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白縹の術士  作者: 仁瑠
第1章
2/2

第1話 顔合わせ?(1)

かなり空いてしまってすみません。

これからは二週間おきくらいに上げていきたいと思います。


慣れてきたらペースあげたいと思います。

 目覚めるとそこは地下に開いた大きな空間、と言うようなところだった。左には見覚えのある遺跡。

 多分夢で見たことのある景色だ。

 ぼんやりと明るいが鉱石か何かが光っているようだ。

 俺さっき死んだような気がするんだよな…

 死に際にいつもの夢を見ているとかそういった感じか。


 意外とあっけなく終わるもんだな。

 意識がなくなるまでにどれくらいかかるのだろうか。

 驚きはするが別にそこまですがりつきたいような人生でもなかった。

 とりあえず辺りを見回してルカを探して見るが、見当たらない。

 いつもの明晰夢的なものだとしたらそろそろ出てきてもおかしくないんだけどな。


 以前夢で来たことがあると言っても地形はあまり覚えていないので、少し散策を始めることにする。

 少し歩くと光る湖が見えてきた。

 小走りに近づき、映った自分を見て見ると、そこに映っていたのはルカの男verのような美少年である。

 ……

 なぜこんな姿なのだろうか。

 いや、こんな、なんて言ったけど前より明らかにかっこいいから別にいいんだけど…

 不思議だが、まあいい、うん。よし(笑)


 (これからどうしたもんか)

 あれからしばらくしたが、ルカは未だに現れていない。

 というか一向に、死んで意識が失われる、ようなことがない。

 しかも改めて周りを見回して見ると、夢と違うことが多い。

 ルカはこないし自分の姿も変わっている、それにいつものテーブルもない。

 不思議に思っていると急に体が後ろに引っ張られた。

 こんな風に俺を急に引っ張るいうな奴は一人しかいない。


「お、ルk…」


 振り返りながらそう話しかけたが、目の前にいたのはルカではなく髭の生えたおじいさんであり、そこには洞窟の影も形も無くなっていた。



◇ーーーーーーーーーー◇



 振り返るとそこはさっきまでいた場所ではなく、高級感あふれる中規模の部屋だった。

 サイズ的にはなんというか。そう、大きめの公民館の一室だな、天井が高めの。

 洞窟の面影は全くないんだが…。

 俺の左右には同い年(本来の歳な。今俺はルカサイズだけど…)くらいの男女5名がいた。

 俺を含めみんな動揺しているようだったが、自分の身長ほどもある杖を持ったおじいさん達を見てさらに困惑してしまうようだった。

 だが一番驚いたのは俺だ。なんせこれまで夢に俺とルカ以外の人間ができたことはなかった。

 それにいつもの明晰夢ならそれなりに自分の考えたことが起こるのだが、俺はこんなこと思い浮かべてもいない。

 明らかにこれはいつもと違う。

 というか夢じゃないフラグが立ちまくってる気がする。


「私たちはあなた方を勇者として異世界から召喚させていただきました。

詳しい説明を別室で行いますのでこちらへお願いします」


 むむ、異世界召喚とな。

 俺は召喚されたのだろうか…

 よく見ると足元に魔法陣的なのが書かれている。

 おそらくあの引っ張られたような感覚が召喚だったのではないだろうか。


 おじいさんはついて来いと俺たちを促し、部屋の出口へ歩いて行った。

 みんなおとなしくついていくようなので俺もそれに続いた。

 かなり怪しいと思うのだが、実際こういう場面に出くわすとパッと何をすべきか浮かんでこない。

 他の4人も聞きたいことはたくさんあると思うのだが、説明はこの後してくれると言っていたので素直に従ったようだ。


 広間を出て少し歩いた後一つの部屋に入った。

 そこはまさに謁見の間と言える部屋だった。


「殿下、お連れしました」


 奥にある一目見て立派だとわかる椅子には誰も腰かけてはいないが、その隣には少女が立っている。

 殿下と呼ばれていたことを考えると王女様か何かか。

 すると彼女は一歩前に踏み出して言った。


「ご苦労様、メルトギール。

 皆様はじめまして。私はセリミフィア王国第一王女、サスラ・セリミフィアです。

 今回いらっしゃた人数は6名なのですね。

 メルトギール、この方達にはどこまで説明をしたのですか」

「まだ何も話しておりません」

「そうですか。

 では。

 今回私たちは勇者召喚の儀式により、あなたがたを召喚させていただきました。

 まずは一方的な召喚で呼び出してしまったことを、我が父、ローディ・セリミフィアに代わり、ここにおわびします」


 サスラはそう言って頭を下げた。

 急に召喚されたのは驚いたが、俺は別に怒っていた訳ではない。

 他の4人もそこについてはあまり気にしていないようで、意外にもすでに落ち着きを取り戻していた。


「こ、この世界には魔法とか、あ、あるのか?」


 一人の男子が興奮した様子でサスラに訪ねた。

 その質問にハッとしたような表情を浮かべる、サスラとメルトギールと呼ばれていたおじいさん。


「あなたたちが元いた世界がどうだったかはわかりませんが、この世界には魔法という概念があります。この召喚も魔法で行いました」


 まあ俺からしてみればいつも夢でいろんなことをしてきたからそこまで魔法を不思議がることはない。

 むしろ起きている時に無意識に使おうとして不発に終わり、「あ、そうだった」なんてこともあったくらいだ。


「ちーと?というのでしたか。

他の勇者様がたは、げっとおめでとう、と言えば伝わるだろうとおっしゃっていましたが…

大丈夫なようですね」


 それを聞いてみんなニヤッとしている。

 

