プロローグ
1カ月ほどやすんでおりましたが、以前お約束していた(というか勝手に宣言していた)ハーレムものが苦手な私が納得できるハーレムものを書き始めました。
今後は略して『WWAW』です。さすがにこのタイトルをいつも書くのは面倒ですから。
メインヒロインたち? は上位魔族で性別がなく自分の好みで性を着替えるので、BL・GLに見えてもそれは違います。ですが読みようによってはそういう印象を受けると思います。
ですので気になる方はここでご自衛していただけるとありがたいです。
魔王は自らと魔族の命運が尽きるのを感じていた。
自分に従う7つの部族のうち、6部族の長が地に臥していた。そしてもう1つは行方知れず。もはや誰も彼を手助けするものはなかった。
魔王はただ魔族を存続させたいだけだった。元々書物を読んだり、魔道具を作ったりするのが好きなだけの研究者肌だった彼は外の国へ侵攻などしなかった。ただし魔族が管理しているとはいえ、魔獣は世界中のあちらこちらに勝手に出るもの。それは自然の摂理で完全に防ぐのは不可能だった。
魔王にとって人間たちの攻撃はいつだって理不尽なものだった。確かに賢者や剣聖を殺したが先に襲ってきたのは向こうからだった。
だから彼はこの謂れのない戦いに勝つため、悪魔に魂を売った。そして聖女を穢すことに成功したのだ。これで人間たちは内側から潰れてゆく。勇者を倒せなくてもその心を壊すことが出来るのだ。
「魔王カシウス、降伏しろ。そうすれば命までは取らない」
「勇者ユーダイよ、人間の言うことなど信じられぬ。お前たちが我が同胞を無残に屠ったのは紛れもない事実だ」
「……俺はお前たちが悪いんじゃなくて、俺を召喚したライホーン王国側が嘘をついているのだと思う」
「わかっているなら、なぜ攻撃した?」
「俺はどうしても元の世界に戻らないといけないんだよ。そのためなら地獄に落ちる覚悟を決めたんだ」
身勝手ないい訳だった。魔王は人間はいつだってそうであったと冷笑を浮かべた。
弱いくせに傲慢で、数の力と勇者召喚で魔族を苦しめる。この勇者もその被害者かもしれないがやはり自分たちの敵なのだと悟った。
「ならばその意志を貫くがいい。お前に我らを倒す《《意味》》が分かっているのならな」
勇者は説得に失敗したせいか、悲し気に目を伏せた。
異世界人であるがゆえに、彼に魔王の言葉本当の意味がわかっていなかった。ここで彼が撤退したならば、まだ救いはあったのだ。
「お前が来ないならば、我が行くまで。死ね、勇者よ」
カシウスはユーダイに向かって、渾身の攻撃魔法を放った。最期くらいそれで華々しく散りたいと彼は思っていたのだ。
それを剣で切り裂き、覚悟を決めた勇者は雄たけびをあげた
「うぉぉぉぉぉーーーーー!」
勢いのまま、彼の剣は魔王の心臓を貫いた。魔王は大量の血を吐き、膝から崩れ落ちた。その倒れる姿を7種族の長のうち6名が、戦いで傷つき動けないながらもその目に焼き付けた。
ユーダイには見えなかった。魔王が死の間際に唇の端を歪ませ、あざ笑っていたことを。
「ごめん、アンタが悪いんじゃないってわかっているけど、俺は絶対に元の世界に戻らないといけないんだ」
彼は自らの最大魔法『審判の炎』を放った。今後この世界が魔族に悩まされず、そしてもう二度と自分のような勇者召喚に誰も遭わないようにしなければならない。そのために魔族や魔獣たちを生み出す魔樹に火をつけた。
どんな魔法でも消火することのできない炎。大天使ウリエルの魔法に倣ったソレは魔族たちを生み出す魔樹を焼き払った。
彼は知らなかった。
魔樹が魔族を生み出すだけでなく、世界を構成する魔素も生み出していたことを。
一時の栄華のために、彼を呼び出した人間たちがそのことを彼に黙っていたことを。
彼の行動は世界の救済ではなく、世界を破滅に導いたのだった。
タイトルはルイ=アームストロングの名曲から。
きっともうすでに使った作品はあるだろうけど書籍化されたものはなさそうだし、どうしてもこれが使いたかったので副題をつけてみました。こんなベタな副題をつける人はいないと思います。
素敵な世界だなんて言っているけど、どちらかと言えばその逆の部分も多い。でもやっぱり素敵な所もあって、優しい人たちがいて、今わたしたちのいるこの世界と同じです。そんな世界を知らずとはいえ破滅へ追いやってしまった召喚勇者と、そこを守り続けていた魔族たちとのお話です。
ラブラブハーレムになるかは……あんまり期待しないでください。だってテーマ『贖罪』で重いから。でもユーダイはやれることはしっかりやります。
拙作『錬金術科の勉強で忙しいので邪魔しないでください』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890677055
の続編でもあり、前段階の話でもあります。あの話でいらないと言われ続けた第11章の『アルブレヒトの追憶』と第13章の『ある平凡な男の人生』がその前段階の話です。
アレを書いたのはこの話を書くためだったんですよね。何年経ってるんだか……。
それではこちらも完結まで頑張りますので、よろしければお読みいただけたら幸いです。
同じ文章を活動報告にコピペしてアップしていますので、重複して読んでしまった方はお許しくださいませ。
『それでも異世界は輪廻ってる』
https://ncode.syosetu.com/n3900ku/
の続きもぼちぼち書いていきますので、そちらもよろしくお願いします。




