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第四十八話



結論から言うと、水の中には入れなかった。

手足の先とか武器の先とか、とにかく水面何センチかくらいは入れるみたいなんだけど。

モンスターを倒すには、波紋があるところに手とか足とかちょっと入れてパシャパシャ動かしてみるか、波紋の上で十秒以上浮かんでるか。

ちなみに水の中には入れないけど水面に立てるわけでもなくて、ちょっとの間体を支えてはくれるんだけど、少ししたら弾くように跳ね上げられてしまう。

あ、あと、モンスターは戦闘の途中でも水の中に逃げられる!

これずるいと思う。

まぁ、飛び込んでいったところに波紋が出て、誘きだしたら続きから戦えるから良いと言えば良いんだけど……。

蛸にしても魚にしても、出てきたところを直接掴んでそのまま片手で攻撃するのが一番手っ取り早いんじゃないかな。

メーアさんみたいな大剣とか、シャロンさんみたいに突く分の距離がいる武器だとちょっとやりにくいかもしれないけど……。

メーアさんもシャロンさんも魔法使えるから、そっちでどうにかできるんじゃないかな。

ちなみに、俺は。


「お前もうそれただの餌やりみたいだぞ。」

「俺もそう思ってる。」


出てきたモンスターを握って浮かんでいれば、ハクと小夜が攻撃してくれる。

……いやほんと、毎回楽して申し訳ないとは思ってるよ。

今回俺がやってるの、獲物の固定とハクと小夜の足場だけだもんね。

二人とも翅は生えてないから、浮かび続けてることは出来ない。

小夜は跳躍を持ってるけど、あれはあくまでめっちゃ跳ぶってやつであって、飛行じゃないからね。

どうも水面から跳ね飛ばされる方向がランダムっぽくて、しかも体重の軽い二人だとどこに飛ばされるかわかったもんじゃないからさ。


「師匠、クオン兄さん! 蛸! 足! 落ちたっす!」

「お、たこ焼き!」

「やったね!」


たこ焼きにするには粉が足りないわけなんだけど、どこかで手に入るかな。

ハーブとかならともかく、小麦系の植物は農場っぽいとこじゃないとなさそうだよなぁ。

どこかに農場エリアみたいなところがあればいいんだけど。

それか、家みたいに畑が買えたりとかしないかな。

あれ、でもその場合って水やりとかどうするんだろう。

収穫するにも機械とか必要だろうし……。


「クオーン、次は何考えてるー?」

「えー、っと、小麦の入手法について? 耕運機とかコンバインみたいなのってこの世界あるのかな。」

「想像以上に本格的な入手法を検討してるな?」

「あったとしても、あれって免許いらないっすか?」

「そんなもん多分この世界にはないから考えなくていい。」


はぁ、とため息をつくナオ。

そっか、ないのか。

だったら剣でちまちま収穫するのかな。

収穫はそれでできたとしても、脱穀とか難しくない?


「クオン、お前忘れてるかもしれないけど、ここゲームの世界で魔法があるんだ。」

「魔法……。脱穀の魔法?」

「突っ込まないで行くけど、加えてオレたちは妖精で、草の妖精もいるんだぜ。」

「あ、レーシー。」

「おう、よく覚えてたな。まぁレーシーだけがそういうのに向いてるとは限らねぇけど。」

「っていうか、農耕スキルとかはないんすか?」

「多分ある。」

「あるんだ。」

「まぁそれで生産できるのが小麦か、ポーションの材料かは分かんねぇけどな。」

「そういえばポーションとかもあるんだっけ。」

「お前は使わなさそうだよなぁー。」

「クオン兄さんのHP減ってるとこ、ほとんど見たことないっす。」

「減るときもあるよ? スライムに下敷きにされたときとか。」

「そういう経験がある時点でおかしい。」

「そのまま倒されるんじゃなくって出てこられちゃうのもすごいっす。」

「今なら皆できるでしょ?」


スライムの体の中で魔法使えるんだし。

まぁそもそも、ナオとアマレットさんならスライムが降ってくる前に逃げられるんじゃない?

すっごく早いんだしさ。

そういえば二人とも「ほぼagi極振り」って言ってるけど、他何に振ってるんだろう。

ナオは最初の設定のときにもらったポイントは全部agiに振ったって言ってたし。

他の人のステータスを詮索するのは良くないんだと思うけど、ナオなら許してくれないかな。


「土耕したりするのはノームとかの方が得意そうだしなぁ。」

「水やりはウンディーネが上手そうっす。」

「少なくともサラマンダーは向いてないな。」

「スプライトには言われたくないんだけど。」


焼畑農業ならできるかもしれないしさ!

そんなの滅多にすることないだろうけどさ。


「まぁそれまでたこ焼きはお預けにしとこうぜ。できるようになったらまた狩りにこよう。」

「え、持っとかないの?」

「ストレージ圧迫するだけだろ。……お前まさか今までの食材全部持ってんのか!?」

「全部じゃないよ、ちょっと残してはいるけど……。」


ウサギ肉とかまだ食べてないやつは多めに残してるけど……。

蟹とかは結構食べたから割と売ってる。


「お前さぁ……また取りにくればいいだろ?」

「だって劣化しないって言うから。」

「劣化はしないけど他のもん持てなくなったらどうするんだ。」

「っていうかここ、倉庫とかないんすか?」


いまのところそういうの見たことないんすけど、と首を傾げるアマレットさん。

倉庫……?

