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死者の告発  作者: 浅見カフカ


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18/29

笠木西高校

「ボランティア部ですか?」

応対した事務員の女性が怪訝な表情をした。

その様子に「どうしましたか」と出てきた上司らしき男性は、ボランティア部の言葉に表情を曇らせた。


「あの事件の翌年、ボランティア部は活動を停止したんですよ」

樋口主事に通された応接室で、二人はそう聞かされた。

「在籍していた生徒の卒業後に正式に廃部となったので、若い職員や在籍の浅い先生は知らない人が多いのです」

「それで怪訝な表情をされてしまったのですね」

音尾がそう言うと「申し訳ありません。彼女には注意しておきますので」と樋口が頭を下げた。

「疑うのは受付の正当な仕事ですよ。ところで、学校のアルバムや古い冊子などはどこかに保管していませんか?」

千早は一言女性を庇うと、資料の保管場所を尋ねた。

「それでしたら書庫の方に保管してあると思います。ただ——」


「終わったら、用務員室に居ますんで声を掛けてください」

案内をしてくれた用務員はそう言って踵を返した。

歳の頃は四十代半ばだろうか。

千早はその背中に向かって「ここに勤めて長いのですか?」と声を掛けた。

用務員は足を止めて「あの子は花壇の手入れや植え替えを手伝ってくれる、優しい子だったよ」と言って去って行った。


図書室の隅のその扉を開くと、湿ったほこりとカビの臭いが溢れるように流れてきた。

口と鼻を覆って中を覗くと、樋口が言い淀んだ理由を代弁するような光景があった。

開校以来の卒業アルバムや、周年記念誌、一部のクラス通信等が書架に並べられ、床に平積みされていた。

「これ、ランダムですよね」

「年代は書架のは古そうです」

「なるほど。一応は順に保管した、と」

千早は音尾の言葉に納得した。

「では平積みの方が怪しいですかね」

「まるで地層ですな」

音尾の言葉には、いつものような覇気が感じられなかった。

不意に平積みのページが風にめくれた。

振り向くと音尾が小さな窓を開けていた。

「埃アレルギーなんですよ」

そう言った音尾の目は、赤く充血して涙目だった。

「それなら手分けしましょうか?音尾さんは、さっきの用務員さんに話を聞いてきてください」

「それでは資料探しが終わらないのでは?」

戸惑う音尾に「さっき良いヒントを貰ったので、もう大体を絞りました」と千早は言って用務員の元へと行かせた。


事件が起きたのは平成十三年。

この頃には校内で使われるプリントの類は上質紙や再生紙だ。

つまり、わら半紙の地層は排除は出来る。

これだけで大半の作業は、終わったようなものだった。

「あとは見つけるだけだ」

千早はシャツの袖をまくると、そう独りごちた。


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