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死者の告発  作者: 浅見カフカ


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鈴木・西野連続殺人事件

「YouTubeの動画を見て、鈴木淳也の関与を確信しました。高校の後輩として選挙応援中の鈴木に近づき親しくなりました。その後、祝勝会として飲みに行き、酔い潰しました。脅迫して情報を引き出した後に、首を絞めて殺害しました。ハリギリに吊るして明らかな偽装工作をしたのは、ハリギリの別名がセンだったからです。センは木へんに全——つまり木全と書きます。彼はすぐに気付きました。次に西野は愛人のマンションで眠っているところを絞殺しました。西野は起こさないように殺しました。鈴木と違い格闘では勝てないと判断したからです」

「ちょっと、理解が追いつかない」

島田は頭に手を当てるとそう言った。

「で、これは誰が犯人として語っているんだ?」高木も首を傾げた。

「ひとりでは無いのですね」

音尾の言葉に千早は「はい」と頷いた。

「佐藤圭太と共犯者です」

「最初のは、誰が何をしたのですか?」島田の問い掛けに千早は音尾を見た。

「服務規程違反ですが、千早さんが言う分には大丈夫です」

「分かりました。鈴木の事件では偽鈴木が存在していました」

「聞いてないぞ」

高木が不満を口にした。

「ちょっと、仕方ないでしょ」

島田が肘で高木を突くと、口を尖らせたまま沈黙した。

「偽鈴木は交番とラーメン屋でその存在をアピールしますが、実際の鈴木は既に殺害され吊るされている最中でした」

「アリバイ工作ですか?」

島田がごく当たり前なことを尋ねた。

「ひとつは警官を交番から出さないためです。ラーメン屋については共犯者の時間を稼ぐ為です。佐藤圭太が疑われた時に、アリバイを盾にしながら捜査の目を自分に集中させるのです」

「捨て身じゃねぇか」

「そうですね。少なくとも刺し違える覚悟での犯行です。それだけに最後のターゲットは白昼堂々と狙われてもおかしくありません」

「それは木全市長暗殺の形もありうるのですね」音尾がそう言うと千早は頷き「湯島を救わなくては非常に危険なことになります」と答えた。

「話が先へ行き過ぎました。佐藤圭太と共犯者は鈴木を脅して二十年前の事件の真実と全貌を聞き出しました。その後に殺害し、共犯者が吊るしました。その間、佐藤圭太は一連の工作をしました」

誰かが唾を飲む音が響いた。

「西野からは情報を引き出さなかったのか?」高木が不思議そうに眉の片方を上げた。

「西野は体格が良かったのでしょう。違いますか?」千早の投げ掛けた質問に音尾は「190cm100kg」と短く答えた。

「ああ」高木の諦めた声が上がった。

「あの偽装自殺は?」

島田が律儀に手を挙げた。

「あれは予定外でしたね。恐らくは共犯者が殺害して、自殺を偽装した佐藤圭太が油断した木全を襲う計画だったのでしょう。湯島は共犯者に任せて」

「予定外とは何ですか?」

「愛人がルーティン通りに外出しなかったとか、たまたま施錠したとかではないでしょうか」

「そんなこと......」

「世の大抵はそんなことですよ」

「じゃぁ共犯者は誰なんだよ」

高木がそ言うと「白い車の持ち主ですね」と千早が答えた。

「おい、それってあのLINEの」

「それは早計です。白は人気色ですから」千早はそう言って高木を諌めた。

「教職員の移動先って新聞に出ませんでしたか?」島田が湯島の行方について言及したが「その線は考えたのですが、もう定年してるんですよ」と千早が言った。

「いや、島田さん。いいかもしれない!」音尾の大声に、マスターも思わず千早たちの方を見た。

「私ね、きっとこのまま笠木署で定年だと思うんですよ。定年後は地元に戻らずにこのまま永住しようかと思っています」

「そうか、友人知人も居るからですね」

「そうなんですよ、島田さん。地元に戻ったところで、学生時代の友人も外に出ていますから」

「探しましょう!」島田の掛け声に「はい」「おう」「そうですね」と三者三様に同意した。


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