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てっちゃんの担当?

「私の武器を返してくださいよぉ!!」


 僕たちの目の前で完全に武装解除させられた鉄菊さんが涙ながらに訴えてくる。

 深紅の赤マントに透き通るような金髪。そして全てを見透かすような黒い瞳を持つ彼女は何だかカラフルだった。


 結局ノコノコと入り込んで来たこの子は、僕に背後から奇襲を受け全武器を没収。そしてそのまま手錠をかけられたのちブリーフィングルームで正座させられていた。


 鉄菊さんから没収した武器を彼女の前にズラリと並べているけれど、そのせいか何となく彼女が武器商人のように見えてくる。しかも彼女が持ってきた武器がどれもこれも一級品なのだ。どの銃も寸法誤差がほとんどなく、ガタツキが全くといっていいほどない。


 これは驚くべきことだ。

 

 銃であれ人型ロボットであれ部品を組み上げて作っていることには変わりはない。部品一つ一つには工作機械(クリエイトマシーン)で作った際に微妙な誤差が乗る。それを組み上げるため、製品にはそれなりにガタが残るはずなのだ。


 もちろん自作の『皇帝』はなるべくその製作誤差を減らそうとはするのだが、それができるのは『皇帝』が量産品ではなく、一つ一つ丁寧に仕上げているからだ。


 鉄菊さんが持ってきているような銃は量産品のため、普通もっと精度は悪いはずなんだけど……。


 これ、僕の愛銃よりいい出来なんじゃないだろうか……?


「ねぇ鉄菊さん。これ程の精度の武器を一体どこで手に入れたの?」

「……教えません! また武器を奪う気でしょ!」

「いやいや別に奪ってるわけじゃないからね?」


 鉄菊さんはなんだか借りてきた猫のように涙目で僕を睨んでくる。

 ダメか。これ程までに銃に対して愛を注げる人に会ってみたかったんだけどな。


 憎しみを込めた怒りを送ってくる彼女を見ていると、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。いや、人の世界(ワールド)に来るのにこんな風に武装してくるなんて非常識極まりないのは確かなんだけど。


「私が何をしたって言うんですか……。ただ愛しの銃を取り返しに来ただけなのに!」

「いや、なんで取り返す銃の100倍くらいの重さの武器を持ってきてるんですか? バカですか?」


 と、冷たく突きつけるのは我が東藤さんだ。もっと言ってやってください。


 それにしても鉄菊さんの『悠久機プロジェクト』に対する印象は最底辺だろう。こんな調子で『悠久機プロジェクト』に誘えるのかな?


 そしてなんだか可哀想な鉄菊さんだったが、結局弓佳ちゃんと風見さんが来るまでそこに拘束されたのだった。











ーーーーーーー







「やーやーよく来たねてっちゃん! 歓迎するよ!  ふぇありー! 手枷を外してあげて」

「……」


 そして午後8時。ついに弓佳ちゃんがやって来た。僕は彼女の命令通りに鉄菊さんにつけられた手錠を外す。


 手が自由になった鉄菊さんは手首を痛そうに擦りながら僕たちの言葉を待っている。


「ふぇありー、てっちゃんに『悠久機』を見せてあげた?」

「いや、それはまだだけど、簡単に僕らがやってることは説明したよ」


 その言葉を聞いて弓佳ちゃんは嬉しそうに頷いた。それにしても弓佳ちゃんはこの半ば無理矢理連れてきた子を一体どうやって扱うつもりなんだろう。


「こんにちはてっちゃん! モデルガンは明日返すね!」

「何の用ですか? 何ですか『悠久機』って」


 あ。それはダメな質問だよ鉄菊さん。と、思った矢先、やっぱり弓佳ちゃんが嬉しそうな顔をした。


 そして目を輝かせた弓佳ちゃんによる『悠久機』談義が始まったのだった。

 



