男を骨抜きにする恋愛テクニック
気がつけば、あたり一面が血の海だった。
悲鳴と怒号が聞こえるが、まるで別世界での出来事のように遠く聞こえた。
「どうしてこんなことに……」
初雪楓恋は眼前のそれを見上げる。
そこには夥しい返り血を浴びた巨大な熊が立っていた。
今日は友達のみんなとハイキングにきていたはずだった。
サンタナ山の見晴らしいい展望台で、カッコよくてちょっと気になる男の子である金梨竜司や斉藤エイジ、それにちょっと変わってるけど実はとっても優しい姫条院麗奈と新房くいなの五人でお弁当を食べるはずだったのだ。
それなのにどうしてこんなことに。
軽装でも登れる安全な山道をお喋りしながら楽しくのぼっていた時に、それは突如として現れた。
身長三メートル、体重五百キロ。
視界を覆うばかりの巨大な熊。
口からは大量の涎を垂らし、楓恋たちを見つけた瞬間に、邪悪にニタリと笑った。
その瞬間に呑気にピクニックに来ていた五人は自分たちの立場が、被食者のそれだと本能的に気付いた。
「逃げろッ!」
竜司が叫んだ。熊がこちらに向かってくるのは同時だった。
エイジが自分の命よりも大事だと公言していた、ギターを武器代わりに熊に飛びかかる。
それを見て、くいなが叫んだ。
「エイジさん!」
「逃げるんだ、くいな! 早く!」
「でも!」
そんなくいなを竜司が引っ張る。
「早く、エイジの想いを無駄にするなッ!」
竜司は残る三人の女の子を連れて、展望台まで走り出した。
とにかく近くにある建物はそこしかなかった。
そこにさえ逃げ込めば、なんとかなるはず。
四人は遮二無二に山道を走る。
途中でエイジの断末魔と、熊の咆哮が聞こえた。
くいなは走りながら、泣いていた。
そして、くいなは引き返した。すぐさま竜司が止めたが、引き留めれなかった。
「おい、くいな!」
「やだ! あたしはエイジさんと一緒に死にたい! 死ぬときは一緒!」
「くいなちゃん!」
楓恋も叫ぶが、その手をするりと抜けてくいなはエイジの元へと走り出す。
麗奈がどうしよう、と竜司を見た。
「……竜司君」
「ダメだ、とにかく展望台に逃げよう」
「わかったわ。さぁ、楓恋さんもいきましょう」
「うん」
楓恋たち三人はそのまま展望台への道を走り出す。
途中で、くいなの断末魔が聞こえてきた。
楓恋も気付かぬうちに、涙が止まらなかった。
それは竜司も麗奈も一緒だった。
なんとか展望台までたどり着いた三人は、入り口を閉め、こじ開けれない様に中にあった荷物をバリケードのように積んでいった。
しかし、ドシンという音と共に、入り口は破壊された。
五百キロを超える体重を使って、体当たりしたのだ。
さらには瓦礫もその膂力に任せて熊は押しのけていく。
竜司が叫んだ。
「畜生! エイジもくいなも食って、まだ足りないのか!」
「隠れましょう!」
三人は小さな物置の中に身を寄せ合うように隠れた。
しかし、熊の嗅覚は瞬く間に楓恋たちを見つけた。
そして、楓恋の目の前で、竜司も麗奈も食い殺された。
楓恋はそれを凍ってしまった心で見つめることしかできなかった。
二人を食い散らかしてた熊はゆっくりと楓恋に振り返り、そして……。
【なんだこのゲームはビッチ!】
アダム(全裸)はコントローラーを投げつけた。
日雇い労働者であるアダムは同じ工場の仲間と共に休憩時間に話題の乙女ゲーム『情熱のサンターナ』をやっていたのだ。
途中まで、中々面白いなと思っていたアダムだったが、いきなり熊が現れて皆殺しのバッドエンドになってしまった。
「おいおい、これはレアイベントだぜ。いきなりこれが見れるなんて運がいいぜ」
【これのどこが乙女ゲームビッチ! パニックムービーの間違いじゃないビッチか?】
「そんなこと言っても、この突拍子もない意外性がいいんじゃないか」
