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己の歩むべき道は己で見つけてみせる  作者: 飛来針
第二章 ─ ミセリア国 ─
25/48

ホールという謎多き男

24話投稿時に画像がアップロード出来なかったので、

先ほど編集し地図の更新をしました。[現在25話]

(会話内にあった魔物棲息地域と街道追加)

 当初の予定通り街道に出ようかと思ったが、エル商国北の町リットランで早めに売った方が良い物もある為、リットランに直接行く事になった。


 リットランは、食料品が豊富な町でエル商国の北半分の町や宿場へ、行商人が売りまわっっていると言う。

 中でもパルツとミーツと言う果物と、チーズが豊富で絶品だと言う。

 パルツは拳大の大きさで薄い赤色をした丸い果実で、皮も()きやすく実も柔らかく水分も豊富な上に非常に甘い。

 ミーツは薄い緑色でパルツの二倍程の重さの楕円形をした果実で、皮はナイフを使った方が剥きやすい。そのままでも食べられる。実はシャキシャキしパルツよりも瑞々しい、甘さは少し控えめだがサッパリしていて暑い日に食べたくなるそうだ。


 チーズはドロっとし固形にならない濃厚な物から、固めの物まで充実していると聞いた。



 そんな情報をマンシーニの宿場で聞き、早足でリットランに到着した。


 エル商国は金さえ払えば、半獣人であろうと気にしないと言うのは良い。

 ならば何故皆エル商国に行かないのかと言うと、行けないのだ。

 ミセリアからの出国が出来ない上に、忍び込んでも誰かに仕えてる証の首輪が無いと送り返されるというのだ。

 これは国同士の条約らしいので、いくら金を持つ半獣人でもそれだけは見逃せないそうだ。


 仮に首輪のついた半獣人を見下すと、その主人を見下した事になるので、そういった行為はしない。

 但しミセリアから来てる商人だけは、どうしても癖が抜けないようだ。


 と、言う事でアービィ・ジル・ウェルの三人は、変に見下される事も無く、俺も腕に赤腕章[売ります]を付けながら南下してきた。


 途中で冒険者や商人に何を売っていると聞かれて、売ったり話したりしていた。



 そして(ようや)くリットランに着いた。

 その足で商人ギルドリットラン支部へ行き、武器や防具の材料となる物を売っていく。

 この辺の素材は相場を知らないし、手っ取り早く荷を軽くしたかったと言う事でギルド売りにした。

 角や(たてがみ)やバジリスク素材だけを残し。


 初めに強いのが出てきたがその後は、弱い魔物が多く売ったのはそいつらの物ばかりだから、売価も知れている。金貨6枚だった。

 この6枚を三等分し更に金貨1枚ずつ追加し、三人に金貨3枚ずつ渡していく。


「この様な大金受け取れません。」

 とアービィは言うが、俺からすれば既に端金(はしたがね)となっている。


「この金は三人が俺の(もと)で、初めて稼いだお金だから全て渡しておく。」

 途中食べたい物や欲しい物があれば自分の金で買えばいいと伝え、近くの雑貨屋で買った安い皮袋の紐で結ぶ財布と共に渡す。


 しかしこの金が、後で厄介事を連れてくるのである。



 今日は飯が旨いと評判の高級宿に泊まる。

 リットランに来たなら多少高くても、いい宿で上手い物を食え!と言う事らしい。

 そして今晩俺達は舌鼓を打ちながら、腹一杯食べまくったのだった。


「おい遠慮すんな、値段なんぞ気にせずドンドン頼んでドンドン食いまくれ。」


 完全に狩りは金策ではなく、食道楽(くいどうらく)の余興となっている。

 だがそれも良いんじゃないかと思う。他の奴らと同じ生き方をして何が楽しいと言うのだ。



 三人は生まれて初めてこんなに腹一杯になるまで食べたと、口々に言い合っていた。

 それを俺はデザートを食いながら果実酒をゆっくりと味わう。


 そこで閃いた。

 明日はパルツとミーツ、チーズ数種と幾つかの果実酒と買って帰ろう。



 あまりに飯が旨かったので、後二日リットランに泊まる事にした。

 二日目は四人で店を巡り歩き食べ歩いた。

 パルツの蜂蜜酒漬けなるものがあった。

 パルツを薄く切り蜂蜜酒と他何かとを漬けてあるんだが、美味しすぎて(ほほ)が落ちそうになった。

 店主に持ち帰りたいと言った所、日持ちしないと言われたが俺は諦めなかった。


 そこで店主にパルツを漬ける前に、エポ保存液に一晩漬けた後に蜂蜜種に漬けてみてくれと言い。

 エポ保存液の小瓶を渡す。


「これに漬けると一晩持たない果物が、20日持つ様になる。一度これで試して作ってみてほしい。

 今回この保存薬は無料で渡す、上手く行ったら少しで良いからドズの[レイ・ドリーム]にアール宛てで送って欲しい。

 試作品を作るのにも金が掛かるだろうから資金を渡しておくよ。それだけ俺はこれを気に入ったんだ。」


 そう言い店主に金貨5枚を渡す。



 そして二日目も何事もなく終わり、三日目は各自自由行動にした。


 俺は昨日の蜂蜜酒漬けの店に顔を出した。


「おっちゃん、試して見たかい?」

「ああ昨日のアールさんか、お前さんも変わってるねー。」


「いや家でも食べたくなってからね、おっちゃんだってこれが日持ちする様になれば、シュツーやヒルリアにまで売れて儲かるじゃない。」

「そうだけどよ、こんな小さな店に投資する変わりモンはお前さんが初めてだよ。」


 旨いものは廃れさせちゃ駄目だからな。

 あと間違いなく家に来るあいつ等もこれは好きになる、特にジョーとエレニアが。




 夕方までうろついた後、商人ギルド前を通ると何やら騒がしい。ちょっと様子を見に行ってみた。


 すると獣人数名がウェルを拘束してギルド員に何かを言ってやがる。



「こいつがうちの店で買い物しに来たんだが、金貨で支払おうとした。首輪付きが金貨なんて持ってるわけがない、怪しいから調べてら金貨3枚持ってやがる。盗んだに違いねえからふん縛って連れてきた。」


