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遭遇

3日目。

特に進展もなく、初日2日目と変わらず、ゴブリンに遭遇することなく調査が終了。この日は気分転換にと、シエラはコッカトリス達用の野菜を焼いて食べてみた。正直、野菜のみの為、お腹を満たすほど食べることはできなかったが、スープを食べるより美味しかったようで、時々は野菜にしようと心に決めたようだった。


4日目。

前日と変わらず。少し早めに調査は切り上げ、小川の側で野営準備を開始。久々に水浴びをして汚れを落とせたので、シエラのモチベーションは若干ではあるが回復の兆しをみせたが、夕食の干し肉がハズレ(塩気がキツすぎて、その味しかしない)だった為、結果、落ち込んで1日を終えていた。


5日目。

ようやく全体の4分の1程度の調査が終了したと思われるも、相変わらずゴブリンに遭遇せず。

定期連絡としてジェルマに連絡をしたところ、別部隊の方でも、シエラのいる方向へと向かっているチームから、少しずつではあるが、ゴブリンを見かけなくなってきている気がする、と報告を受けたとのことで、やはり、シエラ側(こちら)に原因がある可能性が高い、と、ペースダウンさせて、もう少し入念に調べるように、と指示が入った模様。

少しは進展したような気がしないでもなかったシエラは、夕食時に、干し肉の塩気でスープを作ったら美味しくなるんじゃないかとチャレンジしたところ、凄惨なものが出来上がり、絶望する。食材を無駄にする訳にはいかない為、必死で完食するも、目が死んだ魚のようになっていた。


そして6日目。


「いい加減、まともなご飯が食べたい…」


これといった成果もないまま迎えた夜。

特に美味しいわけでもない携帯食と、下手なアレンジをするよりは基本に忠実にした方がいいと学んだスープを食べながら、シエラはさめざめと涙を流しながら呟いた。


「何か食材(えもの)でも狩ってきてやろうか?」


トーカスに言われて、シエラは両手で顔を覆って叫んだ。


「狩ってきてもらっても、調理ができなきゃ意味ないじゃない!」


「いやいや、焼いて食うくらいならできるだろ」


呆れたように呟くトーカスを、シエラはギロリと睨みつけた。


「その焼くってのも、ちゃんと火が通ってないと場合によってはお腹壊れちゃうんだからね!?調理スキルがあれば、なんとかなったかもしれないけど…私は残念ながらそんな貴重なスキルは持ってないのよ!」


因みに、調理スキルは家で定期的に調理をしていれば自然と手に入れられるスキルのため、彼女は貴重と言っているが、持っている人は割と多い。


「…なんか悪い…。とりあえず、明日、果物とか木の実とか、調理しなくても食べられそうなもんがあったら取ってきてやるよ」


そう、トーカスがシエラに慰めの言葉をかけた時だった。


「ケケ―!!」


突然、コーカスが叫んだ。それと同時に、ゴトン、と何か硬いものが倒れる音がした。

シエラが音の方を向くと、そこには石化したゴブリンの姿があった。


「ご、ゴブリン!?」


慌ててシエラが索敵スキルを発動させる。すると、それまで全く引っかからなかったゴブリンの反応が辺りにぽつぽつと確認できた。


「…ちょっと待って、なんで!?」


「とにかく、まずは殲滅してくる。トーカス、サクラ、ラピ、行くぞ」


「「「は!」」」


焦るシエラをよそに、彼らは一斉にその場からいなくなった。


「ワン!」


シエラの隣に移動してくると、ポチが大きく吠えた。その声に、シエラはハッと我に返る。


「…ありがとう、ちょっと動揺してたよ。みんなが戻ってくるまで、一緒にここで居てくれる?」


「ワン!」


もちろん!という風に、もう一度大きくポチが鳴く。

シエラはパシッと自分の頬を両手で叩き、気合を入れなおすと、マジックバックから短剣を取り出し、構えた状態で、索敵スキルを再度展開した。


コーカス達がカバーしあえる最大の範囲内で四方に散らばって、ゴブリン達を討伐してくれているおかげで、シエラ達の周囲では特に魔物たちの反応はなかった。

ただ、ゴブリン以外の魔物の反応がないことが、シエラは少し引っかかった。


「夕食の支度をする前に確かに索敵スキルを展開して、周囲にこれと言った魔物はいなかった。でも、ゴブリン以外の魔物の反応は多少あったのに、なんで…」


魔物よけのお香を焚いていたとはいえ、その効力は索敵スキルの範囲よりも小さい。そのため、お香の範囲から離れたあたりでは、ぽつぽつとゴブリン以外の魔物の反応自体は確かにあったのだ。


「それに、これだけの数のゴブリンに、コーカス達が気づかないはずがないのに。こんなに近くまで、どうやって………え!?」


少しずつ減ってきていたところに、突然、シエラ達の側に、ゴブリンの反応が現れたのだ。


「ポチ!」


「ワン!!」


索敵スキルに引っかかった方を向いて短剣を構える。ポチはシエラの前に出て、シエラを守るようにグルルルル、と現れたゴブリンに向かって威嚇をする。


「ゲギャギャギャ」


現れたゴブリンの目は虚ろで、だらだらと涎を垂らしている。

目の前に、獲物の人間がいるというのに、特に襲い掛かってくるわけでもないその個体は、明らかに、普段見かけるゴブリンとは様子が違っていて、シエラは思い切り眉を顰めた。


「ゲギャギャギャ」


ふらふらとシエラの方へ近づいてくるゴブリン。手には剣と盾を持っているが、両手ともだらんと下げた状態でまるで攻撃をする気がないように見えた。


「なんなの、一体…」


そう呟いた時だった。


「グルがぁぁぁぁ!」


「な!?」


突然、剣を振り上げ、シエラの方へと駆け出すゴブリン。シエラは急なその行動に驚き、一瞬、動きが遅くなった。


「しまっ!」


「ワオォォォォォ!」


「ゲギャ!」


避けきれない、と剣でとっさに防ぐように構えた時だった。

ポチが大きく咆哮する。

それと同時にゴブリンは後方へと思いきり吹き飛び、近くの木にそのままバキッとぶつかった。そして、短く声を上げると、そのままずるずると地面へと落ちていき、絶命した。


いつもお読みいただきありがとうございます。

誤字脱字につきましても、適宜修正いたします。ご報告いただきありがとうございます。

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