1-④ 三代目が帰って来た!:その1(地図あり)
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<O-283年><晩夏><津軽半島-ケルソネソスの鯵ヶ沢-カルディア城にて>
港の兵士
「あっ、メティオコス様、三代目の船が着きまして御座います!」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「ああ、知ってる!
父上ー! 遅かったではありませんかー! 待ちわびておりましたぞー!」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「おお、すまんかったな。向こうで散々手こずらされたものでな。」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「フフフ、しかし、ご無事でのお帰り、安堵いたしました。一時はどうなることかと気を揉みまくっておりましたぞ。義母上たちも、射られる前の兎のごとく、怯えておられました。いや、蛇の前のカエルのごとく、と表現したほうがよろしいでしょうか? あるいは荒れ狂う海に漂う小舟のような、」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「ああ、それはもうわかったから、早く上陸させてくれ。弓長、お前は先に行け。」
弓兵長
「へい。」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「お帰りなさい。弓兵長も、ご苦労だったね。」
弓兵長
「いえいえ、どうもです。それじゃあ三代目、あっしは先に本丸のほうへ行きやすんで。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「ああ、頼む。」
三人の監視官たち
「「「やれやれ、とりあえずは無事のようだ。」」」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「おや? もしかして、そちらの方々は、長州-アッティカからの客人ですか?」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「おお、そうだ。監視官のお三方だ。」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「監視官、ですか?」
監視官a-アルクマイオン(毛利秀元)
「私はアグリュレ区出身のアルクマイオンです。」
監視官b-カリマコス(福原貞俊)
「私はアピドナ区出身のカリマコスです。」
監視官c-クサンティッポス(桂小五郎)
「私はコラルゴス区出身のクサンティッポスです。」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「これはこれは、私はミルティアデスの息子メティオコスです。それにしても、監視官ですって? 一体何を監視するっていうのです?」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「メティオコスよ、それは後で説明してやるから。それより、こちらの状況を簡潔に説明してくれ。」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「はい、今から六日ほど前、帝国海軍が襲って来ましたゆえ、父上が招いておりました客人たちには、解散していただくこととし、帝国海軍が姿を消したのを見計らって、隙を見て船で送り出したところです。それで、問題なかったでしょうか?」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「おお、その判断で正解だ。良くやったぞ。しかし、客人たちには済まないことをしたな。我が輩がこの港から長州-アッティカへ船出する時は、もっと浦上-イオニアでの残党狩りで時を費やすと予想していたのだがな。まさかこれほど早く、帝国海軍がこちら側に出張って来るとは。完全に判断を誤ったようだ。済まなかった。」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「フフフ、まったくですよ、父上。やはり、柔①-ミレトス市が陥落した時点で、彼らの心はポッキリ折れて、戦意をあらかた喪失していたのかもしれませんね。残念ながらこの秋までも保ちませんでしたようで。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「そうだな。だが、ここの港や船に被害が無いということは、帝国海軍は、この町にまでは来なかったという事か?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「はい、どうやら帝国海軍は、海峡側の方だけを襲ったようでして、十三湊-エライウスや外が浜-セストスの辺りは敵兵が上陸して荒し回ったとか。けれど、この町も含めたこちら側については見逃したようです。フフフ、とういわけで、我々が守っていたここ鯵ヶ沢-カルディア城は、全くの無傷です!」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「そうか、それは良かった、不幸中の幸いであったな。で、海峡側の方の被害は酷いのか?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「いえそれが、あまり詳しい情報が届いていなくて。はっきりとは解っていないのですが、おそらくあっちの方も、いくつかの町や村が襲われたとはいえ、さほど深入りはしなかったようで、ほどなくして姿も消したそうです。フフフ、という訳で、我々も少々拍子抜けしている次第です。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「その時、お前らはどうしていたのだ?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「はい、父上に指示された通り、城の中に籠って、敵軍が田畑などを荒し回るのを指をくわえて見ておりました。なにせ、父上の帰りが遅かったものですから。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「ああ、それで良い。『城から出るな』と命令しておいたからな。ご苦労だった。で、その帝国海軍が今どこに居るかは判っているのか?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「それが、これも確かな情報は届いていないのです。海峡の奥のほうへ向かったという話しですので、おそらく青森-ペリントスや大湊-セリュンブリアのほう、さらには下北-ビュザンティオンの辺りを攻めているのではないかと思うのですが。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「だとすると、そっちが片付いたらまたこちらにやって来ると?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「うーん、それはなんとも。けれど、もし戻って来たなら、次は荒し回るだけではなくて、本腰を入れて城などを攻め落とそうとするかもしれませんね。