宣戦布告
目が覚めた鬼雨はベットにいた。
「ようやく目が覚めたかね」
王は椅子に座り、グラスに入っている血を優雅に眺めがら飲んでいた。場所はさっきいた場所と変わらず王の部屋。
「鬼雨! 起きたんだね!」
扉が開き、入ってきたのはリリィだった。
手には桶とタオルを持っている。鬼雨の額には濡れたタオルがあり、渡すように促してきた。
「俺は……」
「ずっと眠っていたんだよ。けど、ちゃんと戻ってきた」
リリィが少し涙を流しながら手を握る。王は血を飲みほし、話し始めた。
「さて、君はこれで完全なる吸血鬼になった。なにか変わったことがあるかな?」
鬼雨は手を閉じたり開いたりして握り具合を確かめたり、少しあたりをうろついたりして、間食を確かめた。
「いや、特に何も」
「そうかね。まぁ、そのうちわかるさ」
王は再びグラスに血を入れて眺める。
「さて、ルールの説明に入ろう。簡単だ。相手を負かすか殺せば勝ちだ」
「…………」
「わかるかね? 王とは力こそが全てなんだよ」
王はグラスを机に置き、鬼雨の肩を掴んで顔を近づける。
「君にその力があるか見てみたい。期待してるよ」
「……わかった。リリィはどうするんだ?」
大人しく鬼雨の隣に座るリリィに尋ねた。
「私は審判役だよ。ゲーム開始までは好きにしていいよ。……好きにしてね」
「そうか」
鬼雨は王を見返すと、王はやるべき事が終わったかのように再び椅子に座り、少しため息をつくと、グラスを持ち、血を飲み始めた。
「では、合図があるまで好きにしたまへ」
促されるように鬼雨たちは出ていった。
しばらく歩いていると1人の赤い貴族のような服を着た者が現れた。
「やぁ、待っていたよ」
「……セシル・イグニス。何の用だ?」
「名前を覚えてくれてるとはね。宣戦布告に来ただけさ。受け取りたまへ」
セシルは手袋を投げつけた。そして、拾い上げると満足しかたのように満面の笑みを浮かべて、背を向けた。
「楽しみにしているよ。あぁ、そうそう。自分の相棒ぐらいしっかりと管理したまへ」
「? どういう事だ?」
「本人に聞いてくれ」
言い終わるとセシルはコツコツと廊下を始めた。
「どうしたんだ、リリィ?」
「ううん、なんでもない行こう!」
鬼雨はこの時のリリィの作り笑いを見抜けた。




