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ダリエの町は燃えているか!?



ベルグ将軍は急ぎ 駐屯地でもあるダリエの町に戻ってきたのだが・・・・

その時、町は大変なことになっていたのである。

このダリエの町は国境の町、川を超えると そこはレイア大公国の領土。


その川向こうに 高さ30mはあるだろうか!? 四本足を持つ巨大な鉄製の何か・・・

とにかく、その何かに大砲を括り付けた戦争用の兵器が出現しているのだ!!!

そして・・・その奇妙な兵器のまわりには 多くの重装甲兵士が布陣していた。

もちろん。我らの敵であるのは一目瞭然である。


いや! それよりも問題なのは!!!

上空に、あの山岳地帯で目撃した巨大飛空船が浮かんでおり その影がダリエの町を暗く覆っていた。


レイア大公国への侵攻ではなく、侵略される側になっている。

すでにフランリア王国軍4万の兵たちは、先日の戦いで士気が下がっており、どこまで士気が保てるのか不安である。 

町の住人もすでに恐慌状態となって 逃げだしていた。


なによりも あの巨大飛空船はまずい!

町を暗く覆うあの巨体!!

恐ろしいほどの威圧感!! まるで魔王だ!!

見るだけで味方兵士の士気をごっそりと持っていかれる。



俺だってこわいんだよ!!!

ベルグ将軍の本音である。

しかし、そんな恐れの顔などださず、ダリエの町を守る城壁へと登り 

遠眼鏡で敵の飛空船、四足の謎の兵器、そして重装甲兵士を眺め観察した。

重装甲兵士は 盾や刀剣類など 持ってはなさそうだが、妙な杖を持っている。

あれが武器なのか!? 遠眼鏡だけでは判別できないが・・・


はっきり分かるのは あの敵はレイア大公国ではない!! 我らの知らない第三勢力だ。

宰相が言いよどんでいたソフィアーナとかいう王女配下の戦力に違いない!!


とにかく 敵に動きがなく睨み合いの状態である。

「王都に伝令を走らせろ!! 敵は巨大飛空船に・・・ 巨大な攻城兵器を全面に押し出しダリエの町に攻め寄せてきたと・・」






----------------------------------------




副官アヤノのアドバイスと ノアねーさんの提言により、

フユル村に敵が押し寄せる前に 敵の根拠地となる町の占領 もしくは破壊をすることになった。


ソフィアーナは 同じ人間相手の戦争をしたくはないが 故郷を守るために艦隊司令長官として、

敵根拠地であるダリエの町への進撃を承諾したのである。



敵、フランリア王国軍には航空機的なものはないと思うが、とりあえず警戒しつつ陸戦降下艇スオウで制空権を確保。

フユル村の防衛に200名ほど陸戦隊をおいてきたので、現在800名ほどで国境の川まで来ている。

そして 陸戦降下艇の格納庫に一機だけ保管していた四足歩行90式戦車を地上に降下させ ダリエ攻略戦に引っ張り出したのであった。



四足歩行90式戦車。 全高30m 全長30m 両側面に二つの3連装砲を装備。 どんな地形でも踏破可能な無限歩行戦車。

その全高の高さから 敵のターゲットになりやすく、試作機が数機つくられて、お蔵入りになった・・・

・・・・すばりいって日本帝国の失敗兵器・珍兵器である!!!


いわゆるパンジャンドラム!

日本帝国のパンジャンドラムww

しかも! 見た目のインパクトも やっぱしパンジャンドラムしている。

性能はともかく 敵は四足歩行90式戦車を見ただけで動揺していた。



この四足歩行90式戦車の操縦席に座っているのが、ソフィアーナと副官アヤノ、

おまけに、ノアねーさん。   

そして、泣きつき袖をつかんで 無理やり入ってきた学士君。


こんな女だらけの女の園に、平気ではいれる学士君って・・・

・・・・かなり精神的に強いというか、本人には男性であるという認識がない可能性がある。


全面ガラス張りで 高度30mの高さから見晴らしのいい景色を見れる操縦席。

しかも操縦席とはいえ、大きいテーブルが置かれ、ちょっとしたラウンジになっている。


副官を含めて、4人はテーブルを囲って椅子に座り、お気楽にケーキなどを食べている。

「なに!? これ!? こんな食べ物があるなんて!!  おいしい! 領主館でも、こんなおいしいものは だされなかったよ!!」

「そうでしょ!! うちも初めて食べた時は驚いたよ!!」


「お・・・おいしい!!」

無口な学士君でさえ・・・声をだしてしまう美味しさ!!


