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バグ持ちの壊れたキャラだった冒険者。ガチャ確変SSRとなり不具合仕様認定で【真の壊れ性能】に!〜ユニーククラスの知識で自然と共生する産業革命!  作者: 夜切 怜
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世界の終わり【サービス終了】に反逆する!

 建国宣言から数日経過した。


 【森の隠者】フレディは忙しく働いていた。

 アーニーが訝しむ程だ。

 どの口がいうか、とウリカが聞いたら言うだろう。


 もともと、あまり精力的ではない。森に隠れ住んでいたぐらいだ。

 エルゼの件と、アーニーが尽力した名も無き町をさらに磨き上げるような動きだった。


 養父の知識に改めて舌を巻くアーニーであった。


 そして今日はマレックの屋敷にいるという。アーニーも合流することとなった。


「二人揃って何の悪巧みだ」

 茶化すように声をかけたアーニーだが、後悔した。

 マレックは寂しげに微笑み、フレディは暗い顔だったのだ。


「ど、どうしたんだよ。二人して」

「先延ばししても、変わらないからな。私から言おう」

 フレディが口を開いた。


「そろそろ覚悟を決めよ。アーニー。我々とは別れが近いやもしれぬ」

「我々? 何いってんだよ。じじぃは歳を取らないし、マレックまで居なくなるなんて、なあ?」


 マレックはそんなアーニーを、慈愛に満ちた瞳で眺めていた。


「お前も、薄々は気付いていたはずだ」

「何が起きるってんだ……」

「わかっているだろ? 【世界の終わり(セービス終了)】だ」

 マレックの言葉に、アーニーは視線を逸らした。

 目を逸らしていた事実だ。


「ほれみぃ。しっておっただろ?」

「さすがフレディ殿。しいていえば、アーニーの祖霊が何も気付かないはずなく」

「あれは本当に特殊だからなぁ」

 アーニーの祖霊は二人の話題に上がっていたらしい。


「二人が消える理由がわからない……」

「簡単な話だ。私たちは神々の影響が強すぎる。お前たち冒険者の案内役(ガイド)として選ばれたからな」

「それとこれとは!」

「祖霊世界で言えば重要NPC、という奴らしい。私とマレック殿は間違いなく神々の影響を受ける。神々とこの世界の繋がりが途絶えたら消えるだろうよ」

「ありかよ、そんなの」

「だいたい、私なんぞおばばより遙かに年上だぞ。何故いまだに初老でいられるかというと、神々の使命のおかげ。マレックが町長なぞをやっておられるのも、意思があるに決まっている。今までが幸いだったのだよ」

「神々の使命がなくなるとは思えないんだけどな」

「神々とて、想定外の出来事。いや、想定したくない出来事なんだろうな。だから私はこの町の発展に乗った。お前が道筋をつけていた方向性を少しだけ補強させてもらった。よくやったな、アーニー」

