表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/35

3-0 スティール ワールド

「ライオン! 一体そちらに!」

「了解~、せいやぁ!!」

(GuGuGuGuGu!! GAAAAAA!!)


 私の逆水平チョップで胴体を真っ二つにされた獣は内部から骨格や駆動系

部品をばら撒きながら地面に転がり、活動を停止させた。

次から次へと襲い掛かって来る猛獣のロボット達、これで何機目だろう?

私とアルスさんは、それらを撃退しながら森の中を進んでいる。


 はい、どうもリスナーのみなさん『マスクドDJ雷音』ですよ。

今私はベールルードN3αXXとかいう、ややこしい名前の星に来てるんだ。

と言うのも、シーム星を救うときホープって、でっかい移民船の中で出会った

バートってロボットの事は憶えてるかな?

 私はあれっきりだったんだけど、アルスさんと一緒に外へ転送されちゃって

暫くは、彼女と一緒に銀河パトロール隊の施設で過ごしていたらしいんだ。

それが数日前に、突然宇宙船でこのベールルードN3αXXに向かって飛び出し、

この辺りに降り立ったくらいまでは分かっているんだけど、通信が途絶えて

バートは忽然と姿を消しちゃったらしいんだ。


 すぐさまアルスさんも救出に向かったんだけど、予想を大きく覆す星の姿と

戦闘的な生物……いや機械の獣達に手を焼いて、私に助けを求めてきたんだ。

これは、あくまでもアルスさんの個人的な活動なので銀河パトロールの救援は

受けられないんだそうだ。


 そもそも、このベールルードN3αXXは、無人どころか生物の全くいない、

殆ど金属で出来た、それ以外に何も無い星だとされていた。

でも、私は紛れも無くその星にいるのに、ここは植物生い茂る森の中なんだ。

だからと言って、銀河パトロールの言ってる事がデタラメってわけでもない。

これら一見植物に見える物も、さっきの獣と同じで機械仕掛のロボットなんだ。

実際に触ってみると、ひんやりとした金属の質感をしているのが分かる。

こいつらは、さっきの獣のように襲い掛かって来ることは無いみたいだけどね。


 さっきから頻りに言っている、この星の機械の獣なんだけど、

とにかく狂暴で戦闘的、全身を覆う強固な装甲は、アルスさん自慢の銃でも

フルパワーでようやく撃ち抜く事が出来る程なんだ。

そんなのがウヨウヨと、どこからともなく湧いて出て襲って来るんだから

なかなかにデンジャラスな環境だよ……なので結構切羽詰まってる状況だね、

バートが無事でいてくれると良いんだけど。


「大丈夫?」

「あぁ、問題な……あっいや、はい! 何ともありません!」


 そうそう、以前のときとアルスさんの私への接し方がひっくり返ってて

とても調子が狂うんだ……シーム星の救出の一件や、銀河パトロールでも

手が出せないでいた、宇宙の死神の略奪行為を辞めさせた事なんかで

見直されちゃったらしいんだけど、とっても調子が狂うのよ。

そして何より、本人がそれに慣れてない感が溢れてるもんだから、

無理しなくても良いよって言ってはあるんだけどねぇ……

常に喧々諤々して、銃を突きつけられて会話するよりは良いって考えよう。


「バートの反応は?」

「いえ……」

「そうか……全く何だって、こんな物騒な星に来ちゃったんだ」

「反応が無いと言うより、似た反応が周囲にあり過ぎるんです」

「あぁ~成程、ロボットだらけだもんね」

「固有の認識信号を出しているわけでもありませんし……」


 バートの足取りは掴めずだ、この辺りずっと虱潰ししてくしか無いのかね。

バートが乗って来た宇宙船は、そのまま放置されたままだったんで

もう帰っちゃってるって事は無い筈なんだけどさ。

こんな所で、身を隠しながら、そうそう遠くへは行けないと思うんだけどなぁ。


!!!


……って、なんだ!?

突然地面が激しく揺れ、重く低い轟音が辺りに鳴り響き、強い風が巻き起こった。


「ちょっ、これは一体!?」

「ライオン、あれを!」


 アルスさんの指指す方を見上げると、そこには森の背の高い木々から

体がすっぽり出る巨大な怪獣が、こちらに向かって来るのが見えた。

その一歩一歩が地響きを起こし、金属の樹をバキバキと踏み潰している。

さっきまでの獣は、大きくても精々虎ぐらいのサイズのものだったんだけど、

こんな巨大なのまでいるのかよ。


「あれって、こっちに向かってきてるよね」

「ええい! これでも喰らえ!!」


 アルスさんの放った光線銃が、見事怪獣の右目に命中すると爆発が起こり

怪獣は大きく顔を仰け反らせた。

片目の壊れたその顔で、こちらを睨み返すと、大きな咆哮をあげて走り出し、

大きく開けた口から私達に向けて、高熱の極太ビームを放って来た。

咄嗟に私もアルスさんも、その場を飛び退くと、地面とその周辺の植物は

ビームの熱でぐにゃりと溶ろけるように、変形してしまった。


 近づいてくると、とてつもなく大きいのが分かる……

頭から尻尾まで100mくらいあるかな? 地面から頭まででも50m以上ある

襲われる身じゃなければ、こんな凄の見てテンション爆上がりなんだろうけど、

今は、それどころじゃないよね。

そして何より、バート……こんな所に何しに来たっての?

とにかく、今回もとんでもない事に首を突っ込んじゃったようだけど、

また宜しく頼むね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