アダムに話しかけている男は生粋のクソゲー愛好家だった。
彼の中での『情熱のサンターナ』の評価はストップ高だったのだ。
【とにかく、もうこんなゲーム、二度とやらないビッチ!】
そう怒りながら、横を向いたアダムだったが、その翌日には三棚市は悪魔によってこの情熱のサンターナの世界に塗り替えられるとは思ってもみなかった。
そして、この悪夢のような熊襲来イベントにいきなり遭うということも。
********
「熊が来るぞぉーッ!」
サンタナ市内に緊急警報が鳴り響く。
地元猟友会のメンバーが猟銃を持って駆け付けていた。
「おったで! 熊や! 人喰い巨大熊『熊五郎』や!」
「あ……。あれが熊五郎」
市内をのっしのっしと二足歩行で歩くのは人喰い巨大熊の熊五郎。
その体長は三メートル、体重は五百キロを超えていた。
「なんちゅうでかさや! こらヒグマどころの騒ぎちゃうで! ホッキョクグマよりでかいやないかっ!」
「あんなのが襲いかかってきたらひとたまりもあらへんわ」
初めて巨大熊を見た地元の猟友会の男どもも震えていた。
ケツホリーがイブたちに叫ぶ。
「いいかっ! 女たちは安全な所に避難しろ! 俺がなんとかするから!」
ケツホリーの叫びにイブが不機嫌そうに聞き返す。
「俺が何とかするだと? 空手マン風情がいい気になりおって!」
「うわ~! 熊さんだ! あたい熊さんを見るのは子供の時に親父に動物園に連れて行ってもらって以来だよっ!」
戦闘型の清楚可憐な乙女であるイブと七瀬は好き勝手言っていた。
【とにかくここは危険ビッチ! ケツホリーさんに従って逃げるんだビッチ!】
「ふん、まずはお手並み拝見といくか。行くぞ! 七瀬、メルル!」
「はい、姐さん!」「ようこそ! ようこそ!」
とりあえず、ケツホリーのいうことに従うことにした。
一旦ふれあい会館まで避難するイブたち。
しかし、イブの眼光は野獣のような鋭さは変わらない。
猟師と熊の対決を見つめながら、いつでも飛び出せる準備は出来ているのだ。
「撃て撃て!」
猟友会が猟銃での射撃を開始した。
次々と散弾が打ち出されるが、熊五郎には全く当たらない。
銃弾は地面や周りの建物を削るばかりだ。
その様子に七瀬は嘆いた。暴力団の娘である七瀬はハジキの扱いには慣れていたからだ。
「なんて下手くそなんだい! あんなへっぴり腰じゃ当たるものもあたらないよ!」
「仕方があるまい。奴らはあくまでも逃げ惑う動物どもを撃ち殺して楽しむだけの連中だ。命がけの殺し合いなど生まれて初めてなのだろう。ましてやあの熊の迫力はただごとではない! 殺意をまき散らしている!」
【やばいビッチ! 熊五郎が猟師に襲いかかろうとしているビッチ!】
「グワオオォオオオオオッ!」
咆哮をまき散らしながら飛びかかる熊五郎。
地元猟師の男どもは腰が抜けてしまっていた。
そんな猟師どもを庇い、ケツホリーが勇敢にも立ちふさがる。
「こい! 人喰い熊めっ! この俺が相手だ!」
【ケツホリーさん! 相手は巨大熊ビッチ! 人間で叶う相手ではないビッチ! 無理だビッチ】
「いいや、俺が学んだのは空手だ! 空手家にとって『熊殺し』の称号をえるまたとない機会! そして、武道は人を守るためにある! 俺は猟師たちを守り、そして、ケツを掘る!」
ケツホリーのその言葉に猟師たちはさらに震え上がった。
この熊を退けようとも、あとに待つのは地獄のみだからだ。
「うおおおおおっ! 喰らえっ! 渾身の正拳突き!」
武道の達人、堀居傑ことケツホリーが人生をかけて、研ぎ澄まされたその拳が唸る。
凄まじい速度で打ち出されたその正拳は、熊五郎の鳩尾に吸い込まれるように入っていった。
「決まったッ! ぐわっ!?」
決まってなかった。
熊の分厚い毛皮と筋肉の前には、ケツホリーの修練の成果などあってないようなもの。
