↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この学園には攻略対象者はいません。  作者: 蒼
最終章 転生者が望んだ閉幕。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/121

第二十二話 翔馬『プレゼントをあなたに、あなたからの贈り物』

 





「翔馬《かけうま》、そのスパイス類をボウルに入れて」


 十二月二度目の週末である今日は、厨房って感じのキッチンがある神定の屋敷で、我が家の冬の恒例行事であるひい祖母ちゃんレシピ、本場のシュトレン作りの手伝いをしています。


 これ、家で食べる分だけじゃなく、祖父ちゃん家に送ったり、家族が各自で友人や職場に配るから店かってくらい焼くんだよね。


「ガスオーブン二台使っても一日仕事になるよなぁ」


「ですが喜ばれますしねぇ、皆様に」


「……家のに三本は欲しいし」


「もう一頑張り、しましょうね」


 結局夜遅くまでかかったので白《つくも》さん家に泊まらせてもらいました。


「……ってことでお歳暮がわりにシュトレンです!」


 週末の主に姉ちゃんの奮闘を語った後、姫様に一本、白姫には圓城寺《えんじょうじ》関係者代表として八本渡しました。……それプラス、


「これは食べ頃のクリスマス前くらいに双姫会の皆さんとのお茶会に出して下さい」


 二本……僕の分がこれだから総量は……うん、店だね。


「……百合恵《ゆりえ》さんにお疲れメールを送っとくわ」


「……だな」


 ちなみに姉ちゃんと姫様達は一月ほど前の合奏以来メル友です。……僕よりもやり取り量多いねっ!


「……うう、姉にジェラっすぅ」


「……めんど」


「ショウは愉快だな」


 ……ほぼネタですわ。



 そして迎えたクリスマス当日! もちろんプレゼントは用意しました! 自分で稼いだお金で! 圓城寺で社員他が作ったアプリを販売してて、そこで何個か売ってるんだよね。結構売れたんだよね!


 なので胸を張って姫様に手渡すべくお家の近くまで来た訳ですが……、


「……通行に許可証がいるなんてっ!」


 姫様のお家に続く私道の入り口には警備員が常駐のゲートがあり、通行許可証を持たない僕は姫様にここまで御足労願うことになりました。……うう、しまらない。


「……ゴメンなぁ。おじさんも仕事でなぁ」


 一見荒事と無縁そうな警備員のお兄さんに同情の声をかけられるくらい、わかりやすくへこんでます僕ですが、


「いえ、僕のリサーチ不足が原因ですので……幸いお出で下るようですので」


 え、面倒、って断られる可能性もあったのに……わざわざこの寒い中を来てくれるなんてっ!


「……ああ、脈ありっぽいよねぇ……凄いねぇ」


「ですよねっ!」


 姫様に無駄に気を持たせる類いの優しさは無いもんね!


「……あ、いらしたようだ……じゃ、おじさんは馬に蹴られないように引っ込んでるよ……健闘を祈る」


「はい! 頑張ります!」


 そしてゲートから出て来た姫様は……、


「……グハッ、よ、妖精ですかっ!?」


 白いフリルブラウスの上に薔薇柄の膝丈オーバースカート、白いタイツと真っ赤なショートブーツに白いファー付きの真っ赤なケープに白いファーバッグ……ハロウィンにこういう姫様が見たかったんですよっ!


「え、その格好はクリスマスだから? そ、それとも僕の、」


「え、普段着だけど何か?」


 ………………、


「し、私服デートしてぇ!」


 一日中眺めてたいです!


「……警備に数人必要だから面倒」


 誘拐やしつこいスカウトが倍増するそうです。……だよね! グスン。



 姫様が顔を真っ赤にして照れ怒りするまで褒めちぎりました。


「で、呼び出した用件は? プレゼントでしょ? 早くよこしなさい」


「あ、はい」


 姫様の私服に萌え過ぎて忘れてた!


「……これを」


 僕は足元に置いてあった箱から花束を取り出す。愛らしい花が好きな彼女の好みではないけれど、この思いを伝える為の、十一本の紅薔薇の花束を、


「……受け取って、くれますか?」


 花に詳しい姫様ならわかるだろう込めた意味は、


「……知ってたわ……受け取ってあげる」


 『最愛』のあなたに『死ぬほど焦がれている』と、いうこと、


 混じり気のない僕の真実。


 しばらく、嬉しそうに薔薇を見ている姫様に悶えていたら姫様が、


「……じゃ、借りを作るの嫌だし……受け取りなさい」


 と、バッグから包みを!


