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楽だった戦い

シャドウが逃げ出した後、妾は考えていた。


そうシャドウがあまりにも弱すぎる事を。確かにゲーム時代でもシャドウは妾の魅了の前では、同じ土俵にすら立てなかった。だが、近接で妾が勝つ事は本来難しいのだ。


速さ自体は妾の方が上ではあるのだが、ゲーム時代のシャドウの二刀流は凄かった。二刀の剣を自在に操り、どんなプレイヤーでも剣でシャドウを上回るのは不可能といわれていたくらいだ。


だが今のシャドウは違った。ただステータスに任せて剣を振るっているだけでそこに駆け引きなどは存在しない。格下相手には通用しても同格や格上には全く通用しない。


そして1番は、背後を取ったのに全く気づかない所だ。そもそも上位プレイヤーが背後を取られる事すら有り得ないのに背後を取られた挙句攻撃を簡単にくらうこんなのはゲームではあり得ない。


何故こうなったのか答えは単純だろう。キャラの力を完全に出せていない。これに尽きるだろう。スキルや技は問題なく使えるが、元が人間の妾達がいきなり圧倒的に強い体を手に入れて使いこなせる筈がないのだ。


恐らく妾も自分では大丈夫と思っているが、弱体化しているのだろう。


シャドウの攻撃を弾けたのも攻撃が単調だったから。複雑な攻撃ならあんなに上手くいかなかっただろう。


だって妾近接タイプじゃないし。何なら後方タイプでも支援タイプでもない。魅了特化なのだ。なのでそもそもタイマンはそこまで得意では無い。


だがそれを感じさせないのが妾の圧倒的なプレイヤースキルだ。けどこの世界はゲームじゃないから上手くいかないのかも知れないな。


これは同格や格上相手をする為にしっかりと鍛えないといけないな。


……というか見逃したかがシャドウがまたここを襲ってきたらどうしよう?勿論妾が戦えば勝てるが、これから先は妾も忙しい。


復讐する為にも、十二神槍を揃えて、妾自身も鍛えないといけない。だからまた助ける時間があるかどうかは分からない。どうしたものか?と悩んでいると、


何処からかとてつもなく食欲をそそる香りが流れてきた。


これはタランか。恐らくタランが傷付いたエルフ達を癒す為に食事を作ったのだろう。よく出来た部下で妾も鼻が高い。妾の分も準備されているかな?


そんな事を考えながら妾は匂いの元までゆっくりと歩いて行った。



「こ、こんな美味しいもの私初めて口にしましたわ!」


フーリス様は私が作った料理を一口食べた瞬間に大声を出していた。そして私の料理に夢中になり、王族という立場を忘れたのか凄い勢いで料理を食べすすめた。


そしてフーリス様が食べ出した事により生き残ったエルフ達も次々と料理を口に運んでいく。


私の料理を食べたエルフ達は、あまりの美味しさに感激して涙を流していた。戦争で疲弊していたので無理もない。私は傷付いたエルフ達の為料理を作り続けた。


今使っている料理は、体力や傷など体を癒す事が目的の料理。【中華薬膳満漢全席】という献立だ。100人近くを癒すには満漢全席が1番だ。


しかし1人でこの量を捌くのは中々骨が折れる。いくら妾が腕が多くてもこの量を一人で捌くのは大変なのである。こんな事なら副料理長も同行させるべきだったか?と思ったが、副料理長は戦えない。戦えない者を戦場に連れ来るのは論外だ。仕方ないやるか。


糸の調理場(キッチン)蜘蛛の巣(デス・キッチン)と同じ結界を作り出すスキルだ。この空間ではタランは自身の糸を自由自在に操る事が出来る。糸で食材を切り、鍋を振るう。そして盛り付け。からの配膳まで。この状態のタランの料理スピードは100倍。100人のエルフの腹を満たすのは容易い上。デザートまでも作れる。


そしてタランは糸を使いエルフ達の料理を作り、自身はカナの為の食事を作る。そしてカナの料理が完成した頃、


「流石はタラン。エルフ達の救出そしてダークエルフの殲滅見事だった。」


偉大なる我がマスターが現れた。


「ありがたきお言葉でございますマスター。ですが、ダークエルフは弱くまさに、泰山圧卵の状況でした。一体NPCがありましたが、既に私が食材に変え、調理済みです。」


妾が香りに釣られやってくるとタランは嬉しそうに近づき色々と話してくれた。


まぁやっぱりレベル999が二人いればこの世界のキャラなど敵では無かったみたいだ。しかしシャドウのNPCががいるというのは誤算だったが、タランが難なく倒したみたいだ。


まぁ妾達に被害は無かったから総じて楽な戦いだったと言ってもいいのではないだろうか?


とはいえこの状況を見て良かったとは言えないな。もう少し早く来ることが出来れば良かったとも思ってしまう。


まぁこの状況はラフテラが来れば改善は出来る。とはいえ心の傷は中々いえないだろうな。などと考えていると、


何かがこちらに向かってくる気配を感じた。


……数は4人か。そして一人はレベル999だな。そして他も中々高レベル。プレイヤーか?妾を漁夫しに来たのか?


まぁどうでもいいか。妾はアンヘーラ=カナ・アルマゲドン。妾の魅力の前では全て無力なのだから。

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