そして おもっきりドヤ顔をする副官アヤノ・・・・もはやドヤ顔になるようにプログラムされているのか!?このヒューマノイドは!!

お気楽に楽しむ4人!! 戦場が目の前とは思えない状態である。





ただし ダリエの町では住民たちを含め、不安と恐怖に襲われ始めていた。

王都方面に向かって 家財道具や荷物を満載した荷馬車が見られる。

徐々にだが・・・町から逃げだす住民が増え始めていた。


そして、多数ではないが 何人かの兵士は装備を放棄し、民間人の姿となって逃亡を始めている。

すでに3000名の兵士が行方不明となっていた。


そんな日々が三日ほど続いた後、やっと動きがあったのである。


四足歩行90式戦車の側面に備えている3連装砲が稼働をはじめ、ダリエの城壁をターゲットとしてとらえた。

そして、ダリエの町の住民にも聞こえるように 大音声が鳴り響く。


『 うちはソフィアーナ艦隊司令長官である。無法に国境を越えた報復により、ダリエの町を破壊する。

全てを焼き尽くす! だが 安心したまえ 侵略する気もないし占領する気もない!

ただ破壊するだけだ! 三日後に破壊活動をおこなう  それまでに全住民は退去せよ。

退去しなければ 廃棄物として処理する! 』


この放送を聞いたベルグ将軍は息をのむ。   

「破壊だと!!!」



『 うちの破壊行為宣言を信じられない者もいるだろう! ならば! 面白いデモンストレーションを見せてやることにする。

2時間後 町の城壁を破壊する!   城壁上の兵士たちは 全て退去せよ!

安全のため城壁付近の住民も後方へ下がれ』

 


その放送を聞くや すぐに城壁上の兵士たちは、持ち場を勝手に離れ逃げ出した。

もはや ベルグ将軍を気にするものもおらず、一目散に逃げ出した。

ここまで士気が低下し 敵に対して恐れおののいていたことを ベルグ将軍は知ったのである。


我先へと逃げる兵士を見て、つられて逃げだす住民。

この段階で もうすでにダリエの町全体が 恐怖と恐慌に陥り、王都方面へ逃げ出す人たちで街道は渋滞をおこしていた。


その様子を四足歩行90式戦車の操縦室から眺めるソフィアーナ。

「住民が逃げ出してくれると 派手に砲撃しても 人が死ぬことはないよね!!」

安堵するソフィアーナだった。



それから しばらくたったころ・・・

ダリエの町は静かになっていた。

城壁の上に立つ兵士はいない。

住民もほとんどいないようである。


そんな、閑散としているダリエの城門がゆっくり開き、一人の人物が国境に掛かる石橋を渡ってきた。

なにか旗を振っているようだ。


「あら あの男! 降伏するようだね! 兵士に逃げられ 町を破壊されそうになったためかしら!?」

ノアねーさんは ガラス張りの操縦席から眼下を見下ろすのであった。


-------------------------------------------------------------------


旗を振る男。

すなわち降伏したベルグ将軍は 陸戦隊の兵士たちに武装解除されて、

四足歩行90式戦車の操縦室に連れてこられた。

いまは 鎧をきておらず ラフな格好をしているベルグ将軍。  

その後方には 念のため陸戦隊の兵士が見張りについている。


「お初にお目にかかります  うちが艦隊司令のソフィアーナです」


「お・・おれはベルグ 侵攻軍司令官だった者だ。 こうなっては仕方がない!! 降伏をする。

フランリア王国との交渉の際、俺のような人物が必要だろうと思ってな!!」


「なるほどね! ケーキでも食べて ゆっくりとお話しを聞きましょうか」

副官のアヤノが ベルグ将軍の前にケーキセットが並べられた。


「これは われら艦隊の御自慢のケーキです」


「ソフィア―ナ殿は艦隊司令だそうですけど ここは陸の真ん中!? 船はどうなさっているのですか!? 」

するとソフィア―ナの指が 天井を指した。

ベルグ将軍は上を見上げたがよく分からない。


「うちらの艦隊は 星の海をわたる艦隊です」


「?????」

ベルグ将軍にはさっぱり分からなかった!? 星の海ってなんだ?!