ーーーーーーー




「でかーーーー! 何ですかこれ! えぇ!? 何これ!?」


 と、上を見上げながら驚きの声をてっちゃんがあげた。彼女の視線の先にあるのは量産型悠久機『皇帝改』。

 全長18mの巨体からは威厳に近い威圧感が感じられる。流石にこんなに大きなロボットを見たことがないようで、鉄菊さんは唖然と口を開いていた。


 なんだかそんな彼女の様子を見てると何だか誇らしい気持ちになってくる。ふふん。どうだい。僕たちが作った『悠久機』はすごいでしょ! と、弓佳ちゃんではないけれど僕も熱弁したくなる。


 どうやら風見さんや東藤さんも同じ気持ちのようで、嬉しそうにニコニコした笑顔を浮かべている。

 そしてその欲求にどこまでも素直な弓佳ちゃんは得意気な顔で口を開く。


「ふっふーん。これが『悠久機』だよ!」


 ここに来た目的も忘れたようにポカーンと悠久機を見上げる鉄菊さん。

 ちなみに彼女にも『悠久機プロジェクトヘルメット』を被ってもらっている。無論風見さんがお気に入りのアレだ。黄色のヘルメットから流れるような金髪が出てきているのは何だか不思議な感じだ。きれいだけど。


「こ、こんなおっきな物誰が作ったんですかぁ!?」

「僕だよ」「あたしだよー!」「私よ」「私です」


 てっちゃんの問いに対して僕たちは口を揃えて返事をする。自己主張が激しい人たちだ。僕もだけど。


「みんなで作ったんですね? スゴいです! なんて大きさ……。素敵です……」


 恍惚とも取れる表情で『皇帝改』を見上げる鉄菊さん。こんないたいけな女の子相手でも虜にできる『悠久機』に確かな喜びを感じる。


 そして目を輝かせた鉄菊さんが続けて口を開く。


「これはどんな風に使うんですか!?」

「だーかーらー。悠久機は兵器だって! これでBWを駆け回るの!」

「え? これ兵器なんですか……?」

「だからそうだって言ってるじゃん」

「……なんで人型??」


 しかし弓佳ちゃんが人型兵器だと伝えた瞬間、鉄菊さんの顔が尊敬のそれから怪訝な表情へと変わる。

 あ。その顔、初めて風見さんに対して悠久機を紹介したときのそれに似ているような気がする。


「兵器なのに人型にする意味ってあるんですか……?」

「物理的な意味なんてないわ。強いて言うならロマンらしいわよ」

「え。ないのに人型なんですか」


 この『人型』である理由はたぶん誰しもが通る道なんだろう。風見さんはないと言いきったけど、僕はけして、ないとは言いたくない。


 あるし。かっこいいもん。


「で、弓佳。あんたはなんでてっちゃんをここに呼んだの? 」

「まぁ簡単に言うと、てっちゃんには『悠久機』の武器開発をお願いしたいんだよね」

「私ですかぁ!?」

「あとふぇありーの手伝い」


 いけしゃあしゃあと、さも当たり前のように弓佳ちゃんは言った。


 『武器開発』というのはその名の通り悠久機に搭載する武器を開発することだ。以前から悠久機に載せる武器についてはずっと考えていたんだけど、風見さんも東藤さんも自分の担当で手一杯で深く考えることはできていなかった。

 だからこそ弓佳ちゃんは鉄菊さんに武器作って欲しいんだろう。できるかは別問題だけど。


 人型の利点として人間の武器をそのままサイズアップしたものを利用できる。という点があるが、武器を大きくするのはそれなりに難しい。弾薬も大きい物が必要になるし、弾に搭載する火薬の計算も重要だ。


 そんなこと彼女にできるのかな。


 と、一抹の不安が僕の脳裏を過ったけれど、気にする様子もなく弓佳ちゃんは続ける。











 僕の作品に『キノコの娘』の二次創作があるんですが、暇な人がいれば是非読んでみてくださいー。

 完結もしてるし、それなりに短いので我ながらおすすめです。たぶん読了まで一時間もかからないと思います。

 二次創作ですが元ネタ知らなくても全く問題ないですので。我ながらいい感じに纏まっててクスリとできると思うんですよねぇ。その割りに評価はひっくいひっくいですが笑 

 まぁなろうで、マイナーな二次創作しても仕方ないのかも知れないですけど。

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