勝者と敗者
【WINNER Aチーム】
「あいつらやったのか!」
武蔵は脳内に流れてくる機械音を聞いてアシュバルへと殴りつけようと手を止める。
武蔵とアシュバルの全身には打撲の痕があり、壮絶な殴り合いが行われていた事が分かる。
「何だもう終わりか。
だが、楽しかっぞ」
アシュバルは退屈そうな表情を一瞬浮かべるが、笑顔へと表情を変えると武蔵の肩を叩きながら粒子となって消えていく。
「ヴァッハッハ!」
武蔵は高笑いをしながら仰向けで大の字になって寝転がるのだった。
-
ネクロと対峙した反動で気絶していた清矢にも脳内に機械音で勝利の報告が行われるが、清矢は起きる事は無くそのまま光に包まれて現実世界へと意識が帰っていった。
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「やった、、の、ね」
イシルと戦っていた愛の体は殆どが身体の芯から凍りついていたが、自身の風に乗って何とか体を動かせる状態であった。
「あぁ、、そんな魔王様、、」
行動不能の状態に近い愛とは反対にイシルは無傷の状態に近かった。
イシルは魔王が倒されたことに嘆きながら粒子となって消えていった。
「英雄を無茶して送り込んだ甲斐があったわ、、」
気合いで体を動かしていた愛は勝利に安心すると愛を動かしていた風を消して地面へと倒れる。
「これで良いの」
愛は疲労困憊の中、笑顔で光に包まれて現実世界へと意識を返したのだった。
-Bチーム
【WINNER Aチーム】
Bチームにも同様に魔王がAチームが討伐した瞬間に脳内に機械音が流れ込んでいた。
それは五色を除いた金城達7名がイシルを倒したタイミングと同タイミングであった。
「そうか、、」
全員が地面に崩れ落ちる中、金城だけは上を向いて清々しい表情をしていた。
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「くそがぁああ!!」
魔王と一対一で戦っていた五色は拳に虹色の魔力を集めて地面に叩き込んで、自身が立っていた地面にクレーターを作りながら怒りを露わにしていた。
「この俺とサシでやってここまで戦えていたんだ。
お前は誇りに思うべきだ」
魔王は抜いていた刀を鞘に納めながら五色を諭す。
「勝たなきゃ意味がねぇ。
ここまで好きにやってきたんだ。
その落とし前はつけなきゃいけなかったんだ!」
五色は怒りのあまり頭を地面に叩きつけて流血させながら叫ぶ。
「そうか、、強いな」
魔王はそんな五色の姿に尊敬に似た感情を覚えながら粒子となって消えていった。
-
視界が暗転する。
目元まで覆われたヘルメットを取るとこれまで同様に多数の証明によって照らされたまぶしい光景が目に入ってくる。
だが、何回も経験したことで目が慣れてきておりすぐに視界が見えるようになった。
「さぁ選手たちが続々と帰ってきたぞ!
多くの波乱があったがまずはAチームの勝利を祝ってやろうぜ!!」
Mr.ミクロが気球に乗りながらマイクを通して会場中に語りかけると観客たち全員による拍手喝采が行われた。
「よくやったぜ!英雄!!」
側では勇が英雄の髪をわしゃわしゃとこねくり回しながら褒める。
「愛お姉さんが体を張っておれを先に行かせてくれたんだ!」
英雄は褒められてまんざらでもない表情を浮かべながらも、愛の功績をみんなに伝える。
「いいえ、あそこまでたどり着けたのは武蔵さんや清矢くんのおかげよ」
愛は褒められて頬を赤らめて若干恥ずかしそうにしながらも武蔵と清矢に感謝を伝える。
「うぅ、、私今回何もできずに終わっちゃった、、」
祝福ムードの中、龍弥によって気絶させられてしまっていた花音はひどく落ち込んでいた。
「ヴァッハッハ!気にするな!
