No.92 意図せぬ来村
ん…
ここは…?
あれ、俺、どうしたんだっけ…?
昼間、4人で出掛けて…帰ってきた後、スーナに見送られて、神社に向かって…。
神社に行ったら、じいちゃんと駿が居て…。
それから…。
そうだ、得体の知れない空間が現れて…それから…。
ようやく俺は自分が今おかれている状況を理解した。
目を開いて辺りを見回すと、まるでプラネタリウムの中にいるかの様な空間が広がっていた。
いや、プラネタリウムと言うにはあまりにも歪だった。
どういう原理か知らないが、何処かの店の看板や廃車、電柱、建物の一部、標識に何やら外国の文字で書かれたラベルがしてあるビン等、ホントに色々な物が宙に舞っていた。
そして、俺自身も同様だった。
「うわっ!」
目の前を人の頭蓋骨らしき物が横切った。
かつて同じ様にここに迷いこんだ人のモノだろうか?
もしかしたら、自分もやがて同じ運命を辿るのでは無いだろうかという恐怖感に襲われた。
「じいちゃんと駿はどこだ…?」
辺りを見渡してもそれらしき人影は無かった。
すると、突然何かに引き寄せられるかの如く、体が急に引っ張られた。
「な、なんだ、何かに吸い込まれて…!」
吸い込まれている先を見てみると、何やら微かに光が差していた。
「あれは…出口…? それとも…」
そんなこ事を考えている内にみるみる俺は光の方へ引き寄せられていき、再び俺は気を失った。
ん…
あれ…?
俺、また気を失ってた…?
さっきは妙な空間の中で、光の差す方へ引き寄せられてって…それから…。
あれ、さっきから誰かの声が聞こえる…。
「おい、レン! しっかりしろ!」
俺の事をレンと呼ぶのは、一人しかいない。
「ユウ…さん…?」
ゆっくりと目を開くと、心配そうな顔をして俺を見ているユウさんが居た。
「良かった、目を覚ました…」
ユウさんは俺が意識を取り戻した事に安堵した表情を見せた。
「ここは…?」
「安心しろ、あたしの家だ」
「あれ、ユウさんの家ってワガマタにあるゴミ小屋みたいな奴じゃ…」
「オイコラ、起きて早々人の家をゴミ小屋呼ばわりするんじゃねぇ。まぁ正確にはイクタ村にあった空き家を借りてるだけなんだけどな」
「じゃあ…やっぱりここはイクタ村…。目の前にいるユウさんも幻覚じゃなく、本物なんですね…」
「お前、介抱してもらった恩人に対する言葉がことごとく酷いな! 終いにゃああたしだって泣くぞ!」
「冗談ですよ。なんか助けていただいてありがとうございます。所で、俺ってどうやってここに…」
「いや、そんなのこっちが知りてぇ位だよ。なんか物凄い音が聞こえたから、家を出てみたら、お前ら3人が倒れてたから…」
「3人…そうだ、じいちゃんと駿は!?」
俺は起き上がろうとしたが、身体中に痛みが走り、そのままベッドに突っ伏してしまった。
「無茶すんな、もう少し大人しくしてろ。それに二人なら村長さん達が手当してるし、レンより先に目を覚ましてる」
「そっか…なら良かった…」
俺は安堵して、またベッドに横になった。
「しっかし、またなんで急にこっちに来たりなんかしたんだ? 第一、まだ新月までは半月以上あるぜ?」
「いや…俺にもよく分からないんだけど…」
とりあえず、自分が今知っている範囲で、自分の身に起きた出来事を話した。
「成る程なぁ…じゃあなんだ、村から復興用の木材が急に消えたり、なんか得体の知れない積み荷みてぇなのが、村の真ん中に現れたのもそれが原因だってのか?」
「やっぱりこっちでも何か起きてたんですか!?」
やはりそうだ…あの木材はイクタ村にあったモノがさっき見た空間を伝って、俺達の世界に漂着したんだ。
そして、ユウさんが言っている得体の知れない積み荷って言うのは、突然消えたトラックの積み荷の事で、間違い無いだろう。
「結構な騒ぎになってさ。何か良くねぇ事の予兆じゃねぇかとか、また轟狐が襲ってくるんじゃねぇかとか…。まさか、レン達の世界と関係があったとは…な…」
「ん? ユウさん?」
俺が声をかける間もなく、ユウさんはそのまま床に倒れてしまった。