ビクともしなかった。
ケツホリーの攻撃はまったく効かずに、逆に熊に殴り返される。
横殴りの一撃にケツホリーは血反吐を吐きながら吹っ飛んだ。
彼は攻撃をガードしたにも関わらず、受けた左腕の骨は小枝のようにへし折られ、さらにその衝撃は肋骨にまで亀裂を入れる。継戦は不能な大怪我である。
「ぐふっ!? そんな、俺の正拳はまともに入っていたはずなのに……」
人間の格闘技など所詮は対人戦闘術、野性の猛獣には全く通用しないことだけを思い知らされる結果となった。
「これでは俺は何のために空手を、武術をやってきたんだ……。武術では何も守れないではないか……」
【喋ってはいけないビッチ! 口から血を吐いているビッチ! 内臓を損傷した可能性があるビッチ!】
「ケツホリーさん!」
【七瀬さん! メルルさん! 塩をぶっかけて!】
「あいよ!」「ようこそ!」
七瀬とメルルがケツホリーに十キロ袋の塩をぶちまける。
ケツホリーはあっという間に塩まみれとなった。
七瀬は額の汗を拭った。
「危なかった……。今ここに塩がなければ、ケツホリーさんは死んでいたところだよ!」
母なる海から作り出された塩は生命の源であり、海を臨むサンタナ市の特産物だ。
大抵の怪我なら塩をかければ治ってしまう。
この『情熱のサンターナ』においては塩は回復アイテムに当たるのだ。それが、SHIOシステムだ!
しかし、追撃に来た熊五郎が突進してきた。熊五郎はケツホリーを、そして七瀬たちを食わんと襲いかかってきたのだ。ここで、野性の獣というのは集団の中で一番弱そうな獲物を狙う。それが狩りの効率というものだ。そして、この中で一番弱そうなのは彼女だ。
【メルルさん危ないビッチ!】
「グワオォオオオオオっ!」
熊の魔の手がメルルを襲う。
七瀬が怒鳴った。
「メルルっ!」
「よよっよよ、ようこそ、さ、さささっサンタナ市へッ! ビクンビクン!」
「グアァオ!?」
ブルブル震えるメルルの残像に、熊の恐るべき攻撃が空を切る。
その隙に七瀬がメルルを抱きかかえて、後ろに跳び退った。
「よくやった! 七瀬!」
凛とした声とともに、そこに入れ替わるように敢然と立ちふさがった清楚可憐な黒髪の乙女が一人。
完全無欠のスーパーヒロイン我らが伊吹イブ、その人だ。
全てを透徹するような黒い瞳は爛々と狂気で輝いている。
彼女の右腕には猟友会の男から毟り取った猟銃が握られていた。
「来い! この人喰い熊が!」
「グオアアアアアアアアアアッ!」
手慣れた手つきで猟銃を構えたイブは、一切の躊躇もなく引き金を引いた。
ズドンという銃音と共にイブが発射した銃弾は、熊五郎の眉間に向けて一直線に飛んでいく。
しかし、熊五郎はなんとそれを避けた。
【か、躱したビッチ!】
銃弾を躱した熊はイブが次の銃弾を込める前に倒すべく、猛然とした勢いで襲いかかってきた。
乙女の身軽な身体でも躱せない様に、五百キロを超える巨体全体を使った体当たりを仕掛ける。
まるで全てを押しつぶすような攻撃は、不可避にして致命的。
【イブさん!】
「姐さん!」
一方で、イブは冷静だった。
彼女は不敵に笑うと熊の予想外の動きの良さを褒めた。
「ほう、中々の勘の鋭さだ。私の殺気から銃弾の軌道を予測したな! だがしかし、そこまで勘が鋭いのならもっと私に対し警戒するべきだった。格の違いを思い知るがいい!」
イブは低い姿勢で四つん這いになると、臨戦体勢に入る。
全身から湧き出す闘志はイブの身体を何倍にも何十倍にも巨大に見せた。
そして、イブから立ち上がる闘気は人のモノではない。
熊五郎はピタリと止まる。あまりの威圧感に立ちすくんでしまったのだ。
熊五郎が目の前に幻視するそれは猛獣。
百獣の王、ライオンそのものだ。
しかし、猫背に屈み、相手を威嚇するこの姿勢には我々は見覚えがある!
