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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
97/300

No.97 Side ユウ・テルジーナ①

この村に来てから、早10日。

村も日に日に活気を取り戻しつつあり、皆の顔にも笑顔が増えた。

なーんつって、他所もんのあたしが偉そうに言えたこっちゃねーんだけどさ。


レンとスー、元気でやってるかな?

いや、元の世界に戻るんだから、別に普通か。


「ユウちゃん、こんにちは」


「あ、ロジさん、こんにちは」


「どうだい、この家の住み心地は?」


「なんかすんません、わざわざこんな立派な家を貸してもらっちゃって…」


「ははは、誰も使ってない空家だったし、こうやって使ってもらえる人が居て良かったよ」


「あの…家を失った村の人は、この家を使ったりしないんですか?」


「いやね、村の皆が是非、ユウちゃんにこの家を使って欲しいって言うんだ。この村に来てから、村の為に色々してくれてるだろ?」


「そ、それはその…レンの奴との約束だし、別に…」


「皆、君に感謝してるんだよ」


「はぁ…」


うぅ…いつまで経っても人に褒められたり、感謝されたりすんのは慣れねぇ。


「じゃあ何かあったら、いつでも声かけてくれよ」


「あ、はい、どうも…」


そう言って、ロジさんは出て行った。


「何かあったらか…」


家を貸してくれたのスゴく有難いんだけど、ぶっちゃけ遠いんだよな…。

正直、あたしは村の端っこ辺りに、適当に木材並べて、雨をしのげりゃそれで十分だったんだけどな。

結局、そんなの申し訳ないって言われて阻止されちまったし…。


「っと…」


なんだか最近、たまにふらつくなぁ…。

寝不足かなぁ。

いや、でもレンの約束があるし、頑張って村を守らねぇと…。

バテてる場合じゃねーな。


すると、外から突然物凄い音が聞こえた。


「な、な、なんだ今の音は!」


物音に弱いあたしは、不意にあたしの耳をつんざく爆音に思わず怯んでしまった。

慌てて、外に出るとそこには、気を失って倒れているレンの姿があった。


「えぇぇぇぇぇぇぇ!? なんでこんな所にレンが倒れてるんだ!?」


…と、驚くのは後だ。

どうやらあちこち怪我をしているっぽい。

すると、再びロジさんが現れた。


「ユウちゃん、理由はよく分からないが、突然リンタロウとシュン君が道端に倒れた状態で見つかって…って、そこに倒れているのは、レント君か!?」


「ロジさん、レン達が次にこっちに来るのって、次の新月の日じゃなかったんすか!? なんか様子もおかしいし…」


「何やらトラブルに巻き込まれた様だね! とりあえず、レント君を家に運ぶんだ!」


「あ、はい!」


あたしとロジさんとでレンを抱えて、なんとか家のベッドに運んだ。


「見たところ、致命傷ではないが、身体の至る所に怪我をしているみたいだ…」


「敵にでも襲われたのか…?」


「いや、分からない…。とりあえず、命に別状は無さそうだが、流石に私の家まで運ぶのは厳しいから、一先ずここで安静にさせておこう。ユウちゃん、頼めるか?」


「わ、分かった!」


「じゃあ私はリンタロウとシュンの様子を見に行ってくるよ」


そう言って、ロジさんは再び出ていった。

それにしても、まさかこんなに早くレンと再会する事になるとはなぁ…。

大体なんでスーは一緒じゃねんだ?

一体全体何があったんだろう…。


あたしは簡単な手当てをレンに施した。

要心棒時代に、簡単な手当ての手解きを受けていたお陰で、動作も無い事だった。


「ふぅ…とりあえずはこんなもんか…」


しかし、レンて見かけによらず、結構引き締まった良い身体してんだな…。


「いやいや、あたしは何考えてんだ!バカじゃないのか!」


一旦冷静になって、再びベッドに横たわるレンをまじまじと眺めていた。

改めて見ると、レンって結構色白だよな…。

あんまり外とか出ねぇのかな?

というか、普段レンは何してんだろう。

でもこうして見ると、レンの顔って色白も相まって、結構整った顔してるし、美形かも…


「だーかーらー!! あたしはさっきから何考えてるんだ!! どうしたあたし! 何があった、あたし! さっきからレンの事ばっかり見てて、変態か!!」


意識すんじゃない、ここで寝てんのはじゃがいもだと思え!

じゃがいもが寝てると思え!

いや、じゃがいもが寝てるってなんだ?

違う、余計な事考えんじゃねー!


「うぅ…」


あたしが自分自身と戦っている間に、レンが意識を取り戻したのか、微かに声が聞こえた。


「おい、レン! しっかりしろ!」


「ユウ…さん…?」


レンはゆっくりと瞼を開き、目を覚ました。


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