤという男が、今回現れた摩訶不思議なサイクロプスを討伐したのだろう?」

「その通りでございます」

「そう、そこがまさに、件の魔物と同様に不思議なのだ。聞けばその男はギルドに登録して数週間、未だゴブリンを倒した程度の実績しか持たぬ赤ランクではないか。だというのに、いかにして通常より強力なサイクロプスを打ち破ったのか。其方はこの男の専属受付をしているのだろう? ならばどのようにしてそのリューヤとやらが戦ったのか、分かるのではないか?」


 顔を上げずとも分かる。まるで身を乗り出すほどに、リューヤに興味を持ったのだろう。

 それは『剣王』としての武人たる故か、それとも王としての武力的価値を図りたいが故か。

 いずれにせよ、今の私いかんで彼の今後が大きく変化する可能性がある。そんな中、下手に全てを話してしまうのは良い選択肢とは言うことが出来ない。

 かといって嘘をついて、後に罪に問われるのも面倒だ。とすると、ここは素直にアレを使うしかないか。


「……分かります」

「おお。それでは話してくれるか?」

「いえ、それは出来かねます。ギルド全体において、所属する者の情報は伏せるべき義務とされていますので」


 ギルドと言うのは国を超えた組織だけあって、基本的に一国に肩入れをすることはない。戦争の際なども傭兵としての探索者の参加を斡旋することはあっても、その際に建前上は特定の国を優遇することはないと定められている。それ故に、どちらかが有利になるように情報を国家に流すことを禁止するといった条項もあった。

 戦争時ではないとはいえ、今回の事をそれに無理やり当てはめればしらばっくれることはできる。下位の者である私であれば、上の定めた規則に縛られる他はないと。


「むう、ここでそれを持ってくるか。とすれば、余としても無理に吐かせるわけにはいかぬ。ならば率直に其方は何を望む? 金か? 名声か? 何を取らせたなら、情報を話す?」

「いえ、特に望むものはありません」


 どうやら賄賂による懐柔を試みられたようだが……剣王には悪いけれども、正直に言って今の私は急ぎお金を必要とする理由もない。

 当面の生活に必要な分はとっくに稼いでいるし、武器や防具なども十分なものを揃えている。だから収入は探索者として働くよりも低くとも、安定している受付嬢の仕事を引き受けているのだ。もし本当に困っていれば、既に受付の制服を脱ぎ捨てて剣を握っている。


「……本当に望むものはないのか?」

「はい」


 その返答に周囲にいた貴族などから、責めるような視線を向けられてくる。

 だが本当に欲しいものもないのに、それでリューヤを売り渡す気にもなれないのだからどうしようもない。

 甘んじてその視線に耐えていると、壇上の剣王からも困ったような声が届く。


「うーむ。余も細かな駆け引きは苦手だが、相手が話す内容が嘘か真実かくらいは判断できる。その上で、今の其方が、何ら嘘をついていないことは分かるのだ。さて、これは困ったものだ」


 暫くの間、唸るような剣王の悩み声だけが王座の間に響く。

 ……私としては、この場で短期的な暴力で口を開こうという答えに至らないことを願うばかりだ。しかし、そんな本音をわざわざ口に出すほど私は死にたがりではないので、素直にここは黙っておく。

 そうしていると、やがて王の近くに立っていた一人の貴族が口を開いた。


「王様。僭越ながら申し上げますと、一旦そこのリンとやらは帰してしまえばいいのでは? そして後日改めて、そのリューヤとやらをこちらに召喚すればよろしいでしょう」

「良いのか? なにしろ単騎で異常なサイクロプスを倒した者だ。貴様らが危険だ、などと言って反対すると思っていたのだが」


 それは王の危険というより、戦いになった場合に巻き込まれるであろう自分たちの身の話ではなかろうか。


「いえ、流石に我らが王には敵わないかと」

「そうか? ……では、そうするとしよう。リン・フェルト」

「はい」

「本日はもう其方に尋ねることはない。ただ、日を改めてリューヤとやらに使いをよこすため、その旨を伝えておくように。以上だ。では、寄り道をせずにまっすぐ帰れ。いいな?」

「……? はい」


 その言葉を受けて一瞬意味が分からなかったが、周囲の貴族たちがびくっと反応を見せた。

 なるほど、この場所を出た後に他の貴族たちに誘われないように釘を刺したのか。恐らく私にではなく、周囲の貴族たちに。たった今反応を見せたのは、この後どのようにして私を勧誘しようかと企んでいた連中なのだろう。それでも、国王にはっきりとその機会すら許さぬと言われたのだ。逆らうような真似をすれば自らの首を絞めるのだから、彼らの方からはなにもしてこないだろう。

 そんな事よりも、私は途中の王の一言がずっと頭の中に残っていた。

 後日改めてリューヤを呼び出すという、あの一言。


「……大丈夫かしら」


 リューヤに、格上の人間への対応というものが身についているのか。

 また、彼が誤って自身の加護について話してしまう。もしくは話すきっかけを掴まれてしまうのではないか。

 とりあえずは、目が覚めたらその事について対策を取れるよう話しておかなければ。

 そう考えながら、私はギルドへと続く帰路につくのだった。






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