プロポーズ?
長かった夜が沈み、朝日が昇る。地平線の向こうから来る光が眩しい。
「はぁ、はぁ……鬼雨〜私、もう歩けな〜い!」
朝日に感動して眺めているとリリィがヘトヘトになりながら向かってきた。地面に座り込み、駄々をこねる。
「おんぶ〜おんぶ〜」
鬼雨は本当はしてやりたかった。女の子に触れたい!だが、出来ない。なぜなら……
「俺も、もう体力がねぇーんだ。諦めてくれ」
「え〜〜〜」
拗ねるところがまた、可愛く思える。そんなことよりもやるべき事が沢山ある。
と、そんな二人もボロボロなのだ。服はリリィしか着ていなく、食料はなし、持たされたバックの中はもう訳の分からないお金と腕時計のみ。
「……なにが大丈夫じゃぁぁぁぁぁ!!!! もう、限界だあぁぁぁ〜」
朝日に向かって叫ぶ。やまびこのように音が帰ってくる。
「そういえば、翼はどこ行ったの?」
リリィの疑問は鬼雨には少し恥ずかしかった。
「その……お前とアレした時にポロって取れちまってな……」
リリィも気が付いたのか、顔を真っ赤にくる。お互いに真っ赤になりながら俯く。
「そ、そっか……えへへっ……あ、髪とかは変わらないんだね」
「ん、あぁ、そうだな……けど、力が溢れ出てくる感じだ……。俺、怖いんだよ……だから、リリィ、お前が俺のことを見張っていて欲しい。そして、助けほしい」
この時、鬼雨とリリィで捉え方が大きく変わっていた。鬼雨はいつ暴走しても止めてくれるようにお願いしているのに対し、リリィは──
「……鬼雨、それって……えへへっ、そんなっ!! 照れるよ〜鬼雨からプ、プロ……キャッ!」
リリィは意味を履き違えしまった。鬼雨の顔を見るとニヤニヤしてしまう。すっかり、その気になってしまっている。
「……? なんだよ、ニヤニヤして気持ち悪い……あ、町だ」
「えへへっ……え、どこどこ?」
ここからもう少し南の方向に見えたのは赤色が多い街だった。




