第49話 昇化しました(5回目)。
【接近した生物の生命反応が全て消えました。生命核を抽出して保存します。内訳はご入用ですか?】
ううん、大丈夫。死骸はアリとかの巣の近くにばら撒いて置いてくれると嬉しいです。
【畏まりました】
凍らせた死骸を食べ過ぎるとボク冷えちゃうし、今の体格だと冷えが生命の危機に直結しかねない。アリの巣の近くに放っておいて解凍された後にでもアリに食べて貰えれば良いかな。で、そのアリの巣を襲撃して食べれば無駄にはならない予定、襲撃するかはその時の気分。
【魔蜂の成体の残量がなくなりました、次は如何しますか?】
より強い毒が欲しいので魔物の方で、幼虫をお願いします。
あ、でもとりあえず一匹だけにして、食べ終わったら昇化しよう。
【どうぞ】
うーん、まるまる太った幼虫ですね、珍味としては申し分ない感じ。ボクより大きくなければそれだけで済んだけど、ボクより大きいから幼虫の怪獣にしか見えない。だけど終齢幼虫の無限の食欲があるから食べ応え抜群の珍味(怪獣)、っていうのが最終的な感想。
そんなわけで、いただきます!
…………。
……………………。
うん、うん、珍味的旨味。触感はもちもち、味はそこはかとなくくりーみー。あれだね、現代日本人としては加工して味変したいところ。もしかして成虫も加工すれば美味しく食べられたのかな? 毒の所為で苦味が強かったけど。
【検索中──、結果を表示します。はちのこには成虫を含む場合もあるそうですよ】
へぇー。でもどうやって地球の知識を検索したのかは訊かない方が良いのかな?
【そうしていただけると有難いです】
じゃあ訊かないことにするね。まぁとにかく、成虫も加工すれは美味しく頂ける可能性が出てきたから、次に討伐()したら少し残して加工待ちにしようかな。ああ、でもその前に食べ尽くしそうな気もする。何せ終齢幼虫のエクストラステージみたいなものだし。
さて、もぐもぐしてたら幼虫が消えた。また時間がかかるのを見越して葉っぱから魔力を吸い取って回復するマッチポンプを何枚かやって、よし、アンナさん、お願いします!
【酩毒蝶(幼体(六齢幼虫))への昇化を開始します】
急激に古い皮が窮屈になるのはいつものこと、五齢幼虫の時みたいな窮屈さはないけど、若齢幼虫の時みたいな今と比較すると余裕がある感じでもない。割けた頭の皮からゆっくり前進して抜け出す、早く出たい、外に出て何か食べたい。いっぱい食べたからその結果なんだろうなぁ、とぼんやりと思う。神経みたいなのは広がったのに細かくなって、そこを流れる魔力は増えて、速くなって、全身を巡る。のそのそ前進して、終に幼虫の最終段階まで来たボクの身体は白銀色の半透明、っていう、生物としてどうなのかと思える色になった。いやカエルとか魚とかでならいますよ、半透明。でも内臓が透けて見えるじゃないですか、それすら半透明なんですよ、ボクの身体。これじゃ食べたもの丸見えのクラゲじゃないですか、これから食べるもの = ハチじゃないですか、グロぃぃ……。
【まぁ、見る人もいませんし】
見てる女神さまがそこにいるんですよ、気を使いたいのはアンナさんにだけです。
【天羽様……!】
あ、魅了の★が上がる気配がする。




