エピローグ
これにて完結です
数日後、夜が明ける頃のルダクノの町。その門にシアとローザリッサ、そしてカルザ達がいた。
「すまねぇな。ホントなら俺たちが協力しなきゃなんだが」
「いいわ。それに私は力の制御ができてない。ホントならここにいなきゃいけないやつが、簡単に出てこれないくらいにね。魔力を使い切ったら出てくるけど……ごめんね?」
「赤い羽根も付いてくるらしい。力は出さないらしいから付き添いみたいなものだな。制御のアドバイスくらいには付き合ってくれるだろうさ」
ルダクノの町からジルク(シア)とローザリッサの二人(三人)は出て行く。災害すら屠るだけの力は災害を呼ぶ。それを知っているからあまりにも過ぎた力を持ったローザリッサは出て行く必要があった。
そしてジルクはフィーアから吸収した力を使い切れていなかった。それがいつ爆発するかも分からない以上、制御のための修行を行う必要があった。
だからこそ二人(三人)は町を出る。災害を呼ぶ者と、いつ爆発するかも分からない爆弾など町が抱えられるわけがない。
「ま、元から好き合ってた二人だ。いつかこうなる時がくるとは思ってたさ」
「友人としては嬉しいが、パーティーとしては損害だな」
「友の門出なんだから祝ってやる。ファトスもいじけるな」
その別れを見送るのは三人だけ。カルザ、ファトス、ヤヴォールだけだ。
ローズの同僚たちや他の騎士たちも本来なら呼びたかった。だが彼らに声をかけると行くなという声が多く上がるのは目に見えていた。例え災害が来たとしても、と。
だがそれはローザリッサ自身が許せない。だから密かに旅に出なければならなかった。
町の人たちから記憶が戻ったのはジルクだけだ。他に眷属となった者たちの記憶は奪われたまま消えており、元に戻ることはなかった。
今ならジルクとローザリッサが寂しい想いをするだけで済むというチャンスだった。嗅ぎつけた三人は流石だという他ない。
「ありがとうな、皆」
ジルクの声が三人に届く。シアの姿をしているが、その声はジルクだ。
簡単には出てこれないが、かなり無理をして出てくるか、ローザリッサが魔力でも供給すれば表に出ることはできるのだ。
今回は前者であり、すぐにシアの声に戻った。
「お前は俺たちの仲間だ。これからもずっとな。例えその心がローズに奪われたとしても、戻ってこられる場所はある。それだけは忘れんじゃねぇぞ?」
コクリと頷くファトスとヤヴォール。冒険者は一年以上パーティーを組んでいたら親友とすら言える仲だ。そんな彼らがちゃんと見送ってくれるというのは嬉しいことだろう。
「うん、私の故郷の一つ。いつか帰ってくるわ」
「ジルクは私のだぞ」
ローザリッサがシアの手を取り、自らの胸に引き寄せる。
どうしても嫉妬心が表に出てしまう。帰ってこれる場所というのは奪われるとは違うが、……独占欲が強くなっているのがよく分かる。
「嫁さんが守るってのもなんか締まらねぇもんがあるが、……元気でな」
「カルザ達もね!」
一人一人と拳をコツンとぶつけ合うパーティー、未踏無。皆その瞳には涙を浮かばせつつも笑顔でジルクを送る。
祝える別れという幸福に包まれ、二人は外へと歩いていく。門を通り、その先の草原のような道へと歩みを進めていく。
「ジルクは私のだからな」
手を繋ぎ、魔力を通わせ合うローザリッサとシア……否、ジルク。ローザリッサが手を繋ぐなどして触れ合って魔力を渡した時だけジルクになれる。独占欲が大きくなるのも仕方のないことだった。
「ローザリッサ、分かってるよ。俺はローザリッサのものだ。だから」
顔を突き出し、唇を重ねる二人。その顔にあるのは幸せであるという様子だけ。
「いつまでも一緒に」
「……ふふふ。ようやくジルクが私の手に入った。これ以上の幸せはないな」
夜明けの二人の影が、一つになる。片翼は蝶を模し、もう片翼は天使のような翼をしていた。
今年中にこの作品まで書き上げるという目標が達成できたので満足。
この外伝作品は本当なら本編三章が終わった後に書くつもりだったんですが、「これ1ヵ月で書けるんじゃね……?」と考えてしまったのが運の尽き。
本編更新は準備に1~2ヵ月は必要なので11月終わりから書き始めても間に合わなかったのでこちらを書いてみたら間に合っちゃったので年内にガトリング更新を決行しました。
彼らは三章に出る予定なので本編も見に来てくれると嬉しいです。
ps.ブックマーク、感想、評価あると嬉しいです