【あ、あれは……野良猫のボス、ベルベット・オルガの構えビッチ!】
「ふふふ、よく分かったな! アダム! その通り、これはわが師ベルベット・オルガの動きを取り入れた対野生の猛獣専用の拳法だ!」
「グワオォオオオオオッ!」
恐れをなした熊五郎はイブに背を向けて一目散に逃げ出す。
しかし、イブはその隙だらけの背後を見逃すわけがない。
「逃がすかっ!」
【あっ! イブさん!?】
「きええぃっ!」
怪鳥のように飛び上がったイブは一っ跳びで熊のすぐ背後まで追いつくと、貫手を放つ。
しかし、空手の達人であるケツホリーの正拳突きをものともしなかった熊五郎に、素手で襲いかかるとは何と言う無謀。
いかに暴力系ヒロインのイブとて、野性の熊の分厚い毛皮と筋肉の壁をぶち破ることなど不可能だ。
その攻撃が通用しなければ折角イブの正体不明の威圧感に恐れをなした熊も、イブへの恐怖心がなくなってしまうのだ。
【や、やめるんだビッチ! イブさん! せっかく熊が逃げてくれたのに、それは藪蛇を突く様なことになるビッチ!】
叫ぶアダムの肩を七瀬がむんずと掴んだ。
「姐さんを信じるんだ、アダム」
【七瀬さん!?】
「一度人を襲った熊は必ず再び人を襲う。今、奴を倒さなければ今度こそ大きな被害が生まれるかもしれない。だから姐さんは敢えて攻めに転じた! そして、勝つのは姐さんだ!」
【わ、わかったビッチ! イブさんに全てを賭けるビッチ!】
「ようこそ! ようこそ!」
アダムと七瀬とメルルの三人はイブと熊五郎の戦いの決着を見守る。
イブの熊にも負けぬ咆哮が響く。
「伊吹式パーフェクト恋愛術! 『骨抜き』!」
今、男を骨抜きにする可憐な乙女、伊吹イブの恋愛術のひとつが明らかになる。
イブの目には見えていた。
熊五郎の分厚い筋肉の筋繊維のつなぎ目が。その脆弱な綻びが。
そのつなぎ目、針を縫うような隙間を穿てば勝機があることを。
それを可能とするのはイブの白魚のような美しい指が生み出す握力。
人類のギネス記録は握力192キロ。しかし、イブの握力はそれを遥か百キロも上回る292キロ。
それをひけらかすのは『はしたない』からイブは公表していないだけなのだ。
ゴリラは握力五百キロを超えるというのだから、それくらいでははしゃがないのが乙女のたしなみ。
なんと可憐な乙女なのか!
