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第0話 破滅を呼ぶ、鈴の音は鳴る。
皆さま。
ようこそ、青藍魔法文化祭へお越しくださいました。
魔法。
それは、奇跡を起こす力。
青藍魔法学園は、日本でも数少ない、魔法を専門に教える機関でございます。
魔法と聞いて、皆さまは最初に何を思い浮かべますか?
激しい炎? 荒れ狂う水? 迸る雷?
攻撃的な面が目立つ魔法ですが、それだけではありません。
手を使わずにお皿を洗ってみたい。
箒に乗って空を飛んでみたい。
そんなことを考えてみたことはありませんか?
その奇跡の全てが、ここにはあります。
ご来場の皆さま。
この学園の生徒が織り成す、数々の奇跡を、どうぞご堪能くださいませ。
★
開会のアナウンスとともに、門が開く。
文化祭の開始を色付けるように、魔法の花火が打ちあがる。
色めき立つ声。
数えきれないほどの足音。
青藍魔法文化祭は、例年通り華々しい開会を迎えた。
★
しかし。
その花火と。
声と。
足音に掻き消されて。
人々の耳には聞こえない、もうひとつの音があった。
鈴の音が鳴る。
破滅はもう、すぐそこまで迫っていた。