「あ、ありがとうございます! ……あの今、開けても」


 直接感想を!


「……好きになさい」


「はい!」


 シンプルな淡い水色の紙袋を留める金色のシールを慎重に外すと……、


「……ネックウォーマー? ……え、もしかして手編みっ!?」


「……練習作の腹巻きだから……じゃ、帰るわ」


「え、はい? あ、わざわざありがとうございました!」


 ……腹巻き?



 姫様を見えなくなるまで見送り、お兄さんに祝福を受けながら帰宅した僕は、包みから再び深い緑色の暖かそうなプレゼントを取り出す、……腹巻き……って言ってたけどこれは……、


「あら、暖かそうなネックウォーマー……え、お返し貰えたの!? 良かったじゃない! ……って何その難しい顔」


「……姫様いわくこれは腹巻き……だそう」


「……え」


「でも……貰った物をどう使おうと僕の自由だよね!」


 っていうかきっと、


「姫様風の照れ隠し? ……あー、ツンデレ最強ー」


 よっし! 年明けからの通学に活躍させるぞ!


「……照れ隠し……確かにお姫様のツンデレは可愛いわね」


「だよね!」


 ツンデレ否定派だった姉ちゃんにもツンデレの素晴らしさをわかってもらったクリスマスでした。


 ちなみに、その日の夜、


『……これ、何』


 と、姫様から写真付きのメールが届きました。……サプライズ成功!


『十二輪目の薔薇です。返事はいつでも待ってます』


 実は薔薇の一輪に銀の薔薇模様の指輪を付けていたんだ。


 十二本の薔薇の花言葉は『告白』、そして欧米ではプロポーズに贈るもの、


「……何時か一輪返してほしいなぁ」


 はじめの一回の僕らのように、永遠を誓い合う日を願い贈った物だ。



「そういえばあんたの誕生日っていつ?」


 出会って間もない頃に姫様から尋ねられました。


「え! ひ、姫様が僕に興味をっ!」


「……貰いっぱなしが性に合わないだけ」


 ………………あ、


「……つまりカードを僕が贈ったと?」


 無記名だったのに?


「……まあ、そういうこと」


 少し頬を赤くしそっぽを向き頷く姫様……あー、


「ツンデレ最強ー!」


「だな!」


 白姫と深ーく頷き合いました。


「で、いつなのよ?」


 キッと僕らを睨み、姫様が再度問います。


「あ、惜しいって必ず言われる日です」


 名前と共にちょっとした会話の糸口になる感じです。


「……で?」


 あ、すみません。


「二月十三日です」


 ちなみに二十三時生まれ。


「……たしかに惜しいわね」


 二日連続で物を貰う月です。二月は、


「あ、誕生日といえば私も惜しいぞ?」


 すると、歯がみするしかないほど美味しい紅茶を入れながら白姫が唐突に発表する。


「……十二月十五日が?」


 あ、僕が一番年少だ。


「実は予定日が二十五日だったらしい」


「「……惜しい」」


 早産で安産だったそうです。



 って、ことがあったのでウキドキと迎えた誕生日!


「はい、あげる」


 貰った物は……、


「チョコレート?」


 そして翌日、


「はい、あげる」


 貰った物は……、


「リストバンド?」


 え、逆じゃ……ハ!


「照れ隠し……ツンデレ……最強」


 たまには素直になられても……いや、貰えるだけで幸福だよね!





 

 


 そんなプレゼントの裏側。


「あ、」


「ん? どうしたモカたん?」


「……さっきあげたプレゼント」


「うん、ショウ、飛び上がって喜んでたな」


「……明日用のチョコクッキーだったわ……間違って持って来てた」


「……えーと、では今日用のは?」


「ここにリストバンドが……ま、いいわね、明日あげれば」


「……まあ、モカたんのキャラ的には有りか」


「……いえ、訂正すべきでは……」


「ノブ、元佳様のキャラ的にそれは無理だよ」


「黙りなさい」


「「はい……」」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。