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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
89/300

No.89 優しい青色

もしかして周りの誰かに見られていないかと、急に俺は心配になり、辺りを見回した。


「レン君、どうしたの急にそわそわして?」


「いや、全然? いつも通りの俺だけど?」


「ふふふ、変なパパだね♪」


「へんー! パパへんー!」


何故か俺は3人からディスられてしまったが、なんとか目的の洋服屋に到着した。

ここは昔から俺や夏美の服を買うのに御用達にしていた店だ。


「ここなにー?」


「洋服屋さん。二人の服を買うの」


「ようふく…?」


「キロとテンが今着てるのが洋服。今、二人のサイズに合うのがそれしかないから、新しいのをここで買うの」


「ふーん…」


反応を見る限り、余り分かって無さそうだった。

店の中に入り、とりあえず子供服のエリアに行った。

しかし…当然の事ながら子供服など全く詳しく無いので、善し悪しが全く判断がつかなかった。


「子供服って言ってもこんなに沢山種類があんのか…」


「何か迷っちゃうね」


「とりあえず、二人の採寸だけ取ってもらおうか」


店員さんを呼び、二人の採寸を取ってもらった。

二人とも4~5歳の一般的なサイズだった。

するとスーナが突然俺を引っ張った。


「ちょ、ちょ、スーナどうした?」


「レン君、これなんかどうかな!?」


スーナが興奮しながら指差す先には、キツネの着ぐるみの様な可愛らしい服が丁度二つあった。

商品棚には「動物なりきりシリーズ」と書いてあり、他にも犬やら猫やら羊やらが置いてあった。


「へぇー、面白いね。ちょっと派手な気もするけど、まぁ良いか」


「じゃあ早速試着させてみようよ♪」


俺達は二人を試着室にぶちこみ、例のキツネ服を着せてみた。

想像以上に似合っており、見ているこっちが癒されてしまう程だった。


「スゴい可愛い♪ これにしようよ!」


「じゃあこれで決まりだね」


正直、キロ達よりも俺達の方が盛り上がっており、肝心の二人は終始キョトンとしていた。


「後は、スーナの洋服かな。ホントに俺が選んで良いの?」


「うん、レン君にお任せします♪」


「じゃあ…任されました」


とは言ったものの、当然今まで女の子の服を選んだ事など一度も無いし、ましてや流行なんて知らない。

店員さんにオススメの服を聞くべきか…。

いやでも、それじゃあ俺が選んだって言えないよな…。


ぶつぶつと自問自答をしながら、物色をしていると、とある1着の服が目に入った。


「これだ…! これならスーナにきっと似合う!」


今だかつてない程にビビっときた俺は、すぐにそれを手に取り、スーナの元に行った。


「これ…これ、試着してみて!」


「す、スゴい勢いだね、レン君。じゃあ今から試着するね!」


そう言って、スーナは試着室に入った。


「ママ、どうしたの?」


「ママはね、今からお着替えするの。さっき二人もやっただろ?」


「おきがえー! ぼくたちもいっしょにおきがえするー!」


「いや、二人はもう必要ないだろ? ここでママが着替え終わるのを待ってるよ」


「いっしょにおきがえするー!」


「あー、分かったよ、じゃあさっきのキツネの洋服に着替えておいで」


「やったー! ママー、いっしょにおきがえしよー」


「ちょ、ちょっとキロ君、いま私着替えてるから急に開けちゃダメだよー」


はい、割りとガッツリと見えてしまった。


しばらく俺はぼーっとしていると、ようやく3人が試着室から出てきた。


「どう…かな? 似合ってる…?」


スーナは俺が選んだ淡い青色のワンピースを身に纏っており、衝撃的に似合っていた。


「うん、すごく似合ってる!」


「パパー、ぼくたちはー?」


「二人もすごく似合ってるよ」


「わーい、ママー、にあってるって!」


「二人とも良かったね♪ じゃあ今度は3人でレン君の服を選んであげる!」


「え、いや、俺は別にいいよ…」


「ダメ~、パパのもえらぶのー!」


「ははは…」


俺ら4人のやり取りが、周りに居た他のお客をホッコリさせていたのは、また別の話である。

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