「分かりやすく言えば空を飛ぶ艦隊です」


「・・・・・・って!?」


そこに ヒューマノイドなのに鼻高々と副官のアヤノが言い放つ。


「われらソフィア―ナ艦隊は100隻に及ぶ大艦隊。 そして、その艦艇の大きさは全長3000km

この宇宙を破滅を招く機械生命体を滅ぼし 世界を救う救世主なのです! 」


「ますます分からないのだが・・・」

ベルグ将軍には奇想天外すぎたのだ。


そこへ仕方がなさそうに ノアねーさんが説明する。

「ソフィは・・・ フランリア王国の前国王の御息女。世が世ならば女王だった人物。

現国王が まだ赤子だったソフィを毒殺しようとした。  

それに気付いた前国王の側近だった騎士が 

追手から傷を負わされながらも 赤子のソフィを抱え、私のところまで逃げ込んできた」


「え!!!」

ベルグ将軍は 自分でも理解できる話が出てきたので安心・・・できない!

なんて情報を教えてきたのだ! こんな話を聞いてしまったら・・・

捕虜だから かまはないか!! いや・・・国に帰ったときにまずい!!



思わず うちも驚いた。

うちが女王!?


学士君の顔を覗くと 同じく驚いていた!!


「ソフィア―ナ様!! いまさら あのような小国の女王だからと驚いてはいけません

あんな小国の大地を2,3個 そのまま収容できる大型戦列艦を20隻を従えているのですよ!!

 この星の支配者にだってなれるのです!!」


怖いことを言い出す副官のアヤノ!


「え! ソフィが本気になったら世界征服ができるの!?」


「もちろんです!! こんな星を片手間に征服できないようでは、世界を滅亡させる機械生命体なんて 相手もできません」


「それは おもしろい!! こんなダリエの町で睨み合いよりも すぐに王都のアルトルを焼野原にして、

ソフィを女王にしましょう!」


「それは・・・・すばらしい提案です。 副官としてソフィア―ナ様に王都の征服を進言します!!」


なにやら ノアねーさんと 副官アヤノが意気投合して なにやら怖いことを話だした。

ベルグ将軍も唖然としている。

学士君は無言でニコニコとした顔になってきた。  この学士君は王都征服賛成派だな!!


「我が敵は王都アルトルにあり!!」

副官アヤノの片手を上げた気勢にもりあがる! ヒューマノイドだけど限りなく人間だよね! このロボットは・・・

すると、ノアねーさんも片手を上げた。

めずらしく・・・学士君も片手をあげて吠えた。  

「きゃほ~」

学士君も声をあげるんだ!! ちょっと感動するうち


そして、おまけに操縦室にいた陸戦隊の人たちも片手をあげて気勢をあげる。

・・・・・これは 数の暴力か!! うちの決断は・・・


・・・・・なんとなく片手を上げた!!


「ソフィア―ナ様が片手をあげて勝利宣言をした! 王都アルトルへの進撃開始!!」

副官アヤノの号令で 行動は開始されたのであった。


このノリだけの雰囲気であっさり王都に進撃を決断した光景に なんともいえない表情のベルグ将軍。

「ベルグ殿には王都に到着した際、 フランリア王国の使者として出向いてもらいましょうか!!」


ノアねーさんは すばらしい笑顔でベルグ将軍に話すのである。

「・・・・・・・」



その後、ダリエの町への攻撃は中止されたので わずかに残っている住民は攻撃停止の宣言に安堵するのであった。


そして ソフィア―ナ軍(仮名)は・・・

地上で展開されている四足歩行90式戦車および陸戦隊800人を陸戦降下艇スオウに回収した。

次なる目的地は王都アルトル。

陸戦降下艇スオウは雲の彼方へと 去っていったのであった。





--------------------  To Be Continued 我が敵は王都アルトルにあり!!



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