24/121
3、遅すぎた目覚め。
普段は静謐な教会、けれど今は啜り泣く声と、男性の慟哭が響いている。
男性の腕には一人で立つ事も出来無い赤子がいて、歎き悲しむ周囲を、ただ静かに見つめていた、
泣きもせず、笑いもせず、ただただ静かに。
私は彼女を知っている、その成長した姿を、他者の幸福の為にその身を捧げる姿を……ああ、彼女は……、
「攻略出来無い黒幕令嬢……」
私の身の内の声が鼓膜を震わせた、私以外の誰にも届か無かったそれは、六つ上の兄のそれだった、
──ああ今度は姉弟では無く兄妹か、私達は互いを認識し、そして……、
目覚めの遅さを悔やんだのだった。