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「なるほど、よく解った。では時間が無いな、やはり。それで、歩兵長や騎兵長は今どこで何をしている?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「はい、それが陸奥-トラキア人の一部が反乱を起こしまして、それで人質を奪い去ろうとして、町に火を放ったりしておりまして、その対処に追われているのです。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「反乱だと!? お前は何故それを真っ先に言わない!?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「いえいえ、それほど大規模なものではありませんし、もうすぐに鎮まりましょうし。フフフ、それに、歩兵長が太鼓判を押してましたんで、彼が責任を持つと、その言葉を信じまして私は」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「もう良いっ! だいたいお前は無駄話しが多過ぎる! もっと優先順位を考えてしゃべるようにせよ!」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「しかし、このような緊迫した状況では、黙っていたほうが却って緊張に凝り固まり、頭も体も動かなくなります。無駄話しでも良いからしゃべりまくっていたほうが、気も紛れますゆえ、かえって誤りも少なくなります。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「時と場合を考えろと言っているのだ! で、あいつらは本丸に居るのか?」
長男-メティオコス(小早川秀秋)
「はい、歩兵長はそこに居るはずです。騎兵長はキモンと共に城門のほうへ鎮圧に向かったとかで」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「では、我が輩も本丸へ行く! あなた方も、来られますか?」
監視官たち
「「「無論だ! 私たちはここでの顛末を見聞して、帰国後きっちり報告する義務がある。」」」
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伝令
「歩兵長! 三代目が戻られました!」
歩兵長
「おお、三代目ー! 無事のお帰り、何よりです!」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「挨拶は後だ! それより、反乱が起ったと聞いたぞ? 今の事態を簡潔に説明してくれ!」
歩兵長
「了解です。えーと、先日の帝国海軍が去」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「待て! ちょっと待て! その前に紹介しておくが、こちらのお三方は山口-アテナイ市からの監視官だ。良いか? 言葉遣いに気をつけてしゃべれよ?」
歩兵長
「監視官? そいつはどうも、あっ、なるほど、なるほど。言葉遣いに気をつけて、ですね? それは遠路遥々どーも。こう見えて、自分も山口-アテナイ市の出身でして、」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「そういうのは後で良いから、続きを頼む。」
歩兵長
「はい、えーと、先日襲って来た帝国海軍が去った後、陸奥-トラキア人のいくつかの部族が離反の動きを見せました。連中、城内の人質を密かに連れ去り、城外へ逃がそうとしました。我らは警備の兵士を増やしましたが、今度は他所からの避難民が逃れてきまして、同胞ゆえ城内へと収容いたしました。しかし、そこにも反乱分子が紛れておったようで、そいつら町に火ぃつけると、人質警備の兵士たちに襲いかかりました。その報告を受けた騎兵長はすぐさま鎮圧に赴き、キモン殿も彼について行ったという次第で。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「あの煙がそうか? あの程度なら、すぐに鎮圧できそうだな?」
歩兵長
「ですが、続いて城外の伝令からの報告がありまして、陸奥-トラキア人部族のいくつかが集まって、武装したままこちらへ向かっているとの由なのです。どうやら、砂が森-ランプサコスの連中が主導しているようで。おそらく、城壁の内と外から呼応して、この鯵ヶ沢-カルディア城を攻め落とそうってぇ企みなんではないかと。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「ほう、そう来たか。」
歩兵長
「しかもです、動揺はここに居る倭-ギリシャ人系の連中にも伝染しちまってるようで。幸い、あなたが戻って来られたため、それも収まりましょうが、しかし、すでに敵方に内通している者が居ないとも限りませんし。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「は~、やれやれ、惨めなものだな。滅亡する直前というのは、こういうものなのか・・・。」
歩兵長
「やっぱり、味方に裏切りもんがいるかもしれねぇってのは、思いの外、動きづらいもんですなぁ。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「はてさて、どうしたものか・・・。」
監視官b-カリマコス(福原貞俊)
「ミルティアデスよ、口を挟んで申し訳ないが、どうするのだ? ため息をついている場合ではないように思うが? ここを捨てるなら捨てるで、さっさと決断せねば、逃げる事もままならなくなると思うのだが?」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「ああ、解っているさ、カリマコス。けれど、それらの事は、内々の者だけで相談したいゆえ、すまんが、あなた方監視官はしばらく席を外してもらえないか?」
監視官c-クサンティッポス(桂小五郎)
「ちょっと待ちたまえ! それは出来ない。我々は、君たちの行動を監視し、事細かに報告するよう命じられている。当然、君たちの内密の軍議にも、加わる義務がある。」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「クサンティッポスよ、申し訳ないが、これは津軽半島-ケルソネソス人の内々の重要事だ。君たちは遠慮してくれたまえ。」
監視官c-クサンティッポス(桂小五郎)
「申し訳ないが、それは承服しかねる! もしも我々をその軍議に混ぜないというのであれば、長州-アッティカに戻ってから、君にとって不利な証言をせざるを得なくなる。『彼は疾しいことがあるため、我々に隠し事をして、監視の任務を妨害したのである』と。それでもよろしいか?」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「はぁ~、時間が無いというに、この者どもは。・・・わかった、好きにせよ!
それと、歩兵長! 騎兵長とキモンを早く呼んで来い!」
歩兵長
「はい、ただいま!」
主役-ミルティアデス(小早川隆景)
「ああ、急げ!」
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