イブの握力約三百キロの鍛え抜かれた貫手が、一切の情け容赦もなく熊の背筋の壁を正確無比に貫く。
「グワオォオオオォッ!」
「熊五郎! 貴様の命運はここまでだ! 貴様は捕食者の頂点だと勘違いしていたようだが、それは井の中の蛙、いや井の中の熊といったところか! いいか! よく聞け! 冥途の土産に教えてやろう! 頂点に立つのはただ一人、この伊吹イブだーッ!」
彼女が狙うは熊五郎の脊柱だ。
イブは胸椎のひとつに狙いを定めると、そのひとつをブチッと引き抜いた。
これが、伊吹式パーフェクト恋愛術『骨抜き』。
それは対戦相手の脊柱を文字通り骨抜きにしてしまう、恐るべき男殺しテクニック!
熊五郎は糸の切れた人形のようにその場で倒れ伏すと、ピクリとも動かずに絶命した。
イブは右手を掲げる。その手の中には熊五郎の脊柱の一かけらがあったのだ。
「すごいやっ! 姐さんは日本一の乙女だ!」
「ようこそ! ようこそ!」
【流石ビッチ! 竜〇のシグ以来の大技ビッチ!】
イブの元に三人は集まって、イブの勝利を祝福する。
しかし、あくまでもイブはクールだ。
「ふっ、一昔前は一滴すら血を出さずに抜き取れたのだがな」
【さすがビッチ! ゾルデ〇ック家も震え上がる暗殺技術ビッチ!】
そして、イブは倒れ伏すケツホリーの前に立つ。そして、右手を突きだした。
「見たか! これが武の極みだ! 完成した武術の前には野生の猛獣もなにも等しく関係ない! ひれ伏すのみだ!」
ケツホリーは土下座した。今まで生きてきてようやく本物の武道家に出会えたからだ。
「御見それしました! どうかあなたを師匠とよばせてくださいッ!」
「ふん、ならばその気持ちを忘れぬようにこれを持っておけ!」
そういうとイブは先程の熊五郎の脊柱をケツホリーに渡す。
ケツホリーは両手でそれを恭しく受け取った。
「ハハーッ!」
ピロリロリンと電子音が鳴り響く。
イブの女子力が上がった音。それはすなわち、ケツホリーがイブに心底惚れたことを指し示す。
ケツホリーがイブのラバーメンとなったのだ。
女に興味のない格闘家ケツホリーを惚れされるためには、格闘家として尊敬を得る必要があった。
そのために敢えてイブは熊を素手で屠ってのけたのだ。もちろん、イブがその気になれば、あの程度の殺人熊など猟銃で簡単に始末できたのにそれをしなかった。
攻略不可能と言われたゲイでもあるケツホリーを惚れさせるには、己の格闘能力の高さを見せつける必要があったのだ。
≪伊吹イブ≫
女子力:4301
属性:『脱いだらすごい』『熊殺し』『暴力系ヒロイン』
恋人:『アダム』・『ケツホリー』
その鬼神のごとき恋愛テクニックを目の当たりにしたアダムは思わず呟かずにはいられなかった。
【痴皇帝カイザービッチですらラバーメンにできなかったケツホリーを惚れさせるとは、イブさんの恋愛テクニックは目を見張るビッチ。やはり、彼女なら倒せるかもしれないビッチ。痴皇帝カイザービッチを!】
そして、イブは高らかに宣言した。
「よし、では、私が腕によりをかけて、料理を作ってやる! 今日は熊鍋だぞ!」
「やったー! 姐さんの手料理だ!」
【サンキュー、ビッチ!】
「ようこそ! ようこそ!」
みんなが喜ぶ中で、新たな戦いの気配が近づいていることを、この時誰も知らなかった。
考えなければいけない。サンタナ市は既に敵の手中に落ちているということを。
そして、気付かなければいけない。そこで、料理を作るということは、すなわち『腹ペコヒロイン』を呼ぶという事だ。
常軌を逸した恐るべきヒロイン、『腹ペコの新房くいな』が、もうイブのすぐそこまでやってきていたのだった。