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君と歩いた、ぼくらの怪談 第1部  作者: tempp
第4章 明日の日記と僕の日常

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6月8日 (1) 僕は頭がおかしいらしい

赤司れこ@obsevare0430

赤司です! いろいろ書いちゃうよ!


-----------

赤司れこ@obsevare0430  3時間前

ふぅ、今回はなんとかなってよかった。

でも、君、ちょっと頭がおかしいんだからちゃんと警戒してよね!?

東矢一人、君のことだよ!?

ほんとにもう!!

また、たまにTwitするから、ちゃんと見てねー?

あ、あと、このTwiterのアドレスは他の人に教えないでね?

わかった!?

俺も抹茶ケーキたべたい。

俺のおかげなのにずるい!!



赤司れこ@obsevare0430  6月8日

俺、なんかわかっちゃったかも。

絶対わざとでしょ! もーうー!

いい!? ちゃんと! いうこときいて!

とうとう体育祭本番になっちゃう。

ここから先はフィフティフィフティ、どっちに転ぶかわからない。

でも、捕まえたら、走って逃げて。絶対!

ほんとに! 知らないからね!?

リレーは俺が応援した結果なの!! えへん



赤司れこ@obsevare0430  6月7日

はろーえぶりばでー。

今日も雨、俺、やる気出ない。

もうー? ちゃんと注意してるのに全然聞いてないでしょ。

あっひょっとして、フォローしてくれたけど全然みてないとか!?

まじで!?

俺、ちょっと悲しい。

でも一応今日もひとこと。えっと。

今日は早めに帰った方がいいでしょう。

知らない人に話しかけられてもついてっちゃだめだよ!?

絶対!!


-----------


 えっ僕宛?

 頭がおかしいとかひどい……。

 えっでもちょっとまって!?

 僕は赤司れこのTwiterを最初から見返して、混乱する。


 誘われても体育倉庫に行くな。

 放送に気をつける、早く帰れ。

 早く帰れ、知らない人についていくな。


 なにこれ。改めて見ると、ここ最近の僕の失敗した選択肢に対する注意ばかり。

 それに日にち。よく見ると僕の記憶と1日ずれている。

 そうか、ずっと続いていた違和感の正体。Twiterは本来24時間内なら日時じゃなくて時間が表示される。なのに、もう今日の日付が表示されている。

 ということはこれは、前日に書かれた……翌日の予言?


 ちょっと待って、頭が混乱する。

 でもとりあえず見るべきは今日の予言。

 今日を乗り切れば明日は『なんとかな』っているはず。

 今のところ、予言は全部、間違ってはいない。

 予言に従ってれば、今の状況にはなってなかったと思う。


 捕まえたら、走って逃げる。

 何を? 何から?

 他の人に見せちゃいけないなら、藤友君にも意見は聞けない。

 『捕まえる』はきっと『外骨格』の足。

 走って逃げる……のは、おそらく『外骨格』からかな。

 ようするに、逃げないとヤバイってことだよね?


 考えろ考えろ。

 僕が逃げて安全なのは新谷坂の封印。新谷坂山の山頂近くの新谷坂神社、その井戸の底に僕が解放してしまった新谷坂山の怪異の封印のふたがある。

 封印にのせれば、怪異を封印することができる。多分あの『外骨格』も。


 わかった、赤司れこ。

 僕は足を捕まえたら、封印まで走って逃げることにする。

 『外骨格』は足が遅い、だから封印までは逃げきれそう。


 これは最初から僕にあてたTwit。

 そうか、だから最初からフォロワー0だったのか。わかりづらい、もう。

 いや、じゃあなんで坂崎さんはって坂崎さんは考えても意味がないよな。


 でもありがとう、赤司れこ。アドバイスに従えてなくてごめん。

 僕はなんとかしてみせる。今の時点ではまだフィフティフィフティなんだけれど、これを乗り切る。

 そのうち一緒にケーキ食べようね。

 僕は昨日書かれた今日のTwitに、ありがとう、とコメントした。


 今日は久しぶりの晴れ。

 とは言っても、空の半分くらいは灰色混じりの雲が広がり、風にのって少しずつ動いている。校庭は昨日までの雨で深くぬかるんだまま、たくさんの足跡がついていた。

 体育祭はきっと体育館で行われる。『外骨格』の足は多分、大勢生徒がいる前では何もしてこない気がする。体育祭の間は常に誰かと一緒にいて、体育祭が終わってからが勝負。


 昇降口にたどり着くと『外骨格』が待っていた。

 相変わらずの無表情。僕は体育祭後に教室で捕まえる。そう言うと、彼はそれが良さそうだねと答えた。『外骨格』は僕が足を捕まえるまでは体育倉庫で待っていると言う。

 靴箱を開ける藤友君がチラリと僕らを見て、しょうがねぇな、と眉を潜めた。


 体育祭の始まり。

 僕は相変わらず存在感が薄くてナナオさんたち3人しか応援はしてくれなかったけど、そこそこの活躍はできたんじゃないかな?

