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ともだちレンタル~サブスク解禁したら、なぜかクラスの美少女にこぞって指名されたようです~  作者: うえき蜂


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いつも通り

《6章》

 あっという間に、1週間が経過した。

 早朝。賑わう教室に入ったものの、いつも通り誰にも気づかれなかった。

 僕は、自分の席で物思いに耽ってしまう。

 あの静かな騒動後、ともだちレンタルの依頼は一切入っていない。


 何もしない人の働きたくない気持ちは本物である。何もしないで報酬が貰えるならば、クラスの美少女に構ってもらえる特典を差し引いてなおトントンだ。

 薄情かもしれない。いやさ、存在感が薄いのでもう忘れ去られたかもね。


「おはよぉ~、熊野くん」


 そんなわけもなく、高陽田さんが相変わらず挨拶してくれた。


「お、おはよう」


 いてもいなくて変わらない存在は、ふうと安堵する。


「高陽田、うぇ~いっ」

「まりり~ん、彼ピッピがひどいの!」


 ただ、それ以上の会話が発展せず、高陽田さんはリア充グループに囲まれていく。

 いかんせん、これが本来の姿だ。

本来、熊野風太郎が干渉し得ない存在。クラスの人気者、高陽田マリィである。


 寂寥感がないと言えばウソになってしまう。けれど、持たざる者は執着しない。

 諦観に慣れた僕ゆえに、何もしない人。一時でも助力できたと誇ろう。すでに、ちょうどいい距離感は過ぎたのだ。先方は羽休めを遂げて、再び飛び立った――


「……」


 ……殺気っ!

 振り返ると、月冴さんに相変わらず睨まれた。


「ふん」


 月冴さんはそれ以上アクションを起こすことなく、羨望の彼方へ。

 まさに、近寄る者を拒み寄せ付けない、孤高に咲く一輪の花。

さりとて、僕はクールビューティーの体現者の状態に安心した。


 こちらに無視を意識させるのは、挨拶に等しい。完全拒絶なら、視界に入れない。

 月冴六花検定3級の問題である。要チェックだよ。

 彼女もまた、本来の立ち位置に戻ったのだ。


 変わることが常に正しいなんて、僕は全く思っていない。

 成長が善なる者の証と認められるのは、フィクションの世界の不文律。

 頑張れば、全て上手くいく? 夢が叶う? うん、そうだね。君が主人公ならね。


 プロットの時点で成功が確約されたヒーローに、あーだこーだ説教されて、改心を強いられるヴィランたち――なんと、むごたらしいカルマを背負った存在か。

 でも、悪いことはダメだと思います。人に迷惑をかけるな。


 月冴さんの目的は、叶うかもしれないし叶わないかもしれない。

 どっちだよとツッコミを入れつつ、1つ確実なことを言おう。

 ともだちレンタルなど、もはや使うだけ時間の無駄だ。

 やる気のないプー太郎を行使した結果、巡り巡って元の状態へ回帰しただけ。


 プレミアムプランが聞いて呆れる。部長の皮算用、徒労に帰す。

結局のところ、彼女の要望を叶える能力が僕にはない。

 何もしない人は、何も打開できない。


 初めに決めた。ただ寄り添うだけ。他の注文なんて満足にこなせないのだから。

無茶を通せば、迷惑を被るのは依頼人。

 かくして、今日も僕は何もしない。


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