建物は一層にもいっぱいあったけど、俺が知ってるの串刺し料理売ってる三つの屋台っぽいとこと、アイテム売ってるお店と、ポンチョ買ったお店と神社くらいだし。

二層の建物は何一つとして知らないけど。

でも、倉庫みたいに皆が使えるような施設があるなら分かりやすく出てるだろうし……。

お使いクエストなんかで町の中も結構回ってたはずだし、あったら見てるはずだけどな……。


「倉庫あるぜ。」

「あるんだ!?」

「私見てないんすけど、どこにあるんすか?」

「アイテムショップと武器屋。」

「え、そんなのあったの!?」


まさか行ったことあるとこだったなんて。

それならそうってあの声の大きいお兄さんも教えてくれたらよかったのに。


「二か所にあるけど、倉庫の中身自体は連動してるから好きな方に行けばいいらしいぜ。あと、クランホームとか自分で家を買ったりした場合はそこからも管理できるって。」

「そうなんだ、便利だね。」

「だからとって素材をため込んだりしないように。特に食材探しなら手伝ってやるから。」


たまにしか入手できないやつとかならともかく、そう言うので持ち物制限引っ掛かるとしょっぱい、と顔をしかめて見せる。

まぁ……確かに?

やろうと思えば蟹とかウサギとかは後からでも取りに行けるんだし、それをずっと持ってたせいでボスドロップのアイテム持って帰れなかった、とかになると悲しいもんね。


「前にメーアさんとやった時みたいに一時的に他のメンバーに預かってもらうってことは可能だけど、あんまりお勧めしないしなぁ。」

「そうなの?」

「お前とアマレットだから信用してるし預けたけど、あれ他の人のストレージに入れた時点でその人のものになるからな。」

「そうだったんすか?」

「結局山分けになったから意味なかったけど、数の記録とかはしてたんだぜ。ただ、何個預けたから何個返してくれって言って素直に返してくれるやつばかりじゃないってこと。」

「返すよ?」

「返すっすよ?」

「お前らはな。」


はぁ、とため息をついて、小さな声でネットリテラシーって呟く。

うん、まぁ、その辺ちゃんとできてる自信は全然ない。

ナオがいてくれてるから甘えちゃうんだよね。

実際困ったことになったことがない、っていうのも問題の一つかもしれないけど。


「例えばだけど、他の知らない人とボス部屋協力しましょうってなったとするじゃん。そんで倒せたけどアイテムいっぱいだったから、その知らない人に預かってほしいって頼むとするじゃん。」

「多分頼むならナオたちに頼むけど、うん。」

「師匠も私もメーアさんもいっぱいだったんすね。」

「まぁじゃあそういうことにしといて。そんでその預けたアイテムが、その人がすっげぇ欲しいやつだったとする。」

「うん。」

「そんで、もしその人が預かってない、もともと自分にドロップしたものだ、って言ったら、オレたちには取り返す手段がねぇんだよ。」

「もうその人のストレージに入っちゃったものだから、っすか。」

「そう。自分の手で実体化させて、自分の手で他の人のストレージに入れた、っていう手順があると譲渡になるんだとさ。」


トレードみたいに画面を経由したものじゃなくても、って付け加える。

特に装備してる武器とかみたいにもともと実体化してるものを手を滑らせて落としたりしたんじゃなくて、わざわざ自分のストレージから取り出して実体化したものは、ってことみたいで。


「気をつけなきゃいけないんだね。」

「あぁ。だからなるべく荷物は減らしといたほうがいいし、倉庫も上限があるからあんまり何でもかんでも預けないこと。」

「わかった。そもそも倉庫の使い方知らないけど。」

「お店のお兄さんに話しかけたらいいんすか?」

「いや、カウンターの近くに小さい妖精が飛んでるらしくて、その妖精に話しかける。」

「えっそんなの見てないっす!」

「っていうかこの世界って人間いないんだよね? あのお兄さんも妖精だったのかな。」


今まで出会った中で一番体の大きなメーアさんも、身長が高いだけでごついって感じではなかったし……。

妖精って言われるとすんなりした体つきを想像しちゃうから、あんなにがっちりした妖精って違和感、なんだけど。

でも現実でムキムキの人がリアルアバターにしたらきっとムキムキになるんだろうし……。


「二層にも店はあるだろうし、そこからでもアクセスできるだろうけど……一回帰ってみるか?」

「いえ、クエスト達成してからにするっす!」

「その辺り真面目だよな。……多分また変なこと考えてるんだろうこいつと違って。」


それこそノームの人とかだとがっしりした体してても変に見えないのかなぁ……。






ちゃんと投稿できました。良かったです。

でも本当に、いつまで続くかはわかりません。

期待しないでおいてください。すみません。

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