表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/147

闇を斬る

なるほど、闇バイトのリクルーターが自ら表に出てくるとは降伏させることに余程の旨味を感じてしまったのかもしれない。

昨日の今日だから一刻も早く、一人でも多く降伏させるために安全より時間を優先したというところだろうか。

大方、降伏させてしまえば好き勝手に使い捨てできる駒が手軽に入手できるとでも考えたのだろう。


「あんたら、市役所の人じゃないのか。闇バイトってなんだよ。」


「ちっ、とっととずらかるぞ。遅れるなよ。」


そう簡単に逃がすわけないじゃないか。

攻撃的なスキルを使ってきたら問答無用で片脚ぐらい吹っ飛ばすつもりだったのだが、一目散に逃げ出すことを選択したので違う方法を取ることにした。

異次元収納から買いだめしておいた2リットルペットボトル飲料水6本入りの段ボールをいくつか取り出して、逃げ出そうとする男たちの足元に放りだす。


「っ!?」


突然現れた段ボールに躓いて転ぶ男たちの頭の上にも同じ段ボールをいくつも降らせると、打ち所が悪かったのかリクルーターの方は気絶してしまった。死んでないよね。

大学生の方は大したダメージはないようだが、逃走することを早々に諦めたようだ。

そりゃそうか。

面近さんに自分の素性を完璧に言い当てられたのだから、ここで逃げても捕まるのは時間の問題と考えたのだろう。

どうせ弱みに付け込まれて闇バイトをさせられたんだろうから、とっとと捕まってしまった方がこれ以上罪が重くならないと考えたのかもしれない。

そういう考えに至れるなら、最初に罪を犯す前になんとか出来なかったのだろうかと思うが、勧誘する方も余程うまくやってるのかもしれない。

この手の犯罪って今後ますます増えそうなので、警察が力を入れて取り締まるのはもちろん必要なのだろうけど、捜査方法やネットの規制とかいろいろと関連するところを見直すべきなんじゃないだろうかと思ったりする。

ちょっと前だと金に困った二十代、三十代が多く手を出していた印象だが、最近は十代の子供たちが目立ってきている気がするのでそういうところにも手当てが必要かもしれない。


「で、あんたたちは一体何者なんだい?」


「通りすがりの正義の味方なのですわ。こちらの御方は東京で何十ものダンジョンマスターを従える偉大なダンジョンマスターなのですわ。ちなみにさっきこの小悪党が言ってた一連の情報の発見者というか提供者でもあるのですわ。」


「本当かい。そりゃすごい。騙されるところを救ってくれたあんたになら降伏してもいいな。」


「それは別に構いませんが、まずは警察に連絡をお願いできますか。私は運転手を確保してきますので。」


この後、警察が到着するまでに面近さんが「読心」でリクルーターから読み取った情報を細かくメモしていたのだが、その内容たるやこのリクルーターが関わる闇バイトグループを一網打尽にできそうなぐらいで、メモを渡された警察官がすごく感謝していた。

信憑性については本人が自白したも同然なので問題はないはずだが、警察としてはあの量の情報の精査にとんでもない手間がかかるだろうけど無駄はないだろうからどうか頑張ってほしい。

自分勝手な欲望を満たすために自ら犯罪を犯したり、他人をそそのかして悪さをさせようとするやつらは一刻も早く捕まってほしいものだ。


こんな愚か者たちには銀河帝国最高司令官兼宰相の次の言葉をつきつけてやりたい。

”誤った選択は正しい懲罰によってこそ強制されるべきである

罪人に必要なものは交渉でも説得でもない

彼らにそれを理解する能力も意思もないのだから

ただ力のみが彼らの盲を開かせるだろう”


それと警察や検察関係者にも面近さんと同じような能力を持った人が多くいればいいのにと願わずにはいられない。

証拠の隠し場所や犯行の動機とかの黙秘が一切通用しなくなるから事件がスムーズに解決するようになるだろうし、そういう捜査方法が周知の事実になれば犯罪自体が減るかもしれないし良いことづくめな気がする。

このリクルーターみたいに新しい情報を新しい犯罪に使おうってのも出てくるだろうし、スキルによる能力自体を悪用しようっていうのも増えるかもしれないから結局はいたちごっこになるかもしれないけどね。


警察が速やかに三人を連れて行き、このアパートも私の傘下に加えるとさらに東を目指した。


「それにしても小悪党とは言えあんなに堂々と渡り合うなんて面近さんは度胸がありますね。」


「内心ドキドキだったのですわ。いざとなったら多田さんが守ってくれると信じていなければあそこまでできていませんわ。」


実際、相手が危険な行為をしようとしているのが判った時点で合図してくれれば、私のスキルが威力を発揮する手筈にはしていたのだが、それでも大したものだと思う。

これからもダンジョン絡みで悪事を働こうとする不届き者が出てくるだろうから、対抗手段を考えないといけないな。

そうだ、とりあえずすべての配下拠点への敵意を持った侵入者は取り壊しアパートの地下に転送して閉じ込めてしまおう。

地下二階に転送して、地下一階に上がる階段のところにガーゴイルを何体か配置しておけばそう簡単には突破することはできないだろう。

ということで、さくっと「天の声」にそんな感じで伝えて防衛体制を整えておいた。


何卒、評価・ブックマークよろしくお願いします♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