信仰は天へと至る道
開けられた扉をくぐり中に入ると、そこは白を基調とした神聖な雰囲気の礼拝堂だった。思わず誠たちの背筋が伸びる。
「普段はここで、ラウロ司祭が説教などをしています」
徹と誠は、キョロキョロしながら礼拝堂を見回している。修道女は、その様子を見ながら微笑みを浮かべる。
「説教か」
「聞いてみたかったな」
「説教は毎朝ありますから、また明日にでもお越しください」
「毎日!?」
驚く誠に、修道女は笑いながら答える。
「ハイ!」
「それは、ラウロ司祭が一人で?」
徹はワナワナと震えながら、修道女に尋ねた。
「はい、そうですね…………それが何か?」
『毎日の朝の業務をずっと一人で?それは……ブラックだな』
「いや、何でもない」
徹の目が遠くなる。脳裏に地球での労働風景がよぎり、勢いよく頭を振って吹き飛ばす。
「少し祈ってもいいですか?」
誠は徹の心中を察して、話題を変える。
「もちろんどうぞ」
修道女見守る中、徹と誠は膝を折り、腕を組む。修道女から死角になった二人はアイコンタクトで会話を始める。
『メルクリス様以外にも、神がいるなんて聞いてないぞ』
『あぁ、それになんだミロクリスとかいう神の分身ってしかも本体はミロクリスだって?』
『詳しいことは今度顕現させたときにお聞きしよう』
『それより、この修道女……変じゃないか?』
『あぁ、魔力の質というか、人間じゃなさそうだよな』
『サンロアみたく正体隠してるのかもな』
二人は、背後の修道女をばれないようにチラ見する。これだけ大きい教会にも関わらず、説教をする司祭は一人。そして、この修道女が案内してくれてる間、教会内で他の人間と出会わなかった。そして何より、この修道女から感じる違和感が二人に告げていた。彼女は人間では無いと。祈るフリを辞め、二人は立ち上がる。
「ありがとうございました」
「いえいえ!」
「そういえば、他の方はいないんですか?」
誠はそれとなく探りを入れてみる。
「今は、来客対応で忙しくてですね」
「あぁそうだったんですか」
「司祭ともお話したかったのですが、しょうがない」
二人は、ゆっくりと出口へ歩いて行く。
「ありがとうございました」
二人は、修道女に一礼する。
「いえいえ、ではまた来てください」
「あ、そういえばお名前を聞いても?」
「あ!すみません!申し遅れました。ミロクリス教のシスターをしてます。レウといいまっあっ!!」
相当慌てたのか、レウはお辞儀をした拍子にバランスを崩した。誠が咄嗟に支えるも、一緒に後ろへ倒れてしまう。その拍子に、メルクリス像に触れてしまった。
「「「ん?」」」
三人の声が重なった。メルクリス像がガタガタと音を立て始めたのだ。三人が思わず目を向けると像がまばゆい光を放ち始める。
「わ、わわわ!」
「なんだこれ!」
「こいつ!まだ光るぞ!」
光はどんどん強くなり、あたり一帯を呑み込んでいく。強くなる光は、天へと伸びる一本の柱となった。
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