「こんなときに褒められても嬉しくないぞ!」


 アーニーは絶望に押しつぶされそうだった。

 【世界の終わり(サービス終了)】とマレックとフレディの消滅。その二つが直結しているとは思わなかったのだ。


「よくやってくれたよ。アーニーは。ウリカの両親の夢を叶えてくれてありがとう。私の役割も一段落つけたのはお前のおかげだ」

「褒めるのはまだ早い。アカデミーだってまだだ! それにあんたはポーラに求婚しただろ! いきなり未亡人にするつもりか」

「実は正直に話してある。ポーラ殿は私の消滅も踏まえて受け入れてくれたのだ」

「ポーラ…… なんて覚悟を」


 ポーラの心情を思うとやるせなかった。


「猶予は半年ぐらいか。公国の道筋に関しては出来過ぎだ。神々も動いているか疑うレベルの都合の良さだ」

「マレック。お前はいつから感づいてたんだ?」

「潮時はいつも考えていたよ? しかし、ルートボックスや鯖落ちの件で長くないと察した」

「寸前でお前とエルゼを導いてやれたのが、幸いだ」

「そうだな……」


 意味ありげな二人に、ようやく気付いた。


 本題は別だと。


「ちょっと待て。まさかウリカも? あいつは祖霊持ち(エンハンススピリツト)の冒険者だぞ!」

「私たちのように消えたりはしない…… といいたいが断言はできないのだよ」

「何故!」

「古代帝国皇族の血、赤い瞳。魔神直系の家系だぞ。どう影響受けるか想像もできん。ウリカは、この世界にとって特別な存在(メインヒロイン)だったのだ」

「世界が終わる以上、神々の手による特別な存在は退場は余儀なくされる。祖霊持ちということで状況が変わるかもしれないが……」

「私たちと消えるほうが幸せな状況になるかもしれない。今まで神々が抑えてきた特殊な事情、一種の封印が解かれる。運命の輪が動き出す、という奴だ」

「どうなるんだよ……」


 祖霊も言っていた。特殊な運命を持つ者は神々が抑えていると。


「ウリカを中心にこの世界が回る。彼女の死によって戦乱が、または魔王システムが蘇るかもしれない。彼女自身が世界を滅ぼす存在になるかもしれない。本当に何が起きるかわからないんだよ」

「俺が守る。守ってみせる」

「そうとも。個の力でお前以上にウリカを任せられる奴はいない。個以上の存在を私は警戒しているのだ。人の欲を束ねるような、邪悪な力をね。悪意というのはある日突然、まったく無関係なところから現れるのだから」

「最悪、ウリカ殿の死をもってお前が魔王になる、というシナリオとてあり得るのだ……」

 苦しげなフレディの表情が、その予測がありえることを物語っていた。


「魔王って鮮血の姫君の伴侶だったろ。なら俺は魔王にだってなってやるさ」

「鮮血の姫君は短命なんだよ。……私はよく知っている」

「アーニーさんは魔王になりませんよ。エルゼもいますしね」


 背後から声が聞こえた。


「ウリカ?! いつからそこに」

「二人が消えるところから。それに私に関することです。知る権利はありますよね。私に気付かないとか、アーニーさん思い詰めすぎです」

「ウリカのことだからな」


 ウリカは落ち着いていた。むしろアーニーをなだめるような表情を浮かべている。


「私は今まで通りですよ。来年アーニーさんと式をあげ、マレック公国の城伯夫人として、子供に囲まれながら二人で歳を重ねていくのです」

「ウリカ……」

「死ぬから結婚を早めに、なんてごめんですよ? そんなフラグ立てたら本当に私、死んじゃいそうです」

「だけど!」

「結婚式前日に花嫁がさらわれる。よくある物語だ。運命、フラグ管理的にも下手に早めないほうがいい。私はもう花嫁衣装のウリカを抱き上げることもできた。映像もある。思い残すことはないよ」

「思い残せよ!」

「先ほど、祖霊様からもアドバイスをいただけました」

「どんなことをいったんだ」

「最善は尽くすと。悪墜ちは許さない、そして死んでも自分とアーニーを諦めるな、です。死んじゃうのは確定なんですかね?」

「悪墜ち? どういう意味か…… 何が起きるというんだ」

「祖霊様も様々な事態を想定しています。死んでも諦めるな、は文字通りの意味だそうです。どんな形になっても、不本意な形でも、いつか戻れる方法もきっとあると。それに言ってました。アーニーさんと私の力を継承した冒険者を心待ちにしている、どれだけハンシ(カネ)がかかっても、俺はそれを見届けると」

「転生前提か? だが転生なら継承なんて言葉はでないはず。頼もしいのか、煙に巻いているのかわからないな」

「私にとってもこれほど救いになる言葉はない。ハンシは祖霊の活動するための生命線。その言葉を気軽には使うまいよ。お前とウリカの子供、か。それは私も見届けたいものだ」


 マレックは目を瞑り、祖霊に感謝していた。


「それに言ってましたよ。神々の移管次第、と」

「どういう意味だ?」

「天界の構成する神々を総入れ替えがあるそもしそれが成れば……」

「移管か。確かにそれがあれば私もマレック殿も復活する。もしくは再度召喚できるだろう」

「神々の運命さえも祈るのみ、か」

「希望はあるということだ。ウリカのためにも、捨てるわけにはいくまいよ」

 