 ウェルは違う違うと言いたそうに首をブンブン振っている。口もふさがれ何も言えないようだ。


「おいお前らうちのウェル捕まえて、何してやがる。」

「あー?お前が主人か。こいつが金を盗んで、俺の店で使おうとしたんだよ。」


 証拠も何もないのに適当な事を言ってやがる。


「誰の金をどこで盗んだんだ?ハッキリ言えよ虎野郎。」

「そんなもん知らねえよ、首輪付きがこんなに持ってる訳がないんだよ。」


 全く・・・何も根拠がないのに、言い掛かりとは。


「俺がこいつの働きに金貨3枚与え財布を買い渡したんだがな。あとこいつの持ってた武器はどうした?お前ら奪ったのか、あれは俺の資産でもあるんだぞ。」


 虎野郎に腹が立ってるのか、全く冷静じゃない。


「お前みたいな若造がそんなに金に余裕あるわけないだろう。さてはお前も盗賊仲間じゃないのか。こいつも捕えちまえ。」




 またこれをつかう羽目になるのか、ここでも畏怖が何とか言われるのは嫌だぞ。


 そして言葉を発しながら徐々に"脱力"最大で開放していく。勿論ウェルには脱力耐性を掛けつつだ。


「ヒルリアのホール=ズィン=クーオンズに問い合わせてみろ。()しくはシュツーの[闇の通用門]でもいい。奴らに聞けばこの俺アールがそれくらい金貨は、端金(はしたがね)だと知る筈だ!数日逗留してやるから今すぐ確認しろ!!そしてウェルの武器や装備品を今すぐ耳を揃えて持ってこい!!!!」



 言い終わった時にはウェルを拘束していた虎豹(こひょう)族すら、真面(まとも)に立つ事が出来ていない。

 きっと"脱力"を全力で発動したのは、今が初めてだろう。



 そして何処からとも無く、聞き覚えのある称号染みた言葉が聞こえて来た。


『畏怖を・・・撒き散らす男・・・だ』


 ザワザワ・・・ザワザワ・・・この男が?・・・


 まただよ、またコレだよ。誰だよこの名前の名付け親、出てきやがれ・・・。


 しばらく騒ぎが収まらずにいると、商人ギルドの中から偉そうな人が出てきた。



「「し、支部長」」

 数名がそう言うこの男はリットラン支部長で、ローゼル=ラン=クーオンズと言うらしい。

 ・・・クーオンズ?ホールの身内か?


「貴方は[レイ・ドリーム]の経営者であり、ホール兄上のご友人だと聞いております。

 このお嬢さんを早く解放なさい、それと奪った装備品を返しなさい。

 出来ないのであれば貴方がたはこの町は(もと)よりエル商国及び商人ギルドから追放しますよ。」


 腰を抜かしかけていたさっきの虎豹(こひょう)族が走っていく。


「アールさん申し訳ない同族の面汚しの所為(せい)で、嫌な気分をさせてしまいました。」

「分かってくれたなら、良いんだよ。」


 そして何やら耳打ちしてくる。

「(それは"脱力"ですよね、人間の方が持つとは初めて見ました。)」


 どうやらこれの正体すら知っていると言うことか。



 騒ぎが大きくなったが支部長のローゼルがうまく収めてくれた。

 そして今夜俺たちに食事をご馳走したいと家に呼ばれた。


 四人分用意してもらいローゼルの家に着く。


 始めは立場もあることだしローゼル殿と呼んでいたのだが、ホール兄上をホールと呼ぶのでしたら私もローゼルとお呼び下さいと言う事だ。


 しかし俺も謝る事があった。

「勝手にクーオンズ家の名前を使って申し訳ない。」


「兄上が何かあったら使って良いと仰ってたのでしょう、私にそれを止める権利はありません。」


 ()しかしてホールは相当力があるのかと聞いてみたが、兄上が仰ってないなら私には言えませぬと断られた。しかしいつかお話になるでしょうとも。


 そしてこの日の晩餐(ばんさん)が、リットランで一番おいしい食事だった。


 そしてこの事は直ぐにホールの耳に入るだろうと思っていると、翌朝ホールがちょっと良い馬車に乗ってリットランまで来ていた。

 そこにローゼルが見送りに来ている。


「ちょっといざこざ(・・・・)があった様だな、ドズまで送ってくから、乗って行きな。

 ローゼル!問題を起こした店の店主を、ヒルリアの当家に連行しろ。」

(かしこ)まりました兄上。直ぐに手配致しましょう。」


「いやそこまでしなくても良いんじゃ?」

「いやこれは我が虎豹(こひょう)族と商人ギルドに関わる問題だからな、捨て置けんのだよ。」

 何か引っかかったが、どこがとよく分からなかったので気にしない事にした。


 そして数日間ホールと移動を共にし、ドズに着いた。




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