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周の時代② 幽王と褒姒(ほうじ) 笑わない絶世の美女

周は、前1050年頃成立した王朝です。


そこで、前回、周公旦によって封建制が確立し、安定した治世が続いたことをお話ししました。


ところが、9世紀頃から諸侯の反乱が勃発します。中国の封建制は血縁による支配がメインでしたが、長い時が経ち、血縁関係は薄れていきました。


こうしたことが一つのきっかけとなり、争いに繋がったのです。


また、西北からの異民族の侵入が繰り返されるようになります。


これらのことが原因で、周王の権威は次第に弱まっていきます。


そして、前770年、北方の遊牧民犬戎が南下して周の都鎬京を占領します。


この時、周の王であった幽王は殺されてしまいます。


しかし、周王室の一人が諸侯に助けられます。


そして、副都洛陽に逃れた後で平王となって周を再建しました。


これを周の東遷といいます。またそれ以前を「西周」、以後を「東周」と呼びますので覚えておきましょう。


さて、ここまでが周の時代の大まかな流れですが、西周最後の王である幽王については、後世にひとつの逸話が伝わっています。


それについて、最後にお話しします


◆◇◆◇


幽王には、褒姒ほうじという妃がいました。


褒姒ほうじはとても美しく、絶世の美女と呼ぶに相応しい妃でした。


ところが、褒姒ほうじは、生まれてから一度も笑ったことがない女性だったのです。


そこで、幽王はただでさえ美しい褒姒ほうじの笑顔は、最高に美しいものと考え、何としても見たいと思います。


道化師を呼ぶなど、あの手この手を尽くしますが、結局、褒姒ほうじが笑うことはありませんでした。


幽王は、手の尽くしようがなく、このように思ったのでしょう。


「我が愛する褒姒ほうじよ。そなたほど美しい女性がなぜ笑わぬのだ。余はソナタの笑顔が見られるなら国中の宝を全て差しでしても、惜しくはないぞ。」





そんなときに、幽王は、異民族が鎬京を襲撃してきたという話を聞きました。


当時の中国では、非常時の伝令手段が「のろし」でしたので、幽王は「のろし」をあげて、各地の諸侯に増援を求めます。


のろしを見た諸侯たちは、周王朝の危機と考えて、全土から軍を引き連れてきます。


ところが諸侯が鎬京に集結してみると、異民族の襲撃は誤報だったのです。


そこで、諸侯の軍隊は、このことを知ってガッカリするのです。


すると、この様子を見ていた褒姒ほうじは、笑い出します。


その笑顔をみて、幽王は思うのです。


「我が愛する褒姒ほうじよ。こうすれば笑うのか?!それにしても、そなたの笑顔は何と美しいのか?我はもう一度そなたの笑顔がみたいぞ。」


そこで、幽王は褒姒ほうじの笑顔を見るために、何度ものろしを上げます。



当然、諸侯が何回駆けつけても、敵はいません。


幽王は、ただただ、褒姒ほうじの笑顔をみたかっただけだったのです。


こうして、諸侯は王ののろしを信用しなくなり、やがて、のろしがあがっても駆けつけなくなるのです。


そんなときに、攻めてきたのが異民族の犬戎です。犬戎は、鎬京に攻め込んできます。


幽王は必死にのろしをあげます。


しかし、諸侯は誰一人として救援に来ませんでした。


そして、鎬京は陥落し、幽王は死にました。


◇◆◇◆


以上が、幽王にまつわる逸話です。


この話は、歴史書「史紀」で語られる西周滅亡のエピソードですが、本当にこのようなことがあったのかは、解っていません。


ただ、中国の歴史では、亡国の美女が現れて国を滅ぼすという逸話が多く残っていますので、その辺の話が、中国史を学ぶ上でとても面白いですよといいたいですね。


本日はここまで。

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