序章 来ちまったよ日本にな!
「はっはっは まじで出来たぞ!」
あらゆる物が乱雑に置かれた部屋から、光が溢れ出す。
「なにしてんの?」
部屋の扉から同僚のクレンがこちらの様子を窺ってきた。
「聞いてくれて、クレン。この部屋の戸棚にあった勇者の遺物弄ってたら、動き始めたんだ。ずっと動かないって聞いてたのに!」
それを聞いたクレンの顔がたちまち青ざめていく。
「.......なにしてんの」
「...へ?」
「何してくれてんのよ! それはね!」
クレンが何か言おうとするが、光はさらに増していき、いつの間にやら周りが見えなくなるほどにまでなってきた。
「わー ナニコレ」
ライは状況が処理出来ず、馬鹿みたいにポカンとする。
「あんたがやったんでしょ あーもうダメだー」
.......
しばらくして目を開けてみる。眩しかった光は引いていた。代わりに建造物らしき物が両側からライ達の視界を狭めていた。
「どこココ? ...なぁクレン?」
隣で体育座りして、呆けているクレンに現状を尋ねる。大体こういう時には役に立つ奴だ。
「あんたが....あんたが...」
よく見ると、青い顔しながらぷるぷるともしていた。...一体どんな所に飛ばされたんだ。
ーーというかホントにここは何処なん....わぁぁ。
なんと無しに歩いてみると、開けた場所まで来ていた。
そこには縦に長い四角柱の建物がいくつも建っており、その麓には不思議な物体が行き交いしている。
所々で光を放つ物が置いてあり、夜とは思えない明るさがあった。
思わず誰かさんみたいに呆けてしまう。
「それは、車って奴だよ。ライ」
立ち直ったのか、クレンが奥から歩いてくる。
「クレン! もうだいじょぶか?」
「コイツっ誰のせいだと..いや、それはもういいや。とりあえず今の状況を説明しないと。まずお前が起動させた勇者の遺物。あれは勇者自身の故郷にいけるという物なの」
「えっ!つまり此処は、最近の教科書にも乗り始めた『日本』ってこと!?」
「教科書の件は知らないけど、まぁそうよ。そして現状、精霊都市『エルメル』には帰れない」
「!? おいっ!それじゃぁどうするんだよ。私早く帰らないと...」
「あーやめろや、首を掴むな、落ち着け、エリル様が心配なのは分かるが」
「借金増えちまう....」
「...そっちかよ、てかアンタはなんでそんな借金を作りまくるの?..」
「今回は来週辺りで、護衛の報酬がガッポガポな予定だったんだよ!」
無計画の神でも取り憑いていそうなアイツの言い訳など、聞いてるだけ時間の無駄だったようだ。
「....それじぁ、アンタが破産する前にさっさと帰るよ」
「えっ、でもさっき帰れないって」
変な驚き顔でこちらを見てくる。こんな顔のライは珍しいな。.....面白い(笑)。
「“現状は”って言ったの。いい? 」
そういって、一冊の本を取り出す。なかなかの厚さで手に収まるのもやっとなほどだ。
「これは、勇者直筆の事典らしいの。で、これに日本についてのあれこれが書いてあったの。車の事もこれに。んで問題の私達が帰る方法も書いてあるの。」
「それは それは?」
「んと...これ見て」
事典の六ページあたりを開いて、見せてくる。
『来た時に使った装置に全国47都道府県に存在する、アイテムをインストールすると、エルメルにまた行けるぞ。』
「なんだこれ」
「それが私にも分かんなくて」
「待って、この装置ってこれの事?」
アクセサリーの様なソレは転送された時から手に持っていた。
『日本初心者の人(精霊も可)は後の11〜96ページを読んでね。はーと』
下のところに米印付きでそう書かれてあった。
「......さっきから気になってたけど」
「あぁ」
「「口調キモい(よ)な、勇者」」
いろいろと気になる所はあったが、私らは口調を選んだ。
「とりあえず、これにある通り行くしか無いのかな、この"全国47都道府県アイテム"を見つけに」
「そういう事ならお任せあれぴょん!」
事典からホログラムの様に少女が現れた。本から小さな全身が現れ、得意顔で腕を組む。
「「!? 誰?」」
「私はこの本の魔法で生まれた案内精霊ぴょん!ご主人様、知りたいことがあればユーシアと呼んで下さいぴょん...」
髪の毛をぴょんぴょんとさせながら、決めポーズをとった。
「ふぐっ」
「 「!?っ」」
そして突然、誰か殴られた様にユーシアと名乗る少女がのけぞり、その場にうずくまる。
..とりあえず本をすぐ隣にあった、中で何かが回りまくっている白い箱の上に置いてあげた。
「で、誰だよコイツ」
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