第34話 虐殺しました(アンナさんが)。
バシャン、パキン、と間隔を開けて音が繰り返される。ある程度の数が集まってから魔法を使ってくれてるとは思うんだけど、敵を凍らせる音が止む気配がない。魔力の残量ってどのくらいだろう?
【鑑定中──、結果を表示します。魔力残量が5割を切りました、私が預かっていた魔力は既にありません】
拙いな、ボクが自分の魅力を読み間違えた可能性がある。
【天羽様の魅力は計り知れない、ということですね】
現状を見るとそうなんだけど、ボクの自己評価って転生前のが続行中だから、要するに見た目含む魅力って平々凡々の極みだと思ってるんだよ。
【美女だけだとしても複数人数を平均すると平凡な顔になると聞きますし、平凡な顔であると親しみ易さというか自分でも手が届くのではないか、という期待値が大きくなるらしいですよ。天羽様の可愛さは疑いようのない本物ですが】
ボクの可愛さとかいう謎の概念については置いておくとして、親近感とかについては憧れとか自己投影とかそういうのじゃなかったっけ? 人間のことには詳しくないから間違ってるかもしれないけど。
ついでにそれは今、論議している場合じゃなくて。
ここら一帯を範囲攻撃するのは良くない、ボクの現状のご飯である葉っぱも凍らせることになるし、何より多分だけど魔力が足りない。魅了が何処まで広がったか分からないけど、近所を哨戒中だったアリとかハチとかは全部が引っかかったと思って間違いない、アンナさんが言ってた一番近くのハチの巣までは届いていないと思いたいんだけど。次からは出力調整にも気を遣わないと。
【鑑定中──、結果を表示します。魔力残量が3割を切りました、しかし範囲内の生物の接近は一段落しています】
分かった、引き付けが終わったら教えて。そしたら1撃で集まった生物を全部、残らず仕留めてくれるかな。結界内に冷気が入り込んでも良いから。
【分かりました、ですが天羽様への被害は絶対に出しません】
いつもながら本当に頼もしいが過ぎる。アンナさんが言うや否や、効率の良い魔法の為にアンナさんが何かしら練るか編むかするんだろう、先払いというかのように魔力がごっそり抜けていった。残った魔力で結界と毒の維持を何とかしなければ、アンナさんの邪魔にだけはなりたくない。
【鑑定中──、結果を表示します。魔力残量が1割を切りました、また範囲内の生物の引き付け、魔法の発動準備が完了しています】
じゃあ、お願い。
【照準、確定。威力、安定。氷結狙撃魔法、展開】
トス、と何かが刺さるような小さいけどそこそこ重い音が響いて、結界に張り付いていた気配は消え、パサパサと何かが下の葉っぱや地面に落ちていった。
【完了】
少しずつ目を開けてみても、この葉っぱの上にはボクしかいない。いや、アンナさんもいるんだけど。
【接近した生物の生命反応が全て消えました。生命核を抽出して保存します。内訳はご入用ですか?】
うーん、良いや。あ、でも召喚の★が挙げられそうか、ってことと、例のハチの巣まで範囲になってたかは教えて欲しいな。あと毒腺あるなら回収もお願い。
【鑑定中──、結果を表示します。召喚の能力値を上げるのに必要な量には、残念ながら及びませんでした】
【探索中──、結果を表示します。件のハチの巣の哨戒係は大半が範囲内にいて魅了されたようですが、巣自体は範囲外です】
ありがとう。それにしても魔力残り1割まで使ってこれだけ被害を出して届かなかったかぁ……。
【鑑定中──、結果を表示します。それでもかなり生命核は溜まりました。この規模の虐殺をもう一度繰り返せば必要な量に達すると思われます】
そういうことになるのかぁ。元が人間だからか対象が虫だと大して虐殺、って感覚がないや。




