選抜
「待て、リリィ」
鬼雨は立ち止まり、リリィを呼び止める。それに反応し、リリィは振り向いた。
「なに? どうしたの?」
「なにか俺に隠してることがあるだろ?」
鬼雨の気迫に負けたのかリリィが1歩引く。
「なんでそんなこと聞くの?」
「…………別にないならいいんだ」
「そんなの無いよ。ほら、行こ!」
無理やりズカズカと鬼雨の手を引きながら歩くリリィに鬼雨は疑問を浮かべてならなかった。そして、着いたのが入口の大きな部屋。そこには入ってきた時と同様に多くの吸血鬼が血を飲んだり、騒いだりしていた。
「……この中から1人が選ばれるのか」
「そうだよ? なんならここで宣言しちゃおうか」
「へ?」
リリィは部屋の階段を少し登ったところにある大きな椅子に鬼雨を座らせた。
「おい、リリィ。これ玉座ってやつじゃないのか?」
「気にしない、気にしない。……コホン、宣誓!!!」
リリィの大きな一言に全員が振り向き、皆が口を開けていた。原因は鬼雨の座っている場所が王が座る場所であるからだ。
突然、吸血鬼達は怒る。手にワイングラスを持っていたが、落としてしまった者。戦闘態勢に入り、鬼雨を殺そうとする者などがいた。
「全員、おすわり」
リリィのそのたったの一言である者以外全員がひれ伏せた。片足を地面に着かせ、頭を下げ、右手を胸に当てる。まさに敬服の証。これは男女関係なくやらされていた。だが、中には何食わぬ顔で立っている立っている者がいた。
「……リリィ。これは?」
「私が審判役になりました。リリィ・プリシアです。以後、お見知りおきを……」
「……つまり、あれか? もう、戦いは始まってるのか?」
鬼雨の質問は頭を下げている他の吸血鬼によって聞こえなかった。
「おい、どういう事だ?」「落ちこぼれの分際で!」「早く解け!」「屈辱的だ! 殺してやる!」
など罵声が聞こえてくる。だが、その罵声すらもリリィは口を閉じさせた。
「黙れ」
強制的なサイコキネシスが他の吸血鬼の口を閉じさせた。
「さて、鬼雨。残りのメンバーが候補者だよ」
立っていたのは全部で4人だけだった。その中にはセシルもいた。
「あ、そうそう。鬼雨にお土産だよ」
リリィはある女性を1人、サイコキネシスで操りながら前に立たせた。




