第43話 襲撃されました。
普通に不味い葉っぱをもしゃもしゃし続けています、こんにちは。
口直しにハチを齧ってるんだけど、あれだね、成虫も普通に不味い。毒腺があるからお残しはせずに全部食べてるんだけど、口直しが口直しにならない程度に不味い。不味いし毒はさっさと強化しておきたいから先に食べようと思ったんだけど、うーん、ちょっと口直ししたい……。
【蜂蜜を出しますか?】
後でのお楽しみなんだけどなぁ。でも少しくらいなら良いか、蜜が溶け出した水を少しだけ、葉っぱに振りかけてくれると嬉しいです。
【では、こちらをどうぞ】
食べ終わった葉っぱのすぐ近くの葉っぱに細かい水滴がついた。アンナさん、ありがとう!
【どういたしまして】
いそいそと移動して少し濡れた葉っぱの端から齧ってく。甘くなった気もするけど、気の所為かも、ってくらいに微々たる差、ケチったのは良くなかったかもしれない。でもお楽しみが減るのは嫌なので! 味変はもう少し先にします!
そんな感じでもぐもぐしていたら遠くから羽音が聞こえてくる。
……終齢幼虫だもんなぁ、そりゃ来るよねぇ。
結界に不備がないか確認して、念の為に毒を付与して幻覚も加える。何が来るのか分からないけど結界越しとはいえ虫のどアップとかあんまり見たくないから、全面的にアンナさんにお任せしたいところ。
【お任せください。妻を守るのは夫の役目です】
お嫁さんがいつもいつでも頼もしい。守られて妻扱いされる現状に思うところはありまくりだけど、今は生命の保全が大事なので大人しく魔法の維持だけに努めることにする。目を閉じたらアンナさんが魔力を持っていって、その後に結界に何かが接触した。うえぇ、羽音が凄い近くで聞こえる……、少ないから怖いというより単純に不快だよ、これ。
なんて思ってたら増えた。羽音、っていうかその発信源が激増した。増えて欲しい、なんて言ってない! 嘘、やっぱり生命核が欲しいから増えるの歓迎! とりあえず今回は魅了は使ってないから襲撃者の目的は捕食か寄生の筈だ。ハチですか、ハエですか、答えは要らないからね、答えないでね!
【とにかく殺しますね】
お願いします。アンナさんが使った分の魔力の補填も兼ねて葉っぱを齧る。やっぱり不味い、目を閉じたから感覚がこっちに寄って余計に不味い。無理しないと食べられない程でもないから質が悪い、ただただ不味い。でも食べる、お腹の減り具合が半端じゃないんだよぉ。
【いっぱいたべるきみがすき、というものでしょうか。いえ、若齢幼虫の頃から好きですが】
好きでいてくれてありがとうね、アンナさん。
【ふふ、かわいい】
食べられそうな気配がしました、襲撃より怖い。
【生命反応が全て消えました。生命核を抽出して保存します。死骸は如何しますか?】
うん、話を逸らしたね、良いけど。
あとごめん、寄生するタイプの虫を何の躊躇いもなく食べる度胸はないかな。
【アリの巣の近くにでも捨てておきますね】
そうしてくれると嬉しいです。
さぁて、葉っぱを食べる続きをしよう。