「ところで、お姫様。こんなことをするなんて、魔王が攻めてきちゃってたりするんでしょうか」


 今度は一人の女の子がそう聞いた。


「ご明察です。大変不甲斐ないことなのです」


 サスラが苦笑しながらそう言った後、今度は真剣な表情で続けた。


「この世界には現在魔王と呼ばれる者が2人存在しています。

かつて4人いたのですが150年前の大戦で2人の討伐に成功しました。

戦後もにらみ合いが続いていたのですが、30年ほど前から魔族側の動きが活発になってきていたのです。

段々と魔族領に近い地域に被害が出てきています。

そこで、大戦時に活躍したという勇者という存在に頼ることにしたのです」

「じゃ、じゃあ私たちは、その、戦争の道具として呼ばれたってことですか」


 そう他の女の子が言った。


「聞こえが悪くなってしまいますが、それについては否定できません。

なので無理強いはしません。それに魔王軍と正面から戦争しろ、というわけでもありません。

少数精鋭でなるべく危険を避けながら進み、魔王を討伐してきていただきたいのです。

5年ほど前から勇者の召喚は行っていて、今回の召喚は最近では6回目になります。

すでに過去に召喚された勇者の皆さんはすでに魔王討伐に動いています。

もちろん討伐に向かわなかった方もいらっしゃいます」


 その言葉を受け俺たちは顔を見合わせる。

 みんなどうしようか、といった表情。


「お返事は急がなくて結構です。

これから数日はこの王城で暮らしていただきます。

この世界の常識などをその間にお教えしますので、その後この城をでる時に、改めてお聞きしたいと思います」



◇ーーーーーーーーーー◇



「こちらです」


 召喚された俺たちは男女に分けられ、それぞれメイドさんによって部屋に案内された。

 これから数日この部屋で過ごすことになるそう。

 初めは、一緒の部屋かよ、とも思ったけどなかなか広いぞこの部屋。

 一緒に連れてこられたのは二人。


「夕食時にお呼びします」


 一通りの説明をした後、メイドさんはそういって部屋を出ていった。

 みんなが、一人一人用意されている立派なベッドに腰をかけると、早速一人が話し始めてくれた。


「やあ、僕はユーゴだ。君たちは?」

「俺はリツ。よろしくお願いします」


 だんだん声がしぼんでしまうが仕方がない。うん。


「…俺はエルカヘイツだ。エルでいい。よろしく」


 二人とも黒目黒髪で、ユーゴは明るく優男みたいな感じ。エルは何となくクールな王子系男子だ。


「リツにエル、だね。

ファンタジー要素ガンガン来るのもあまり面白くないからなぁ、あ、そうだ、リツくんとエルはどこからきたのかな?僕は愛知に住んでたんだけど。」

「あー、俺は埼玉から」

「埼玉県か、リツくん日本に住んでたんだね」


 あ、ルカみたいな姿だから俺は日本人ぽくは見えないのか。


「アイチ?サイタマ?、そ、それは何だ?」

「え、あ、外国に住んでたのかな?」

「エル、召喚される前はどこに住んでた?」

「あ、あぁ。それならクィーツィと言う街だ…。

し、知らないのか!?」


 俺とユーゴは顔を見合わせる。聞いたことないよな。


「どの辺り?」

「ヨーロッパとか?」

「何をいっているかわからないが、ファリサリミナ帝国の帝都だ」


 ますますハテナを浮かべる俺とユーゴ。


「あぁそうか、ここはファンタジー解釈の出番だね。きっと異世界もたくさんあるんだろう」


 な、なるほど。ユーゴくん賢い、のか?


「さっきからついていけてないんだが…」


 そんなファンタジー感がなさそうでありそうな会話で今日は終わった。

 食事の時には女子も混ざってたんだから。状況を思い出してみんなで笑いました、はい。



◇ーーーーーーーーーー◇



 食事の後、風呂に浸かった後、みんなで部屋に戻っていった。


 しばらくして、みんなが寝た頃、ベッドの上で天井を見上げ、よくある感じで手を伸ばして見る。


 少しの間そうしていたが、同室の二人の寝息が聞こえ、我にかえる。

 ……恥ずかし。

 そうしてすぐに下ろす。


 ーーここはどこだろうかーー


 その謎が喉に突っかかった骨のように違和感を残している。

 もう夢であることはまずあり得ないといっていい。

 普通に転生なり転移なりしたのだろう。

 それにどうルカが関わって来るのか…


 ふぅ。


 結局色々考えたけど結論は出ない。

 続きは明日でいいか。


 そう考えリツも眠りにつくのだった。



 その部屋の隅から、リツを見下ろす影の存在には気がつかずに…。

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