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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
4章 ふたりの冒険生活
52/300

No.52 クビ

「な、なんだよ、突然大声なんか出して! ビックリすんだろ!」


まさか俺達が探していた用心棒の女が、プリンで家出して、プリンで借金して追われてるプリン娘だったとは…。


「じゃああなたが、ミタの町長さんの姪の『ユウ』さん…?」


「だからそうだっつってんだろ。 しっかしあたしに何の用だよ…? まさか、あたしにイヤらしい事をするのが目的で…」


「おい、黙れ脳みそプリン女、川に突き落としてやろうか?」


「じょ、冗談だって! ったく洒落の通じねぇにーちゃんだな!」


「でも良かったね、レン君、探してた人が見つかって♪」


「うーん、良かった様な…できればプリン女であって欲しくなかった様な…」


「お前、どんだけあたしに対する印象良くねーんだよ! いよいよ、あたしだって傷付くぞ!」


「冗談ですよ、冗談」


「いーや、お前のは冗談じゃないね! 絶対思ってた事言ってたね! ちくしょー覚えてやがれ!」


ギャーギャー騒いで、周りの注目を集めつつ、目的の岸になんとか辿り着いた。

成る程、目立つってのはこういう事か。


「さぁて、着いたぜ! …っつっても、にーちゃん達の探し人があたしなんだっけ? 既に目的って訳だけど、どうするんだい?」


「そうだな…まぁ立ち話もなんだし、どこか店かなんかに入ってゆっくり聞きたいかな…」


「だったら、あたしの家に来るかい? そこだったら気兼ねなく話せるだろ!」


「え、良いんですか、突然お邪魔して…」


「なーに急に畏まってやがんだよ、ついさっきまであんな酷ぇー態度取っといてよ!」


「すみません、あれは…その…つい…思ってる事を言ってしまって…」


「いや、にーちゃん、なんか申し訳無さそうに言ってっけど、全然釈明になってねーからな! 要は正直に悪口言いましたって事じゃねーかよ!」


何はともあれ、俺達はプリンむす…もといユウさんの家に行く事になった。


「ちなみにユウさんってどんな感じの家に住んでるんですか?」


「まぁそんなに大した家じゃねーよ。あんまり期待すんじゃねーよ」


「まぁハナから期待はしてないですけど…。っていうか、追われてる身なのに定住なんてしてる余裕あるんですか?」


「いやぁ、あたしの家は移動式だからさぁ、いざっつー時は家ごとトンズラしちまえば良い話だ」


「トンズラって…」


移動式ってのは、スーナと俺がいつも泊まるのに使ってる家の事かな…?

でも、あれって町中でも使って良いのかな…?

歩いて行くと、どんどん路地裏の方へ入って行った。


「なんか…随分路地裏の方へ入って行きますね…。こんな所にホントに家なんて…」


「ばっきゃ野郎、路地裏は絶好の場所だろーが!」


「絶好の場所…?」


なにやら不安を煽る言葉を口にしたかと思うと、突然プリン娘が立ち止まった。


「さぁ、着いたぜ! ようこそ我が家へ!」


そう言って、指を差した先には木の棒に布が掛かった様な…古びたテントの様な小汚い物体があった。


「えっと…何すかコレ」


「何って、だからあたしの家だっつってんだろ!! いいだろ? あたしの手作りなんだぜ!」


「いや、それは見りゃ分かる。だって、犬小屋だってもっとマシな作りしてるもん」


「何が良いって、借金取りが追って来た時に、持って逃げれるって所なんだよな~!」


「うん、そりゃそうだよね。だって、無いも同然だもん」


「なんだよ、あたしの家に文句でもあるってのかよ!」


「いや、だって人を出迎える家じゃないもん。だったら立ち話の方がずっとマシだもん」


「分かってねぇな、家っつうのは見た目じゃねぇんだよ! 住めば都っつーだろ!」


「いや、あんたにとっては都でも、俺らから見たらガラクタ同然だもん。つーか借金の優先順位おかしくないですか? 家借りるのに借金してんのは…まぁ良くはないけど、まだ分かります。でも、それを差し置いて馬鹿みたいにプリン食ってるってどうかしてるでしょ?」


「ばっきゃ野郎! 家とプリンなんて、天秤にかけるまでもねぇだろう! あたしはプリンを取る!」


「あーやばいよスーナ、この人完璧に頭がプリンでやられちゃってる。まともな会話できてないもん」


「んな事ねぇよ! なぁねーちゃん!?」


スーナは少し困った顔をしたが、プリン娘の家をまじまじと見ていたかと思うと少し悲しそうな顔をしてプリン娘の方を見た。


「流石に…これは無いと思います…」


「な…無い…だと…!?」


スーナにまで言われたのが余程ショックだったのか、その場でヘナヘナと座り込んでしまった。


「っていうか、ミタの町長さんから、ユウさんが用心棒の仕事してるって聞いてるんですけど…。用心棒の仕事してても借金する位プリンに費やしてるって事でしょ? 一体何考えてるんですか?」


「あぁ、用心棒の仕事ならとっくにクビになったぞ!」


「はっ!?」


俺達は開いた口が塞がらなかった…。

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