 神々の移管。過去一度だけ実例はあった。それは古代の召喚戦争終了後だ。

 この世界が蘇ることができたのも、移管があったからだ。だが、それはマレックやフレディが誕生する前の話。伝説でしかない。


「祖霊までウリカのために動いているのだ。今生きている我々が、何もしないわけにはいくまい」

「何をすればいい?」

「今まで通り。どんな困難にも耐えられるよう、高レベル冒険者をアカデミーで量産する。金もいる。産業を発展させ、他を圧倒し口出させない覚悟と決意をもった専守防衛の軍隊を作り上げる。来たるべき公国になる日に備え、その道程を作る」

「お前のやっていたことを聞く限り、世界の終わりに備えての動きにしかみえん。ひょっとしたら、神々さえ欺いてまで発展させた可能性もあるぞ、祖霊は」

「ルートボックス回すぐらいしか話しかけてこないんだが」

「とはいっても行動に影響は受ける。それゆえ祖霊だ」

「今回に限って、俺に教えてくれないんだ、あいつは……」

「それなら分かるぞ。お前自身が考えて結論を出す必要がある。何せ、祖霊もいなくなるのだからな。お前が最適なこたえを考えさせるための思考訓練ともいえる。あれは先祖霊じゃなくて神霊じゃないかと疑いつつあるよ」

「あまり急すぎる世界の発展は、世界を破壊し神々も止めてくる。私も助言をだすことを許されない。だが今はいかなるストッパーも存在しない。神々の助力の一種と思え」

「わかった。ウリカの個の脅威からは俺が守る。数の脅威は……今まで通り、この町を全力で発展させる」

「それでいいぞ、アーニー。あと数ヶ月が勝負だ」


 立ち尽くすアーニー。

 マレックは何かを思いだしたかのように、付け加えた。


「そういえば、お前達はSSR10連の迷宮の攻略をが目標だったな?」

「ああ。そんな暇はなくなっちまったが」

「いや。攻略する必要があるかもしれない。SSRでウリカを確定させるのだ」

「ウリカを確定?」

「SSRをウリカに重ねるのだよ。つまり我らNPCではなく、PCとして。隠れ使徒状態のウリカを完全に祖霊所属にさせるのだ。今のうちにな」

「そんなことができるのか?」

「できると思います。今祖霊様が、その手があったかと呟きました」

「なんであいつ、俺に話しかけてこないんだよ!」

「ただし、祖霊がいる今のうちだけだ。【世界の終わり(サービス終了)】したら、そんな裏技も使えなくなる」

「裏技だの仕様だの、いつもそんな話だな、おい! ウリカの命が、魂がかかってるというのに!」


 焦れるように叫ぶアーニー。世界全体に隠し事をされている機分だった。

 ウリカがそっと腕を絡めた。


「アーニーさん。私がいます。たとえ魂だけになっても、永久にあなたの側に。その言葉に偽りはありません」

「ウリカ。フラグを立てるんじゃない。俺がお前を守る。俺の魂も永久にお前と一緒だ」

「はい」


「俺は【世界の終わり(セービス終了)】に反逆する! 絶対に諦めないからな」


 ウリカを力強く抱きしめる。


 そんな二人を二人の保護者は暖かく見守っていた。

 手を尽くすと、その決意を胸に秘めて。


いつもお読みいただきありがとうございます!


ちょうど昨年はクリスマスイベント回を掲載しました。今年は自分のやっているゲームはどれももとくにクリスマスイベントがなく、穏やかな夜というかただの平日です。

というわけで更新です。間があいて申し訳ありません。


彼らの世界がサービス終了します。世界は滅びませんが管理する者がいなくなり、ご都合主義な規則やルールが中途半端に残り、もしくは消えます。HPも消えますしレア制限などPT制限もなくなるのです。


いきなり本日は終わりません! おばちゃんがコンセント引っかけてそのまま終わることもありません。

あとちょっとだけ続きますのでお付き合いお願いいたします!


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