俺たちは勝ったんだ。これから目立てばいい話だ!」
武蔵は落ち込む花音の背中を豪快に笑いながらたたく。
武蔵はもちろん手加減していたのだが、それでも痛かったようで花音は涙目となっていた。
「これ以上馴れ合いは不要だ。
何せ次からは俺たちは敵になるんだからな」
清矢は勝利に対して喜びをあらわにせず、あくまで冷静に次の試合へと頭を切り替えていた。
そんな清矢は誰よりも早く控え室へと戻っていった。
賢は勝利したというのに苦しそうな顔をしている龍弥へと意識を向けていた。
龍弥は一瞬、賢の目線に気づくが悲しそうな表情を浮かべただけでBチームの元へと歩いて行ってしまった。
「相応の理由がなければあんなことはしないか、、」
賢は小さくなった龍弥の背中を見て何ともいえない気持ちになったのだった。
-
「すまなかった、僕の作戦ミスだ」
一方のBチームでは真っ先に金城が体をしっかりと曲げて謝罪をしていた。
「おいおい、顔を上げろよ。
何もアンタのせいじゃねぇよ」
誰よりも早く金城の体を起こして謝罪を辞めさせたのは田中である。
「そうだ、謝るのなら一人で突っ込んで行って魔王を倒せなかった俺だ」
そんな中割って入ってきたのは五色であった。
「それこそお前に非はねぇよ。一人で魔王を倒せるほど甘くはねぇだろ」
隣に立っていた煙橋が五色の肩に軽いグーパンを入れながら慰める。
「そうだよ!五色君と煙橋君は二人で四天王の一人を倒したじゃないか!十分な活躍だよ!」
「煙橋、、絵斗、、ありがとよ」
更に絵斗が必死に五色を励ますと五色は二人の顔を見て感謝を伝える。
「あんたもたまには良いこと言うじゃない!」
「や、やめろよ」
足立が煙橋の頭を撫でながら褒めると煙橋は照れ臭そうに抵抗する。
「そうだよ、今回の試合は誰が悪いとかじゃ無い。
ただ、向こうが一枚上手だっただけだよ」
糸川が優しい笑みを浮かべながらその場を収めると全員が頷きを返す。
「ありがとなー」
そんな中、鈴木がポケットから板チョコを取り出して食べながら選手用観客席へと歩いていった。
「金城さんですよね?」
鈴木の後を続々とBチームの面々が付いていくと龍弥によって金城が呼び止められる。
「あぁ、そうだよ」
金城はいつもの余裕たっぷりの笑みを浮かべた表情で龍弥に相対する。
「すまなかった、俺の実力不足だ、、」
龍弥は自身が役目を果たせなかった事を謝罪する。
「ふふ、君が謝る事は一切ない。どうやらその様子だと役目はキチンと果たしてくれたようだしね」
金城は携帯を取り出すと耳元に持っていき誰かに通話をかける。
「爺屋。彼の口座に約束の金を入金してやってくれ」
「かしこまりました、豊様」
金城の言葉に二つ返事をするのは龍弥に電話をかけてきた執事であった。
「そ、そんな受け取れません」
龍弥は申し訳なさそうに両手を前に出しながら訴える。
「これは投資だよ。君が優勝した時に僕に1000万を渡してくれよ。だから辞退なんて許さないよ」
金城は穏やかな表情から一転し鋭い瞳で龍弥を見つめる。
「気づいていたんですね、、分かりました。
俺はこの大会でヒールとなります」
龍弥は金城の言葉に頷きを返すと覚悟が決まり、凛々しい表情で控室へと帰っていった。
「あんたも良いとこあるじゃない」
一部始終を見ていた足立は笑顔で金城を褒める。
「辞退なんてつまらない真似をして欲しくないさ。あそこまで言わないと分からないなんて不器用な男だよ」
金城は携帯をポケットにしまうとゆっくりと観客席へと歩いていった。