 特に1番はリレー。『外骨格』の入った僕の骨はいつもより強靭に地面を捉え、一歩を踏み抜くたびに僕の体を加速させる。最初は足の感覚の違いに戸惑って出遅れたけど、第二走者にバトンを渡した時には後続と4メートルくらい差をつけていた。

 ナナオさんには意外と足早いんだなと驚かれたけど、これ今日限定なんだよね。でも、人をどんどん追い抜いていく感触は初めての経験で、結構気持ちよかった。現金だな、僕は。


 お昼休みは藤友君と坂崎さんと一緒に食べた。ナナオさんはたくさんの友達と一緒にワイワイたべていた。

 2人はなんだか豪華な2段の重箱を広げていた。

 えっ? これ藤友君が作ったの!? すごい。

 かじっていた焼きそばパンに目を落とす。うーん、落差がひどくない? そんな僕の様子を見た藤友君は、多めに作ってあるから食っていいぞ、と僕に箸を渡す。しかもすごく美味しい。特にこのほろ苦い卵焼き。

 なんとなく、僕の藤友君のイメージがだんだんオカンに近づいていく。見た目はこんなにかっこいいのにな。これがギャップ萌えというやつか。


「ところで東矢、大丈夫か? 昨日よりマシだがまだ顔色が悪いぞ?」

「うん、でも一応目処は立ったから、今日中にはなんとかなりそう、藤友君は?」

「……こっちは継続案件だ。終わりが見えない、ハァ。ほんとにな、なんとかなるといいんだが……。東矢、そっちが片付いた後でいいんだが、ひょっとしたら、相談するかもしれない。その時は話を聞いてもらえるとありがたい。面倒をかけるかもしれないがすまない」


 藤友君は申し訳なさそうに僕を見るけど、こっちは助けてもらってばかり。今もお昼をご馳走になっているし恩は返しきれないほどある。


「いつでもなんでも言って! 今日の夜以降は大丈夫だから、遠慮しないでね」

「ほんと悪いな、多分相談すると思う。……もっと食え」


 元凶たる坂崎さんは僕らが未踏の大量のフルーツの半分を制覇しようとしていた。

 午後はナナオさんの用具係を手伝ったり得点係の藤友君の近くをうろうろして過ごす。体育祭の熱気は、なんだかやっぱり楽しいな。


 そして祭りはにぎやかな余韻を残して終了する。当然体育祭の後に授業はなく、誰も校舎に向かったりはしない。

 みんなは校舎に向かう僕と反対側に進み、雲間から顔をのぞかせた太陽の方向に向かって歩き去った。僕は太陽を背に受けてできた影の先の、人気のない昇降口に向かう。


 『外骨格』は朝に話した通り、姿を消していた。きっと体育倉庫にでもいるんだろう。

 靴箱で上履きに履き替えた。でも、『外骨格』から逃げる必要があるからシューズは手に持ったまま。

 北側に面した薄暗い無人の廊下を進む。


 ひたひたひたひた。


 さっそく昇降口から教室に向かう僕の後ろをしめった足音がついてくる。

 どうやって足を捕まえればいいんだろう。足に捕まる、のほうが正しいのかな。


 ひたひた。


 薄暗く誰もいない廊下をやっぱり2メートルくらいの間隔を開けて足音はついてきた。僕が止まると足音も止まる。こちらから近づいて行った方がいいのかな。僕は意を決してゆっくりとふりかえる。2メートルくらい離れたところで、裸足の右足首より先と左膝より下がこちらに向いて立っていた。

 足は一瞬、ビクッと後ろに下がる。

 あれ? ひょっとしたら臆病なのかな。

 一歩、足に向かって歩を進める。


「君はなんなの?」


 足は2メートルの間隔を確保するように一歩下がってから、その場でペタペタと迷うように足ぶみをする。

 足だから、しゃべれないのかな。まあ、そうかも。口ないし。


「僕の足がほしいの?」


 ぺたぺたと後ずさる。

 なんか、違和感があるな。あおっても、近づいてこない。

 足は突然、僕とは反対側に走り出す。そして5メートル位先でキュッと止まって、振り返ってまたゆっくり近づいてくる。


 ぺたぺたぺた。


 そしてまた反対側に走り出す。そんなユーモラスな行動を何回か繰り返す。

 あれ? この行動って、まるで捕まえてほしいみたい。『外骨格』の言っていた情報と、何か違うな。

 そのあと足は僕から1メートルくらいのところまでおそるおそる近づいて、そしてまた5メートルくらい先まで走って逃げた。

 そうか、わかった、ひょっとしたら。


「君は僕と、おいかけっこがしたいの?」


 足は同意を示すようにかかとをぶつけて音を出す。

 えっほんとに? 完全に予想外で、ちょっとびっくり。

 なんだか少し面白い。ふふ。

 いいじゃないか、おいかけっこ。


 実は僕もせっかくのこの『外骨格』の足の性能をもう少し試したかったところだった。

 体育祭で気づいたあまりにヤバすぎる性能に、全力なんて出せなかった。

 ひょっとしたら足が『外骨格』から逃げているのも、単においかけっこがしたかったからなのかもしれないな。


「じゃあ、ルールを考えるから、ちょっとまって」


 足はわかったというように、ぱたぱたと足踏みをした。

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