第十九話 帝国スパイ
「あ、すみません。こっちです。」と言う声が聞こえ、その声がしたほうを見てみると、ファイン先生の隣に先程までいなかった人が現れた。僕たちが言葉を失っていると、向こうの人に、
「えっと、透明化の魔法を使っていたもので。」と言われ、僕たちは納得した。
「私は、カレン·ダングラー。政府の防諜機関のトップをやっています。よろしくお願いします。今回あなた達にやってもらいたい仕事は、相当気密性が高い仕事です。」
「質問いいですか?」といきなりラエフが言った。僕はこんな重要な話を遮ってしまったことで、何を言われるかとビクビクしていたが、
「はい。大丈夫ですよ。」とカレンさんは優しく返してくれた。ラエフは、
「そんな重要な話をするのに、こんな鍵もまともにかからない部屋でいいんですか?」と言った。それに対しカレンさんは、
「そこのところどうなんですか、ファイン先生?」とファイン先生に聞き返した。ファイン先生は、
「確かに、君達にとっては、鍵がかけられない、欠陥があるドアかもしれない。けど、このドアは、魔力に反応して、明け閉めできるスタイルのドアだから、職員室に置いてある魔石を練り込んだ紙で挟まないと開け閉め出来ないんだよね。気密性の方は、カレンさんの魔法のおかげで何とかなっている。」とそこまでファイン先生が言った時、そのままの勢いで、カレンさんが話し始めた。
「気密性を上げる方法としては、あんまりお勧めではないんですけどね。まあ、機能としては十分ですから。」とそこまで言ってカレンさんは、一回水を飲んでから、続きを話し始めた。
「君達には、ファーラー帝国のことを知っているね。」
「はい。僕は、一回ファーラー帝国に拉致されました。」とラエフが言った。
「そうか。そうだったのか。」とカレンさんが言った。それに対しファイン先生が、
「丁度、今日拉致されたんです。」
「え、訓練とかじゃなくガチで?」
「はい。ただ、帝国政府内部に動きはなかったとの報告が来ているので、帝国の1部隊くらいが少し暴走したのかもしれないですけれどね。」
「大事にならなくてよかったです。」
「本当にそうなんですよね。後もう少し被害者が出ていたら、王国政府が帝国政府に宣戦布告をして、また新たな戦争になるところでしたよ。」とファイン先生とカレンさんがやりとりしているのを邪魔してはならないと思い、黙って待っていると、5分ほど経った頃、僕らがいたことを思い出したのか、
「ごめん。待たせたね。」とファイン先生が言って、カレンさんが話し始めた。
「それで君達に依頼したいのは、帝国のスパイが各街に10人程潜んでいるようなのだ。その人達を見つける為に、君達には協力を要請する。もちろん、移動費、宿の予約、宿代などは政府から出す。だが、食費とかまでは、予算がおりなかった。なので、君達には、表向きは、政府からの依頼で依頼をこなしに街に来た。として、帝国スパイの情報を集めていってほしい。受けてくれるか?」と聞かれ、僕らが悩んでいるとファイン先生が、
「もちろん、学校からも少しは食費を出したりはする。後、君達がこの『バーゼルト軍事学校』の生徒だ。という事は、言って構わない。ただ、それで何かに巻き込まれる可能性も高いから、注意だけどね。」と言い、それから一息置いて、
「本当は、私もついていきたいんだけどね。このカレンがね。付いて行っちゃダメっていうんだよ。酷くない?」と言われ、愛想笑いをしているとカレンさんが、
「当たり前でしょ。『光雷の騎士』が街に来たってなったら帝国スパイ、透明化で隠れちゃうよ。実際、このライエルトの街でも、そうだったんだから。」




