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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
4章 ふたりの冒険生活
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No.66 来訪者

「はっ…? なんだよ母さんって…?」


この写真に写っている女性…。間違いない、家に一枚だけある写真に写ってる母さんの顔を同じだ…。

じゃあこの写真に写っている女性は若い頃の母さん…?


「おい、蓮人、聞いてんのかよ!」


「駿…。この写真に写ってる若い女性って…」


「女性? あぁ、さっき言ってたロジさんの娘さんだよ。…え、ちょっと待て、つまり…」


「村長さんの娘は…俺の母さん…」


「い、いや、待てよ蓮人! 他人の空似って事だってあるだろ? まだそうと決まった訳じゃ…」


「いや、俺は父さんに小さい頃から何度も母さんの写真を見せられてきた。間違えるハズがない。あれは母さんだ…」


「え、てことはつまり…ロジさんは蓮人のお、おじいちゃん!?」


「まぁ…そういう事になるな。ビナは俺の従妹になるって事か」


「おい、なんでそこでビナちゃんの名前出した? わざとか? わざとかコノヤロー」


「なんでお前がそんなにムキになるんだよ? というか駿はビナと会った事あんのか?」


「あ、いや、別になんでもないよ!」


「あ、そう…。とりあえず、話は済んだし、とっととスーナの家に戻ろうぜ」


「いや、まだだ。もっと大事な事をお前と話さなきゃならない…」


「もっと大事な話…?」


もっと大事な話とはなんだろうか…。

まさか、写真の件よりも重大な事実でも発覚したのか?


「蓮斗…お前と一緒にいたちょっとワイルド系の可愛い女の子は誰だ?」


「…はい?」


「はいじゃねぇよ! 答えろよ! あの子はなんなんだよ!」


「何って…さっきも散々話したろ? 俺達の旅に一緒に来てくれる事になった人だって」


「だから、それが意味わかんねぇんだって! 何がどうなったら、あんな可愛い女の子が旅についてきてくれんだよ! 蓮斗、お前どんな手を使ったんだ!?」


「いや、お前、スッゴい人聞きが悪いな! まるで俺が騙して連れてきたみたいじゃねぇか!」


とは言え、プリンにつられて旅の仲間に加わった感は否めないので、全くの嘘では無いけど…。


「良いなぁ! 俺もあんな可愛い女の子と一緒にキャッキャ、ウフフしてみてぇよ!」


「知るかよ! そんなに気になるならユウさんに話しかけりゃ良いじゃねぇかよ」


「いや、それは…大丈夫だ」


「お前、さっきからホントになんなんだよ! 何言ってんのかさっぱり分からないんだけど!」


「要するに…羨ましいです」


「何が大事な話だ、中身空っぽ過ぎんだろ! ほら、とっととスーナの家に戻るぞ!」


俺達は村長宅をあとにし、スーナの家に帰った。


「あ、レン君おかえりなさい♪ シュン君と何話してたの?」


「あぁ、駿が相変わらずバカだって話」


「ちょっと待て、いくらなんでも酷すぎるだろ!」


「あれ、じいちゃんは?」


「もうすぐ元の世界に戻るから、村の復興の引継ぎ作業をするって」


「そっか。じゃあ俺は少し休むかなぁ」


そのまま俺は椅子に腰かけて、リラックスしているとスーナが近付いてきた。


「レン君…今回は私の我儘に付き合ってくれて、ホントにありがとう! とても心強かったよ!」


「あんまり大した事してないけどな。何にしてもスーナが無事ならそれで良いよ」


「私だけじゃなくて、レン君も無事じゃなきゃダメだよ~」


「じゃあ二人が無事ならそれで十分だ。あと、勿論ユウさんも」


「とってつけた様に言いやがったな、お前。大体怪我が恐くて用心棒が出来るかってんだ」


「そんな事ないですよ。ユウさんが傷付くなんて嫌に決まってんじゃないですか」


「え、あ…うん、まぁ…傷付かないに越した事ぁねぇけど」


ユウさんは急にしおらしくなって黙ってしまった。


「あーもう、なにさなにさ、蓮斗ばっかり! 俺なんかずっと爺さんの相手させられてたんだぜ? この差はなんだよ~」


「なんだよ急に荒みだして…」


「そりゃ荒みもすんだろ! 察してくれよう!」


「な、なぁレン、さっきからこの野郎は何を訳の分からない事ばかり言ってんだ?」


「訳分からない事あるかぁ! これはいわば魂の叫びなんすよ! 叫ばずにはいられないんすよ!」


「いや、お前の魂、そんなしょうもない愚痴まみれなの?」


「叫ばせてくれよ! じゃなきゃやってらんないんだよ! あー、なんか泣けてきた…」


やばい、駿の何かが壊れてる。どうしよう…。

すると、スーナの家のドアが開いて、ビナが顔を出した。


「こんばんは~」


「ビ、ビナちゃん!?」


「あ、シュンさんいた! なんだかお爺ちゃんが呼んでたから、私が呼びに来ました♪」


「OKOK、ロジさんと君の頼みとあらば僕はどこへでも付いてい行く覚悟があるよ。さぁビナちゃん、お爺ちゃんの元に行こうか」


キザなのかどうかもよく分からない台詞を言いながら、駿とビナは家を出ていった。


「ビナちゃんとシュン君って仲良いんだね♪」


「駿が一方的に好いてるだけな気がするけどな」


それにしても何の用で村長さんに呼ばれたんだろう?

すると、再び玄関のドアが開き、じいちゃんが家に入ってきた。


「蓮斗、ロジの野郎には顔出したか?」


「うん、さっき行ってきたよ」


「そうか、なら良い」


「じいちゃんこそ作業の引継ぎとかは終わったのかよ?」


「ったりめーだろ。これからロジん所に行って酒飲んでくらぁ」


あれ、確か今村長の所に駿が…。

…駿、御愁傷様。


「じゃあ俺は行ってくるからよ! なんかあったら言えや」


「了解~」


そう言って、じいちゃんはとっとと家を出ていった。


「全く飲んでばっかいんな、あのじいさんは…」


「多分、村長さんと飲むのが楽しくて仕方ないんじゃないかな?」


「いやいや、村長さんからしたら、エライ迷惑だろ」


「大丈夫だよ、村長さんはみんなでワイワイするの好きだし♪」


「そっか、なら良いんだけど…」


家の玄関の方から、再び扉が開く音が聞こえた。


「さっきから人の出入りが多いな…。今度は誰だ?」


すると、ユウさんがドアの方を見て、動揺した顔を見せた。


「アルフ…か…?」

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