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2-2 フォグ バウンド

 やあリスナーの皆さん、どうもスーパーヒーロー『マスクドDJ雷音』です。

この宇宙には死神と呼ばれる、絶対的な女王様が存在するって知ってた?

知ってるわけないよね、私も全くの初耳だよ。

その女王様が愛する宇宙海賊のキャプテンを幽閉しちゃったっていうんで

部下の海賊達は、私に協力を求めてキャプテン救出に向かうんだけど……

そもそも、女王様がキャプテンを幽閉した原因は私だって言い出すわけ。


「ど、どういう事?」


私何もやってませんけど? と言うか惑星アモルフォって星がある事すら、

そこに何とかって女王がいるって事も、何から何まで初耳ですし

何なら、そいつが幽閉した宇宙海賊のキャプテンだって、

一昨日初めて会って、ほんの数分間一緒にいただけだしさ

思い当たる節が一切無い、言い掛かりも良い所ですよ。

まぁ、それでも私のせいだって言うのなら言い分を聞こうじゃないの。


「お前は、シーム星に激突する太古の船を、木っ端微塵に破壊した」

「あぁ、その為に来たわけだしね」

「破壊不可能の物質アブダイトを破壊した者を、死神は警戒している」

「じゃ、何でおたくのキャプテンを連れ去っちゃったの?

あとアレは破壊不能じゃない、あれでピラミッド作っちゃう技術だって……」

「死神はお前の存在など認知していない、あの場にいた最強の男

キャプテンワールドこそが、それを成したのだと思い込んでいるんだ」

「それで、死神さんは愛する男を泣く泣く幽閉しちゃってるってわけ?」

「死神は全てに死をもたらす者、全てを殺し、全てを破壊する力を持つ。

死神によってのみ破壊しうる物を、他の誰かによって破壊された事を

見過ごすわけにはいかないのだ」


何? どういう事? その死神ってプロレスラーの異名みたいなものじゃなくて

リアルに死神って事なの? 全てを殺し、全てを破壊する力って……。


「キャプテンを救い出すには、死神の誤解を解くか……あるいは倒すか、

それが出来るのは、この宇宙においてお前以外にいない。

我らはそう考えている、この船はキャプテン無しにはやってはいけないのだ。

どうか、どうか我らを助けてくれ、ライオン」


色々言葉尻に引っかかるものはあるけど、それは翻訳機の不完全さのせいか?

だって、私の両手を取り、真っすぐに仮面の目を見詰めるメデアさんの目は

その切実な思いに溢れていた、そう確信させるものがあった。

言っとくけど、美人に近い距離でお願いされてコロっととかじゃないからね。

何よりその目は、彼女にとってキャプテンは、船員と船長という関係を越えた

熱いものがあるんですよと、ビシビシ訴えてくるわけ。

いや~負けるよねぇ。


「事情は分かった、出来る事はしよう。

理由はどうあれ、囚われのキャプテンを助けに行くっていう事に変わりは無い」


メデアさんや、その周りの宇宙海賊達の顔が安心の笑みを浮かべる。

いやはや、こんなに頼りにされるっていうのはヒーロー冥利に尽きるね。


「がっはっは! そう来なくっちゃなライオン!

そういうわけだから宜しく頼むぜ、暫くは連中も襲って来ねえだろうから

到着まで、ゆっくりしててくれ」


 ほんの一昨日は互いに銃口を向け合いバチバチ火花を飛ばしてた連中と、

今日はこうして協力しあったりして、人の縁っていうのは分からないものだ。

異形の宇宙人達も、敵かもしれないと思って見るのと、仲間として見るじゃ

やっぱり全然違うもんで、助けてやらなきゃって気になるよね。

あのゴリラは2回目だけどさ。


「おっと、いけない。いつまでもこんな所に突っ立たせてないで、

おい誰か! 開いてる部屋に案内してやってくれないか」


そのままメデアさんに案内されて、私とカナロアさんは

6畳ほどの殺風景な部屋で、惑星アモルフォ到着まで待つことになった。

部屋の真ん中に置かれているソファのようなモノに腰を下ろすと、

思ったよりふわふわとしていて、良い座り心地にフーっとため息が出た。


ふと立ったまま座らないカナロアさんを見ると、ビックリ狂気の世界!

長く伸びた両足が、ニョロニョロと床いっぱいに広がっていて、

そのまま壁や天井までをのたくり覆っていく。


「な、な、な、何をしてるの? カナロアさん?」

「一応ヤツらは宇宙海賊だからな、少々気になることもありますもので」

「は、ははは、そ、そう……か、考えすぎじゃない?」

「念には念をだ」


調べ終わったのか、カナロアさんの張り巡らした触手がするすると縮み

元の人間のような足に戻った。


「ところで、盗聴器を発見しました」

「え!?……あ……え……」


会話を聞かれていると思うと、上手く声が出ない、黙るべきか、

それとも発見した事を気付かれないよう自然にそのまま話すべきか、

どうしよう、ヤベェどうしよう。


「大丈夫ですよ、見付けた時点で通信に負荷をかけてやったからな。

向こうには、話し声はするが内容は分からない音が届いている筈です」

「さ、流石、宇宙一の英知を持つシーム星の人だ」

「そんな事はいいんだよ、ライオンはお人好しが過ぎますよ!」

「それを言われると痛いなぁ~、謎の異星人に助けを求められると

ついつい甘くなっちゃうタイプだから私」


でもカナロアさんが怪しんむのは正解で、この話しには裏があるのかも。

あんまり奴らに隙は見せない方が良いのかもしれないな。

さて、そうなるとこっちとしては、どう備えたものか……

ちょっと、このへんでブレイクだ。

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