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日本でも有数の資産家である古賀家。

その古賀家に代々仕える家系がある。

それが笠原家だ。

当主を影から守り、時には広報の役目も担う、古賀家にとっては切り離す事のできない一族である。

古くは、江戸末期、笠原家の先祖が古賀の先祖に受けた一宿一飯の恩、そこから始まったと言われている。

用心棒として勝手に古賀の当主に従ったとか・・・。

「先祖は、古賀の若様の人柄に大層魅力を感じたようで、古賀の当主にしてみれば、他愛もない施しだったと思われますが、彼にとっては生死を分けるものだったのでございましょう。以来我が笠原家は古賀家から離れてはおりません。」

ある日ふと尋ねた若様、古賀雷紋に利家は答えた。

彼はこの若き次期当主をとても大切に思っている。

「古賀の家から、離れたいと思った者だっていただろう?」

優雅な身のこなしで紅茶をカップに注ぐ。

「左様でございますね、以前には、雷紋さまの仰られるようにその主従関係がイヤで、古賀家を離れようとした者もいたと聞き及んでおりますが、その者は不幸な死を遂げたとか。」

先祖の話を語るときの利家は嬉しそうだった。


笠原利家は、古賀家の執事だ。


彼の朝は、日の出よりも早くに始まる。

「利家さま、おはようございます。」

彼の妻である羽鳥は、彼よりも早く目を覚まし、窓を開け空気を入れ替え、朝食の用意をする。

夫である利家が、和食派であることから、いつも用意しているのは素朴な家庭料理で、利家は妻の作った食事を黙々と食べる。

妻の羽鳥は古賀家の家政婦長だ。

笠原家の朝食を作り、利家が食事をし始めるのを確認すると併設する古賀の邸宅に食事を作りに行くのだ。

とある屋敷でメイドとして働いていた羽鳥は、客として訪れた古賀彩紋と利家に初めて会った。

他のメイドや家のものは、見目麗しい彩紋に目を奪われていたが、羽鳥は利家の方に一目ぼれをしてしまった。

古賀彩紋の滞在中に何としても利家に近付きたいと思った羽鳥は、あの手この手で利家の印象に残ろうと頑張り、別れの際にプロポーズしたのだった。

両家の主人達を含め、皆が硬直した。

その中で利家だけが平然としていたが、彩紋は面白がった。

「面白い人だね、」

まだ、高校生の彩紋は相手の主人に耳打ちをした。

その後、羽鳥の家の事情と彼女が学業も平行して働きたいと思ったこと、古賀の家で家政婦を探しているとの話が合い、その条件を確認した上で彼女は面接を受けた。

その面接には、古賀家の次期党首である彩紋と笠原家一同がそろっていた。

「働きながら、学業にもこなしたいそうですね。」

利家の父であろう人からの質問に答えて行く。

「羽鳥は、面白い人だから、採用してみたら?」

彩紋の一声。

かくして、羽鳥は古賀家へとやってきたのだった。

「利家は、家に尽くす事ばかりできっとお嫁さんなんて欲しいとは思うやつじゃないからね。父上とも話していたんだ。利家にプロポーズしてくれる娘さんはいないかなって。」

彼女を雇った事に対して意見してきた利家に彩紋とその父親である現当主古賀亜紋はにこやかに言った。




つづく



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