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短編集、web拍手の再録など  作者: 神崎みこ
web拍手再録/タイトルはcapriccio(http://noir.sub.jp/cpr/)さまより
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27 - 零れ落ちる色(幼馴染?)

 それを見た瞬間、景色が白黒になった。

今までにもさんざん言い古されてきた陳腐な現象に、わたしは出くわしてしまった。


「こんにちはぁ」


少しだけ顔をしかめて、それでも片手を挙げて挨拶をしてくれた幼馴染は、たぶん礼儀正しいいい子なんだろう。

その隣にべったりと引っ付いている女の子も、甘ったるい声で挨拶をしてくれるのだから、やっぱり礼儀正しいいい子なんでしょう。

引きつった顔を慌てて戻して、小さく頭を下げる。

ただのご近所さんで、母親同士がママ友だ、というわたしたちの関係ではそれぐらいがせいぜいだ。

立ち話をしたり、詮索をしたりはオコガマシイ。


「あ、急いでるから、ごめん、邪魔したかもー」


文脈が怪しい言葉を継ぎ接ぎして、慌てて立ち去る。

ゆっくり話をする仲でもないのだから、言い訳なんかしなくてもよいのに。

女の子はきれいな笑顔のままで、彼の左腕をひっぱっている。

平凡なわたしでも、わざわざ声をかけた存在は気になるのかもしれない。

近所の知り合いの子、それ以上でも以下でもないのだけど。


片方をはずしていたイヤホンをはめなおす。

お気に入りの音楽も、どこか素通りをしていくような気がする。

景色が白黒のままで、それでもちらちらと色つきの太陽がこちらを伺う。

いつものように本屋に寄って、適当に立ち読みをしても文字は滑り落ちていく。

徐々に色が戻る。

それでもどこか味気ないようで、わたしは数度頭を振る。

気がつけばベッドの上で、いつもどおりの天井を見上げる。

白い壁紙が見え、最近LEDに替えたライトが明るい。

手のひらの色を確認して、色を確かめる。

意味もなく握ったり開いたりしながら、肌の色の変化を眺める。

彼は、ご近所さんで、一緒に遊んだ記憶も一桁年齢までのことで。

そんなことを考えて思考を振り払う。

一瞬だけ霞んだ色彩が、ゆっくりと元へ戻っていく。


着信を知らせるケイタイを持ち上げ、いつものように操作していく。

ぽたり、と落ちたシズクはなかったことにして。

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