詩: コーヒーの苦さの奥から
掲載日:2026/05/22
朝 あなたがいつも淹れてくれるコーヒーも飲まずに
急いで家を出ました
ドアを閉める手が少し震えていました
駅までの道で立ち止まりました
昨晩 あなたに投げつけた言葉が
胸の奥でまだざらついています
自販機で
あたたかいブラックコーヒーの缶を買いました
ふたを開けます
ひと口めの苦味は あのときの重い空気のよう
言いすぎた言葉
言えなかった「ごめん」
閉めたドアの音
沈黙の重さ
信号待ちの人たちのざわめきの中で
わたしの時間だけが止まったみたいです
思い出したくないのに忘れさせてくれません
もう一口飲むと
苦味の奥にかすかな甘みを感じました
あなたが淹れてくれる朝のコーヒーの味を
思い出させるような かすかな甘さ
胸の奥の扉がほんの少しだけ軋みました
開けるのはまだ怖いけれど
このまま閉めておいてはいけません
コーヒーを持つ手が温かいうちに
あなたにメッセージを送りましょう




